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第519回 パンデミック後のASEAN6小売市場の変化 その5

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹です。今日で最後ですかね、このASEAN6のパンデミック後の小売・流通市場の変化ということでお話をしてまいりましたが、今日で最後、ラップアップをしていきたいと思います。

それでは、まあまあ、いろいろとお話をしたわけですけども、前回、ずっと使ってきた、この1枚目のスライドを振り返りながらちょっとラップアップをしていきたいなと思います。これは近代小売と伝統小売の数ですけども、近代小売の最新の数と伝統小売の数、そして、いかに近代小売が重要かということと、近代小売がパンデミックを経て大きく変わった2点のお話をさせていただいた。そして、伝統小売に関しても、伝統小売、このパンデミックを通じて大きな変化が2点ありましたよということと、そもそも伝統小売がなぜなくならないのかという理由を2つ、数値で証明できたんじゃないかなと思いますけども。いわゆる伝統小売というのは、小売単体で近代化するんじゃなくて、インフラ全体、道路・物流、全てのインフラが近代化するから初めて小売も近代化できるんだよと。そう考えると、各国の、特にVIPの各国の国土交通省が発表している道路整備計画とか、地下鉄の建設計画なんかを向こう何十年見ていると、そういう世界はそこにないので、じゃあ、勝手に小売だけが近代化するなんていうことはないよねということが1つの理由。もう1つは、フィリピンのように、業界全体、そして行政全体に守られている、こういう国もあるし。そもそも中央集権的なね、フランチャイズオーナーが、フランチャイズ本部に言われた通りのことをただやるという小売の経営をしたいか、これ、日本人はそうしたいと思って増えてきたわけですけども、中央集権型のこのビジネスよりも、自分たちが食える分だけでいいから、ファミリーが食える分だけでいいから、自由気ままにやりたいんだと、こういうやっぱり僕は、国民性はASEANの人たちには根強くあって、こういうほうが幸福度が高いと。そうなったときに、誰もが中央集権に入るかと言うと入らないので、やっぱり伝統小売、自由きままにやれる伝統小売というのは残っていくよねというお話。

さらに、447万店も、例えばインドネシアであったら、毎年何万店減っていっても、これは何十年、50年100年かかると、全部なくなるのに。そうじゃないから、その間にデジタル武装、伝統小売がデジタル武装していってね、どんどん強化されていくので、今以上に伝統小売というのは便利な存在になるから、数は減ると思いますよ、数は減ると思うんだけども、今以上に1店舗あたりの重要度が僕は増してくると思う。そうそう、この伝統小売のデジタルソリューションの話をするとね、テクノロジーで伝統小売がデジタル武装し始めてと、デジタル武装って、僕は何を言っているかと言うと、対消費者に対するデジタル武装、QRコードで決済ができるのでキャッシュレスですよと。あの汚いお金を触って買わなくていいわけですよ。ピッピッで買える。このピッピッで買えるということの成長ってやっぱりすごく大きくて。国によってはおつりが飴だったりするわけですよ。あまりにおつりが細かくて、そんな小銭は流通していないのでおつりが飴だったりと、そういうことが全部なくなって、全部デジタルの世界になっていく。携帯電話もプリペイドでわーっと増えたようにね、小売市場ももしかしたらQRコードで銀行から引き落とされるのもそうですけど、プリペイドで買い物カードが出てきて、それで引き落とせるなんていうことになるかもしれないですし、今はプリペイドじゃなくて銀行からの引き落としなんですけど、対消費者に対してはそういう利便性で。一番大きい利便性は流通とメーカーに対する利便性で、伝統小売のオーナーが自分たちが買いたい商品をスマホでピピピッで買えるんですよね。注文したら、次の日かその次の日には届くというような状態で。今までこれをディストリビューターが汚い現金を回収して商品を納めていたという。そして、この現金を数えて、手伝票に書いて、本部に持って行って、またそこで集計して、小銭を集めて銀行に入れてと、こういう作業が一切なくなるわけですよ、全部デジタルで決済されるので。なので、もうすでに10万店ぐらいのレベルでね、10万店に近いレベルで、これは試験的にこういうサービスが、流通と伝統小売との間で始まっているんですよね。もう本格的にサービス展開しているところもある。そういうところがオンラインでね、スマホで頼んでくれるんだったら5%引きますよ、10%引きますよと。それはそうですよね。今まで、そういう労力がなくなるので。伝統小売のオーナーにとっても割引が利くし、メーカーにとってもデータが手に入るということは一番の価値で、基本的にはどこの国の、どこの都市の、どこのいわゆる伝統小売で、何が売れているかって、全部データが入るわけですよね。そうすると、ここで何かをやるとさらに売れるという戦略をつくることができると、データによってね。これはね、非常に価値で。今までってPOSデータと言われるようなものを近代小売から買って、それをベースにいろんなことをやるわけですけども、伝統小売のほうが重要だ。その伝統小売のデータをメーカーはもらえるわけですよね。これは、誰がこのデータを牛耳るのかというのは、これはまた面白いなと思うんですけど、伝統小売にもしっかり見返りがあるといいなと思うんですけど、やっぱりここでのデータって、ビッグデータってものすごい価値で、これをベースに何をどうすればいいのかということが戦略立てていけるので。こういう世界がもうすでに広まっていっているし。

そういうことを考えると、伝統小売はなくならない、共存共栄していくと、デジタル武装によってさらに強固になっていきますよと。ここにEコマース比率が3割ぐらいガバッと入ってくると。このEコマースも新しいプレイヤーも出てくるでしょうし、今の近代小売が自分たちでEコマースに相当投資をしているのでね、それがグラブやゴジェックと提携をして、Eコマース、DXへの投資を非常に強化していると。そういう世界においては、本当にOMO、オンラインがオフラインと融合した新たな世界において、これはオンラインかオフラインかの話なんていうのは売り手側が意識しているだけの話で、買う側はそんなに深く意識していないわけですよね。自分たちが、今、喉を潤したければ目の前のお店で買うし、重たくて、何か今必要じゃないようなペットシートとか、お米とか、なんとかはオンラインで買うしということで、共存していく世界が出てくると。なので、どれかがどれかを支配するなんていう世界は、あまり僕は考えていなくて、近代小売、伝統小売、そこにECという3つの世界が連なっていくんだろうなというふうに思っています。

最後ね、ざっと整理の意味を含めて、ASEAN6の小売市場規模、今、次のスライドをお願いします。こんな感じでASEAN6は合計で117.9兆円。日本がね、150.7兆円ぐらいだったと思うんですけども。なので、前にも言った通り、このASEAN全体を1つのマーケットとして見るということはすごく重要で、もうすでにここまで来ているので、日本へ追いつけ追い越せもそんなに遠い話ではないのかなということと、EC化率の話もこのシリーズで、2019年と、2022年と、あと将来と、EC化率が6カ国でどう変わっていっているのかと、ユーロモニターをベースにしたデータをお見せしましたけども、こっちはGoogleとTemasekとBain & Companyが2022年に発表しているデータですけど、Eコマースの市場規模というのはだいたいこれぐらいの、円換算で、136円の換算なので、これぐらいになってきていますということで、マーケット全体をマクロとミクロで見ていただければなというふうに思います。

それでは今日でこのシリーズは終わりとしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。