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第492回 【本の解説】ターゲットを可能な限り具体的にする

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 私が出版している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は233ページ、「5-5 ターゲットを可能な限り具体的にする」ということで、「誰に」売るかが明確になると戦略も明確になるということでお話をしていきたいと思います。この5章は、この本の中で唯一、中堅中小企業向けに書いた章でございまして、引き続き、中堅中小企業向けを想定、中小企業を想定してお話をしていきたいと思います。

ターゲットを可能な限り具体的に明確にするということなんですけど、これは大手もそうなんですけど、日本企業の参入戦略を見ていると、「誰に」売るかよりも「誰と」売るかに神経が非常にいっていて、本来、上位概念にあるのは「誰に」売るかということがまず上位の概念にあるわけですね。ターゲットを「誰に」するんですかと。そのターゲットに対して「誰と」売るのか、どう売るのか、「誰と」売るのかという話なわけで。当然、直販をしないのであればディストリビューターを使うという話になるので。そのときのディストリビューターは誰が適切かというのは、この「誰に」売りたいのかという、この「誰に」に売れる人と売るべきなんですよね。そうすると、「誰と」売るかというのは、もう絶対的にあとなんですよね。「誰に」売るかということがもう絶対的に先なんですけども。結局、大手のディストリビューター、大手に取り扱ってもらえればきっと売れるはずだというので、とにかく大手、大手、大手ということで、大手のディストリビューターを探すことに神経がいってしまって、結局、自分たちのターゲットがぶれてくるという、これが大企業でも非常に大きな問題としてあって。

これはB2CでもB2Bでもそうなんですけど、中堅中小企業の場合は、基本的には輸出でやります、出ない戦略を推奨していますから。輸出でやる上で、この「誰と」というものをまず明確にして、全部を可視化する必要はないんですよね。中堅中小企業がまず狙いたい売上数字というのは数億円程度から始まっていくわけで、数億円を「誰に」売るのかということを先に特定してしまって、じゃあ、そのターゲットに売れる人と一緒に売らないと、永遠にそのターゲットを手にすることはできないわけで。このターゲットをまず最初に考えるということが、本当にすごくすごく大切なことになります。

非常にね、ぼんやりしている。ターゲットが何となくASEANの人、タイの人とか。いや、タイじゃないでしょう、バンコクでしょうと。中堅中小企業が狙える市場ってタイの中でも最も1人あたりGDPの高いバンコクだよねと。バンコクの中でもどういう地域に住んでいて、何歳ぐらいの、どういう性別の人で、どういうライフスタイルを送っていて、何を求めるようなインサイトを持った人なの? そういうことを細分化していく、そこがターゲットなわけで。そうすると、じゃあ、そういうターゲットが買いに来る小売ってどこなんですか、何なんですかと、セブンイレブンなんですか、ロータスなんですか、ビッグCなんですか、何なんですかということを特定して、じゃあ、そのロータスなんだったら、ロータスと売るためにはどのディストリビューターを使うのか、「誰と」やるのかという話になっていくわけなので、絶対的にターゲット。

B2Bでも一緒ですよね。B2Bの場合は産業集積地をまず特定をするので、必ずしも首都がいいとかね、経済発展している地域がいいというふうな話にはならないわけで、産業が集積しているところに入っていって。そのときに、B2Bの場合はもうバイネームで企業名まで出していく。だいたいインダストリーを4つぐらいに分けたときに、自分たちの、例えば部品、B2Bの部品を、こういうインダストリーでも、こういうインダストリーでも、こういうインダストリーでも、こういうインダストリーでも使っていると。この4つのインダストリーの、まずどこからやっていくんですか、全方位的に4つを同時にやるなんていうのはなかなか経営資源的に難しいので、戦略とは選択ですから、自分たちが最初にプライオリティを置くべきインダストリーをまず決めると。そのインダストリーの中でも、もう何億円とかっていう金額をやるんだったら、もうバイネームで企業をリストアップして、何なら企業だけじゃなくて、その企業の中のどの部門のどのレンジの人が購買決定権を持っているのかということを特定して、そこに売れるディストリビューター、そことすでに取引のあるディストリビューターを探すということが非常に重要なので、まずターゲットですと。ターゲットに対して4Pをぶつけていくので、「誰と」売るかよりも「誰に」売るかということがもう絶対的に重要ですよ、というお話でございました。

じゃあ、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。