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第504回 【本の解説】Q&A 自社だけでの戦略作りに限界を感じているがコンサル活用も不安

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は260ページ、「ケース6 自社だけでの戦略作りに限界を感じているがコンサル活用も不安」ということで、大手消費財メーカーさんからの質問ですね。「すでに多くの国々に進出していますが、十分な成果が得られていません。その要因は戦略の甘さにあると考えています。しかしながら、自社のリソースだけでは戦略策定には限界を感じています。一方で、コンサルにお願いすることにも慣れておらず不安を感じています。どうすべきでしょうか」ということで、その通りですよね。これは結構消費財メーカーだけじゃなくて、日本の製造業の事業部門が新興国市場、アジアを中心としたグローバルサウスを中心とした新興国市場に展開する際に、戦略が非常に甘いというか、弱いというか、間違っているというか、そういうケースって非常に多くて、けど、個々の人材のスキルであったり、特性みたいなものというのは非常に高いわけですよね、日本企業というのは。だから、戦術は非常に高いんだけども、戦略が間違っていて、なかなか成果に結び付かないと。残念ながら戦術をいくら良くしても、戦略の甘さを戦術ではカバーできないので、基本的にはやっぱり戦略が非常に重要になってきて。戦略って方向性なんですよね、「あっちに行け」という方向性で、その方向が、本来は右斜め45度に進まなきゃいけないのに、左とかっていうことを言っていたら、いくら進むスピード、戦術ですよね、進むスピードが速かったり、進み方がうまくても、そもそも違う方向に進んでしまっているわけなので、難しいよねと。そういう意味ではやっぱりこの戦略作りというのは非常に重要で。

フレームワークとセンスだと思うんですよね、僕は。戦略をつくるには便利なフレームワークというのが非常にたくさんあって、そのフレームワークを使うと確率論が上がるというだけの話なので。基本的には効率よく確率論を上げていきましょうという、そのためにフレームワークを使って。あとはセンスになってくるわけですよね。センスというのは、これは本来持っているものもそうだし、あと、知識と経験を蓄えることで磨かれてくるという一面もあるわけなので、これが非常に重要ですと。たぶん多くのメーカーの中では、このフレームワークはある程度勉強すれば分かる話なので、フレームワークは皆さん分かっているんだけども、このセンスの部分、つまり知識と経験を組み合わせたセンスの部分でなかなか難しさを感じている。もしかすると、センス自体は皆さん持っていて、実はセンスが効力を発揮するために必要な知識とか、その知識というのは経験から来るものが多いので、そこが足りないと。特に新興国市場、ASEANならASEAN、中国なら中国、インドならインドということで、いずれの新興国でも構わないんですけども、そこが足りないよねと。

そうなってきたときに、やっぱりそこに詳しいコンサルファームなのか、調査会社なのか、マーケティング会社なのか、われわれみたいな会社を使うというのは、僕は正しい判断じゃないかなというふうに思います。僕はね、こういうマーケティング会社をしている、支援する側の立場なので、使ったほうがいいとしか言いようがないので、なかなかあれなんですけど。事実、私は20年、ずっと一緒に新興国市場の展開をお供して、いろんな国でいろんなプロジェクトをやらせていただいている会社はこの20年で劇的にシェアを上げているし。いわゆる自分たちで分からないものを、いくら悩んだって分からないわけですよね。だって、知識や経験がないわけですから。フレームワークの使い方とか、戦略設計の仕方とか、そういったものも別に社内にないので、それを一旦コンサル、外部の専門家を入れることによって、自分たちのレベルを磨き上げるということは、これは別に悪くない話なんじゃないかなと。それに、じゃあ、費用が掛かったとしても、それって投資ですよねという話だし。ずっと使っていくケース、言ったら自分たちにない専門性を持ち続ける限り、外部のコンサルであったり、マーケティング会社であったり、調査会社が、そういうのを使っていったらいい話で。欧米の先進的なグローバル企業、世界でシェアの高いメーカーなんていうのは、皆さんもうお付きのコンサルがいるわけですよね。それは事業戦略全体を見るのもいれば、ある一部の特定した専門性のところで使うケースもあるし。そこを費用というような感覚ではなくて、やっぱり投資で見ているので、日本企業はもっともっと使ったほうがいいなというふうに思います。

メーカーの中にはね、いろんな、ただで聞けるセミナーとか、いろんなところには顔を出すんですよね。たぶん社内にノウハウがないので、ああだこうだといって行くんですよ、セミナーにもね、弊社のセミナーにもたくさん来るんですけど。でも、やっぱり会社として、外部を活用して、お金を払って何かを戦略をつくるみたいなね、習慣がない会社っていうのがあって。だから、部下が上司に、その経費計上できないんですよね。申請、使っていいかと、コンサルを使っていいかという申請ができないという会社はいくつかやっぱりまだあって。こんな大きい会社でもそうなんだというケースは結構あって。そういう会社って、やっぱり10年前の課題感と今の課題感がまったく一緒で、10年間何をやっていたんだという、ただ担当が代わったみたいなね、そういうケースも結構あるので。10年かけて課題感が同じなんだったら、一旦費用を掛けて課題感を変えてみたら?とは感じますけど、やっぱりそこに対する危機感が薄いので、「いやいや、おまえら社員なんだから、おまえらがやるのが当たり前だろう」というたぶん指示が上から入っているんですよね。でも、全てをメーカー自身でやるというのは、なかなかちょっと専門性も違うし、餅は餅屋なので、本来メーカーの仕事というのはモノをつくってモノを売ることですから。それを、どの国でどういうふうに売るみたいな話になってくると、やっぱり専門性というのは欠ける部分があるので、外部をうまく使うということは重要なのかなというふうに思いますけどもね。

不安があるということなんですけど、不安があっても1回使ってみるということをして、1回壁を越えるないと、なかなかずっと不安は消えないので。そのときにやっぱりポイントとしてあるのが、しっかり話すということですよね。コンサルの提案であったり、何をどういうふうにやって、どういうアウトプットが出るのかとか、アウトカムが出るのかということをしっかり話をするという。そこで腹落ちをしたら、そこに発注するという、そこがやっぱりすごく重要で。金額じゃないんですよね。もちろんね、コンサルもピンからキリまであるので、自分たちに合った相手を選ぶって、これは専門性で選ぶというね、自分たちが今抱えている課題に対して専門性があるのか、ないのかということと。あとは規模ですよね。コンサル慣れしていないのが世界三大ファームとかって使っても、これまたすごくギャップがあるし。そもそもコンサル慣れしていない会社が世界三大ファームに問い合わせをしたところで、軽くあしらわれて終わってしまうので。彼らは日本でもトップ10とかトップ20の会社しか見ていないですから。なので、やっぱり身の丈に合ったところを使うというのが非常に重要になってくるのかなというふうに思います。

失敗したら失敗したで、これは勉強代だと思うしかないし、失敗のしようがないと思うんですよね、しっかり話し込めば。どういうことをして、どういうアウトプットを出してくれるのかという、それがしっかり自分たちのやりたいことに合致しているのか否かということはすごく重要なので、そんなことをやっていくという。

数十万で何かできるかと言うと、ちょっとさすがにそんなのはないと思うので、数百万ぐらいはやっぱり予算としても使っていかないといけない。前半ぐらいの予算から始めて、少し後半に移っていくというようなことをやっていくと、リスケッチができるのかなという気がしますかね。

あと、何だろうな。慣れていないということなので。でも、そこは突破するしかないなというふうに。私はこの本で何て書いているのかな。うーん、そうですね。だから、それはね、日本企業はどうしても有形のものにはお金を払えるんだけど、無形のものにはなかなかお金が払えないという、そういう傾向があるし。あと、やっぱりね、セミナーで得られるような情報と、実際にお金を払って何かプロジェクトをやって得られるアウトプットとかアウトカムって全然違うので、そういう意味では1回ぜひ使ってみるということは重要じゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。