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第518回 パンデミック後のASEAN6小売市場の変化 その4

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹です。今日も引き続き、ASEAN6の小売市場、パンデミック後に小売・流通市場がどういうふうに変化していったのかということについてお話をしていきたいと思います。

前回、パンデミックを経て近代小売が2点大きく変わりましたよということで、1つがDXへの投資で、もう1つが大型店舗の出店を取りやめて、小型店舗の出店に切り替えましたということでお話をしていったと思うんですけど、今日は伝統小売が、じゃあ、どういうふうに変わっていったのかということについてお話をしていきたいなというふうに思います。

この伝統小売なんですけど、主にVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンの伝統小売ということで、この1枚目の、前回使った1枚目のスライドの右側の伝統小売、VIPというところ、ベトナム、インドネシア、フィリピンのところを見てもらったらと思うんですが、66万店、447万店、80万店と。伝統小売がどのように変わっていったのかということと同時に、今後どうなっていくんですかというところがたぶん皆さん消費財メーカーにとっては一番気になるところであって、VIPの市場なんていうのは近代小売を獲りつつ、ここはやっぱり投資がかかるので、ここ…。ただ一方で、伝統小売をやる上では近代小売を獲らないといけないので、近代小売をやりつつも伝統小売をどうやって攻略していくかということが非常に重要になる中、多くの日本の企業がこの伝統小売の攻略がなかなか進まないということで、できれば伝統小売が近代化してから参入したいと、結局、淘汰されるんでしょう、だから、近代小売だけでいいんじゃないの?ということで考えられている企業も多くて、なかなか先進グローバル企業とか地場の企業に比べると、伝統小売への配荷率が進んでいないと、進んでいる企業というのは限られているという、プレイヤーが限られてしまうということで。

これはあくまで僕の仮説なんですけど、基本的に伝統小売はなくならないというふうに考えています。なぜかと言うと、日本の伝統小売の淘汰ってどうして起きたかと言うと、いわゆる小売の近代化が起きたわけですよね。小売が劇的に急激に近代化をした。その理由は2つあって、1つはアメリカから入ってきたコンビニエンスストアという業態が日本人の商習慣や文化に非常によくマッチして、劇的に伸びて、コンビニがぶわーっと増えたというのが1つ。もう1つは、日本というのは北海道から沖縄まで津々浦々、高速道路がしっかり整備され、国道がちゃんと整備され、穴の開いた道路なんてなく、電車も津々浦々通っているし、高速鉄道も通っている。こういういわゆる物流インフラ、このインフラがないと、モノなんて絶対に運べないんですよね。ベトナム、インドネシア、フィリピンを見たときに、渋滞はまだまだ解消されていない。さらに、津々浦々なんていうことはなかなか無理だし、各国の国土交通省の道路計画の発表を見ていると、向こう10年20年の間に日本のように高速道路が行き渡るなんていうことはないんですよね。鉄道が行き渡るなんていうことはないんですよね。そうすると、やっぱり伝統小売の近代化って、小売単体で近代化するものではなくて、国のインフラ全てが近代化するから、そこに乗っかっている小売も近代化できたという話なのでね。まず、一番重要な物流インフラ、道路インフラ、それからシステムもそうだし、電気・水道・ガスなんかもそうですよね。新興国の田舎のほうの町に行くと、夜薄暗い町、皆さん経験したことあると思いますけど、これ、薄暗いということは電力供給が足りていないということなんですよね。だから街灯を絞って、必要最低限のところにしか電気を使っていないということなので。そんな状態の中でね、急激に、じゃあ、いわゆる一般インフラ、物流インフラ含めて、向こう、じゃあ、20年30年で日本のような世界が待っているかと言うと、これはもう国土交通省の計画に、国の計画にないのでなかなか難しいよねというふうに思います。これがまず1つの理由で、なので、30年はなくならないよというふうに思っています。
もう1つは、日本だと大きな組織に属して、例えばチェーンストアとかね、コンビニも本部があって、そのフランチャイズオーナーになって、いわゆる本部の指示に従ってやると、言ったら考えない、本部が全部決めたことをやるという、こういうのを得意としている国民だと思うんですよね、われわれって。だから、大きいものに属して、ある意味決めてほしい、決められたことをやりたいという、こういう国民性がある。一方で、ASEANの人たちはどうかと言うと、あんまりそういう大きな組織に属して、その一オーナーとして何か決められたことを押し付けられてやるという、こういうのをあんまり幸福に思わない。小さくてもいい、自分たちの家族だけが食べれるお金しか儲からなくてもいい、けど、自由にやりたいという、どちらかと言うと、中央集権型ではなくて、それぞれに分散型の、いわゆるビジネスのほうが幸福感を感じるんですよね。これは国民性なので。そうなってくると、コンビニの伸び、事実そんなに伸びていないじゃないですかということもね、鈍化していますよね、ここ5年10年を見るとね。なので、やっぱりなかなか難しいよね、この伝統小売を消し去るのはと。フィリピンなんかは、伝統小売が政府にも行政にも小売にも流通にも業界にも守られていて、基本的にフィリピンの伝統小売の商品仕入れって近代小売からやっているわけですよね。ピュアゴールドとか、インドネシアから進出しているアルファマートなんかも伝統小売向けのサービスを提供していますけども、日本で言うところの駄菓子屋がイオンで商品を仕入れるみたいな話で、そういう構造になっていて、近代小売と伝統小売が共存している世界、こういうわれわれにとってはちょっと1つ理解しがたいような構造がそこにあるし、伝統小売自身が人々の生活の中にかなり融合していてね、この近代化された世界においてね。だから、伝統小売というのはなかなかちょっと消し去れない、こういう状況にあって。

でも、じゃあ、インドネシアはね、447万店の伝統小売の過去5年間の増減ってどうなの?と見ていくとね、実は1万5,000店舗ぐらい毎年減っているんですよ。ほら、減っているじゃないですかとお思いかもしれませんけども。減っているんだけども、もうすでに447万店あったら、これ、どれだけ減ったって180年ぐらいかかるわけですよ、1万5,000店、減るのにね。これ、仮に、じゃあ、3万店、倍の3万店減ったとしたって90何年、96年、97年かかるわけで、3倍のスピードで減ったって60年ぐらいかかる。60年かかったら、なくなるのにですね、その間に今以上にDXは確実に進む。伝統小売のデジタル化というのは、今まさにいろんなテクノロジーの会社がデジタルソリューションを伝統小売に提供して、対消費者に対してもオンラインで買えるし、対ディストリビューターに対しても携帯1つでオンラインで注文ができて、そしてメーカーにとっては自分たちの商品が、いつ、どこのエリアの、どの町の、どの伝統小売で、どう売れているかということが手に取るように分かるという、もうこれはデータの世界。メーカーにとっても、流通にとっても、伝統小売にとっても良いという世界がこれからどんどん、どんどん、進んでいったときに、伝統小売って今以上に便利になると、僕は思っているので、むしろコンビニよりも圧倒的に便利な存在になると。そうすると、もしかするとコンビニというのは、前回言ったように、デリバリーの中継拠点としての新しいビジネスモデルのほうが、もしかしたらASEANでは大きくなっていってね、コンビニの業態じゃなくて、物流会社の業態に変化するんじゃないかなということすら想像していて。そして、この伝統小売、デジタル武装された伝統小売が非常に便利な存在として、さらに伸びていくんじゃないかなと、こんなふうに思っているわけなんですよね。

なので、それがそうなったときにね、60年後…、30年後でもいいですよ、じゃあ、30年後になったときに、「はい、私たちは日本メーカーですと、皆さんが近代化されたので参入します」と行って誰が相手にするんですかと。もう市場は完全に形成されていますよと。30年後には海外の企業が日本に攻め込んでくるので、これ、グローバル競争に勝たないと、日本の市場も取られるということに、もしかしたらなるかもしれない、というところまでシミュレーションをしたりなんかしていますけども、そういうことでデジタル化がどんどん進んでいくと。

今日はこれぐらいにしたいと思います、だいぶ長くなってしまったので。次回ね、また最後おさらいをしていきたいなと、話し忘れたことなんかも含めてもう1回ラップアップしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。