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第493回 【本の解説】重要なディストリビューターの選定 その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 私が日本実業出版社から出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は237ページ、「5-6 重要なディストリビューターの選定」ということでお話をしていきたいと思います。この5章は中堅中小企業向けのお話で、この本の中で唯一ね、中堅中小企業向けに書いている章なんですけど、その中でもディストリビューターの選定ということで、これは大企業も共通しているので、まあまあ、その濃淡なんですよね。中堅中小企業がどこまでやるかと、大企業ほど厳密にやる必要がないと。なぜならば、前にもこの番組で申し上げましたけど、大企業と中小企業の最大の違いって何ですかと言うと、求めている利益の違いなんですよね、売上とか、利益とか、シェアとか。大企業は2割のシェアが欲しいとか、100億の売上が欲しいとか、何十%の利益が欲しいとか、そういう世界で、一方で、中堅中小企業はまずは数億円、シェアなんていうのは1%あったらいいという、そういうレベルの中で、得たいものが全然違うということは、当然これは戦略も違ってくるので、大企業と同じ戦い方をしても無駄ですよというのが中堅中小企業の場合。100億を獲るための戦略と、数億を獲るための戦略というのはまったく違うわけなので、中小企業には中小企業に合った戦略をつくっていくと。

ただ、このディストリビューターの選定という意味では、何をやるか、プロセスとか、やり方というのは、大企業も中堅中小企業も同じで、ちょっと前にね、過去にこの番組でもお見せした図かもしれませんけど、ちょっとスライドをお願いします。この図のとおり、ディストリビューターの選定、強固な販売チャネルをつくる上で重要なことというのは3つあって、いかに適切なディストリビューターを発掘して選定するかということと、そのディストリビューターといかに適切な契約交渉をするかということ、そして、最後はディストリビューターを適切に管理育成していくかという、この3点セットがあって初めて強固な販売チャネルというのはつくられていくわけですよね。

この一番最初の発掘選定というのが今日のお話で。ディストリビューターのね、これね、駄目な相手を選んでしまうと、駄目な相手とどれだけやったって、やっぱり駄目なものは駄目なんですよね。中小企業の最大のウイークポイントというのは経営資源がないと、人・モノ・金・情報、全てにおいて非常にリミテッドであると、少ない。少ないということはどういうことかと言うと、取捨選別をしないといけないと、選択をしっかりしないといけない、大企業以上に選択をしっかりしないといけないと。大企業は経営資源が多いので、選択を少々間違えても巻き返しが利くと。一方で、中小企業は張る場所を間違えると、それを失敗したら、もうほかに経営資源を回せないわけですよね。なので、選択を失敗できないと。そういう意味では、このディストリビューターは成功可否の、この本では「7割が決まる」というふうに書いていますけども、少なくとも5割ね、もう決まってしまうので、7割でもいいですよ、本当に大半が決まってしまう。特に中小企業の場合は自分たちが手足を動かすことができないので。大企業の場合は、僕、5割と言っているんですね。中小企業の場合は7割と言っていて。なぜ7割って言うかと言うと、中小企業の場合は手足を自分で動かせないので、結局、ディストリビューターにある一定以上の業務を任せていかないといけない。そうなってくると、もう7割ぐらいはこのディストリビューターの選定で決まってしまうんですよね。このディストリビューターの選定を出会いとかでやってしまうと、これはもうイチかバチかになってしまうので、本当に絞り込んでいくということをやらないといけなくて。

どういうことかと言うと、この前の番組でお話したように、」誰に」売りたいんですかと、「誰と」売るかよりも、「誰に」売りたいかが先なので、「誰に」売りたいのかということが明確になったら、そこに本当に売れるのかどうかということが非常にディストリビューターの選定理由としては重要になってくるので、そこをどれだけ契約までに詰められるかと。契約交渉の話も一緒にやってしまいますけど、契約交渉というのはまさにそのことを言っていて。タイを例にすると、「セブンとテスコに入れたいんです。セブンとテスコに本当に入りますか」ということを具体的にディストリビューターと話していかないといけないわけですよね。セブンでも、じゃあ、バンコクの、どの店舗の、どの位置に、どれぐらい入りそうなのか。テスコだったら、どの店舗の、どのレーンに、何SKUぐらい入りそうなんだと。そこを具体的に話せば話すほど、どれぐらいできそうかという想定値がつかめるので、これでディストリビューターを選定していくと。できないところはどんどん、どんどん、離れていくので、本当にできるところ、もしくはやりたいところだけが残っていくわけですよね。そういう観点でこれをロングからミドル、ショートにグーッとこの図の通り絞り込んでいって。契約締結なんて、ぶっちゃけこれは儀式みたいな話で、むしろ契約締結までに何を契約交渉で決められるかと、どういう条件を付けられるかということがすごく重要で。独占・非独占、コミットメントあり・なし、どうするのかということまで含めて詰めていかないといけない。

これが中小企業でよく見られるのが、次のスライドお願いしたいんですが…。これも絞り込んでいってくださいねという話なんですけど、絞り込みの過程をやらずに、たまたま自分たちの手の届くところのディストリビューターと出会って、紹介とかいろんなルートがあると思うんですけど、それらは自分たちが手の届くところですよね。手の届くところで知り得たディストリビューターの中から選んでしまって、本当にその企業がベストな選択肢なのかということを検証しないケースというのがあるわけですね。まさにこの絞り込みをやらない。絞り込みというのは、全ディストリビューターをロングリストとして集めて、そこからグワーッと比較していくので、言ったら確率論的にめちゃめちゃ成功確率が高いわけですよ。こんなの全部確率論なので。それを自分たちの手の届くところのディストリビューターだけを集めて、その中から決めてしまったら、王社長のA社が一番いいと思っていたら、陳社長のB社のほうが全然よかったじゃんということをあとで気付いても、ディストリビューターとお別れするってなかなかしんどい話で、3年ぐらいやっぱり足を引っ張られるわけですよね。そうすると、時間をかけてでも良いディストリビューターを選んでおくということはすごく重要で。中堅中小企業の場合はそのプロセスを自分たちで当然できないでしょうから、われわれみたいな会社に依頼をする。そう言うと宣伝っぽくなるので。われわれじゃなくてもいいですよ。ほかの会社でも、コンサル会社でも、シンクタンクでも、調査会社でもいいと思いますけど、絞り込んでもらうということをやっていく。そうやって、確率をとにかく高めるということをやる必要がある、というのがこのディストリビューターの選定です。

ちょっと時間が来てしまったので、一旦今日はこれぐらいにしたいと思いますけど、また次回、説明をしていきたいと思いますので、また次回お会いいたしましょう。