第5回 アジア新興国における小売流通の2つの違い
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テキスト版
みなさんこんにちは。今日は近代小売と伝統小売についてお話します。
まず、最初に申し上げたいのは新興国には、日本と異なり大きく分けて2つの小売流通が存在します。
このことを理解しない限り消費財メーカーが新興国で高いシェアを上げることはできません。今日はみなさんと一緒に新興国における近代小売と伝統小売の違いについて学んでいきましょう。
後ろ の図は新興国における近代小売と伝統小売の違いを表した図になります。
まず、近代小売とは英語でmodern trade、略してMTと呼ばれ,ポスレジが複数台置いてあるスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの近代的な小売を指します。 そして、伝統小売というのは、英語ではtraditional trade、略してTTと言われ、日本でも昔多く見られた駄菓子屋のような個人経営のパパママショップを指します。 重要なのは新興国はアセアンでもインドでもアフリカでもブラジル南米でも、例外なくこの近代小売よりも圧倒的に伝統小売の方が額と数で大きいということです。 例えば、アセアンにフォーカスをした時にベトナム。ベトナムの近代小売の数というのはたかだか1100店舗。一方で伝統小売は50万店存在します。そしてアセアンで最も近代小売が多いと言われているインドネシア。インドネシアでも、近代小売の数はおおよそ2万店、日本のセブンイレブンの店舗数が1万9000店舗を超えていますので、1番多いインドネシアですらその近代小売の数が少ないということがご理解いただけると思います。
一方でインドネシアの伝統小売の数は300万店も存在するのです。金額ベースで見た時にこのベトナムやインドネシアの近代小売の比率というのはわずか2割にも満たないのです。 事実として、確かに小売は近代化に向かっています。しかし、あまりにも伝統小売の数が圧倒的であるという事実を理解しなければ、消費財メーカーがこれらの国で高いマーケットシェアを上げることはできません。
新興国で重要なのは、近代小売の攻略は必須でありながらも、いかに無数に存在する伝統小売を攻略していくかということです。
アジア新興国で成功する先進グローバル消費財メーカーは一社の例外もなくこの伝統小売の攻略に成功しています。
日本の消費財メーカーもいかに伝統小売を攻略していくかということを学ばなければならないのです。
それではみなさん、また次回お会いしましょう。