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第517回 パンデミック後のASEAN6小売市場の変化 その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹です。今日も引き続き、ASEAN6の小売、パンデミック後の小売の変化についてお話をしていきたいなというふうに思います。

それでは、前回同様、またこのスライドをお願いします。左が近代小売、右が伝統小売ということで。パンデミックのこの3年間でね、非常に小売の経営は大きく変わったというお話を今日はやっていきたいなというふうに思うんですが。まず、近代小売は、主要な各国の近代小売は、どの国を見ても、主要どころは2つの変化があるんですけど、1つはEコマースに相当投資を回しましたというのが、このASEAN6の近代小売の各社の状況。DXに相当投資したと。実際にデータをちょっとお見せすると、次のスライドをお願いします。この2019年の、これはASEAN6の小売市場に占めるEコマースの割合なんですけど、ベトナムからタイまで4.5%、10.1%、2.7%、9.3%、6.4%、6.2%と、こんなものだったんですよね、ビフォーコロナは、ビフォーパンデミック。アフターパンデミックはどうなったかと言うと、2022年、ベトナムは12.3%だし、インドネシアは31.0%、フィリピンは7.6%、シンガポールは16.4%、マレーシアは11.7%、タイは19.1%ということで、3倍ぐらいに伸びているんですよね、Eコマースが、この3年間で。このパンデミックが1つ良かった、小売市場にとって良かったというふうに言うのであれば、このDXが嫌がおうにも無理くり進められたということは、1つ小売市場の進化としては大きかったんじゃないかなというふうに思います。

これはユーロモニターのデータをもとに弊社で作成しているものですけど、じゃあ、これは、2027年はどうなるかと言うと、パンデミックで一気にガーンとは伸びましたよねと。伸びたんだけど、じゃあ、このペースで伸びていくかと言うとそうではなくて、少しやっぱりリアルに戻りながらも、でも、着実に伸びを見せていって、2027年にはさらに伸びていくということで、EC比率というのは確実に伸びていますよね、というのが1つですよね。これはオフラインがなくなってオンラインになるかとかっていうことではないんですよね。これね、何事もバランスだと僕は思っていて、人間というのはないものねだりで、かつてあったものがなくなると、それが恋しくなるんですよね。なので、全部がオンラインになるかとか、極端な話、7割8割がオンラインになるかって、これはなくて、中国ですら5割6割ぐらいのところで停滞をしたわけなので、あれは本当に特例だというふうに考えて、ASEANが、じゃあ、あそこまでそうなるかと言うと、中国とは地理的な状況も物流の事情も違うので、基本的には僕はないと思っていて。ただ、ある程度、3割もしくは3割5分ぐらいまではやっぱりEC化率というのは上がっていくんだろうなと。

これね、モノにもよって、非常に気をつけなきゃいけないのは、これはパーセンテージがこうあるんですけど、何を買うかにもよって全然違うんですよね。例えば、皆さんもそうだと思うんですけど、僕なんかもAmazonで重たいもの、水とかペットシートとか、ドッグフードとか、こんなの僕はお店に買いに行ったことないので、基本的にはお気に入りの、お気に入りというか、うちのワンちゃんが好きなやつを登録してあって、それを毎回、なくなったなと思ったら、パントリーに在庫がなくなったなと思ったらオーダーをする、押すというだけなので、基本的には買いに行くということはやらないですよね。ただ、今、喉を潤したいと、今、水を飲みたいんだというときは、目の前の自動販売機で買うかもしれないし、コンビニで買うかもしれないし、どこかで買うかもしれないので、やっぱりその人が置かれている状況によってオンラインなのか、オフラインなのかというのは大きく変わってくるので、オフラインがなくなる世界なんていうのは絶対にあり得なくて。これがまさに言われているOMOの概念ですよね。Online Merges with Offlineの略で、オンラインとオフラインが融合した世界のことを言っているわけで、融合していくわけですよね。消費者は、別にオンで買うのか、オフで買うのかなんていうのは意識していないわけなので、そこは読み間違えないようにしないといけないということと。あと、商品によって全然違いますよと。食品ね、食品を野菜を、じゃあ、インターネットで買うと、確かにそういうのも増えてきたし、ある程度増えていくんでしょうけども、じゃあ、新鮮な野菜を自分で目で見て買うとかね、それが、じゃあ、完全になくなるかと言ったらそうじゃないし、魚をどうだって、それもそうじゃないので、極端に考えないということはすごく重要ですよねということが1つあるのかなと。

ちょっと話が逸れましたけども、前のスライドにもう1回戻ってもらって、これらの近代小売はDXに相当な投資をしましたよと。この1回人々が手に入れた便利さ、これをね、なかなか人間というのは手放さないので、1回オンラインがいいと思った人たちは、やっぱりしばらくの間、オンラインに、この便利さをね、僕らもAmazonで「うわー、便利だな」と思ったものをね、やめるかと言ったらやめないので、ずっと続いていくでしょうと。ただ、問題はね、ASEANの1つのEC比率の伸びの問題は、物流なんですよね。ヤマトや佐川のような、郵政のような、小回りの利く物流会社がないですという。これを考えると、結構ない国なんて新興国にはいっぱいあってね。これがまさに、もしかしたらリープフロッグみたいな、リバースイノベーションみたいなことになるかもしれないですけど。

一方で彼らの国にあるものというのは、ゴジェックであったり、グラブである。日本で言うところのUberみたいなね、日本はUberは規制されていてなかなかあれなんですけど、Uberというのは配車サービスですよね。ASEANの場合、車じゃなくて、車もあるんですけど、バイクが主流、特にVIPはバイクですと。このグラブとかゴジェックが小売と提携をしてデリバリーをやっているということなので、ヤマトに代わって、グラブやゴジェックが人を運ぶだけじゃなくて、モノも運ぶと。もちろんUberEatsみたいにね、日本のね、彼らは食事も運ぶので、じゃあ、グローサリーを運んだっていいじゃないかということで、そういう新しいテクノロジーの企業の新しい付加価値サービスによって新たなEコマースの市場が出てくるという、こういうのも大きいわけですよね。もちろんこれは首都圏の限られた地域に限定されて、今はサービス展開されているんだけども、なぜならばね、住所が分からないとね、この辺一帯は同じ住所ですとか、ドアの前に置き配したら、基本的にモノは30分以内に盗られてしまいますとかね、こういう事情がいろいろあるわけですよね。そうすると、日本みたいに宅配ボックスがあるとか、コンシェルジュがいるとか、置き配しても誰も盗らないとか、そういう話ではないので、やっぱりグラブやゴジェックがあるといえども、なかなかここというのは難しいのかなというふうに思います。一方でね、コンビニがもしかするとこういった集配、一時預かりとかをね、今後やっていく、非常に大きなビジネス、新たなビジネスになるのかななんていうのを勝手に想像はしていますけども、そういう世界が広がっているということでございます。

近代小売のECの話、1つ目がそうですよね。2つあると言ったんだよね。2つ目はね、近代小売が大型店の出店を取りやめたというのが1つ、もう1つ大きな違いで。これはどういうことかと言うと、今までね、2019年までは大型店の出店計画をずっと立てていたんですよ。なんですけど、パンデミックになってから、大型店がやっぱり人と交わることが多くなるということで、お客さんも減ったし、規制が入ったところもあったし。そうすると、やっぱり自分たちの地元のスーパーとか、小さなグローサリーストアでパッパッと買うみたいなね、こういうニーズが非常に増えてきて、実は大きな店舗に行って大量にうわーっと買うみたいなものよりも、近くの小さい店舗でパパッと買うニーズみたいなものが増えてきたので、結構大手小売各社が大型店の出店計画を取りやめて、小型店の出店計画に切り替えているという、こういう動きも近代小売は、アフターパンデミックとしてはあるので、ここはやっぱりメーカー側もしっかり市場の変化をとらえて、今後の小売の動向を見ていくということが必要かなというふうに思います。

ここまでで近代小売のパンデミック後の2つの変化についてお話をしたので、次回、伝統小売がどういうふうに変化していったのかということについてお話をしていきたいなというふうに思います。皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。