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第523回 「基準値」を持つことの重要性 その4

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、基準値の重要性ということでお話をしていきたいというふうに思います。

日本の企業の、新興国、グローバルサウスを中心とした新興国市場に展開をするときに、自分たちの目標であったり、競合との競争戦略において、基準値を持つということは大変重要ですよと。多くの企業がこの基準値を持たぬまま市場で戦ってしまっていると。自分たちが目標を達成するために必要な基準値は何なのかと、競合に勝つために必要となる基準値は何なのか、これを持たずして戦っても、なかなか具体的なアクションにはつながらないので、この基準値を持ちましょうと。

これを何回かに分けてね、3~4回に分けてこれをずっとやってきましたけども、競合を可視化することで、例えばシェア20%を獲るためにはどういう基準値が必要なのかと、B2Cで言えばどれだけの間口が必要になるのか、伝統小売を含めてですね。そして、どういう組織で、どういうマネジメントをするとその間口に到達できるのか、また、チャネル・ストラクチャーそのもののデザインが日本企業は負けているよ、ここをしっかりやらないと物理的に到達しませんよという話をずっとやってきて。

今日はこの基準値の中で、少し競合の観点とは別の観点でお話をしていきたいんですが、消費財の場合ね、この図を、ちょっとすみません、スライドをお願いします。図の通りなんですけども、これは何を表しているかと言うと、横がストアカバレッジなので、どれだけたくさんの店舗に置けているかということと、縦軸がセールスパーストアなので、1店舗あたりの売上がどうかということなんですね。もちろん1店舗あたりの売上というのはだいたい平均値というのがあって、日販何個とか、週販何個という、その平均値というのが、それ、1日に1万個も売れないわけですよ。例えばこういう商品だったらこれぐらいというね、カテゴリーの平均値もあれば、自分たちの商品の平均値もあって。もちろんね、これは5回に1回選ばれるのか、5回に2回選ばれるのか、競合の商品と横並びにして並べるわけですから、それをどれだけたくさんの頻度で選ばれるかということを上げていかないといけないんだけども、まあまあおおよその週販平均線というのが緑の線があって、赤字ゾーン、黒字ゾーンというのがありますけども、結局、イニシャルコスト、現地法人があるということは、現法のイニシャルコストがあるので、ある一定のストアカバレッジを獲らないとね、週販の平均線というのはそんなに大きく上がっていかないので、黒字にはならないですよね。現地法人のコストが出ないと。そういうことは、やっぱり黒字ゾーンにまず抜ける、ブレークイーブンするためには、Traditional Trade、伝統小売をある一定数獲らないと、まず息継ぎできないということを考えないといけなくて。ここまでにどれだけ最短で何年で到達できるかということがすごく重要で、最初は当然沈むんですよね、現法を出してしまったらね。ただ、だいたい現法を出す前に輸出でやってきていますから、Modern Tradeのある一定のその棚は獲れていて、そこからいよいよ現産に切り替えて伝統小売もという話になっていくんですけども。この輸出の場合と現産現販の場合の、どこまでいくとブレークイーブンして、どこまでいくとこれぐらいの売上になるのかということを、ストアカバレッジの観点でしっかりと基準値を持つということをしないといけない。例えば、ベトナムで現地法人を持ってしまったときに、近代小売だけでは絶対に黒字化なんていうのはできませんから、どれだけのストアカバレッジを伝統小売で持たないといけないのか。輸出でやる場合は、伝統小売はある一定の条件化下で一定の伝統小売に限られてしまうので、そうすると、最大値はどれだけ売上があるのかという、こういう基準値を持たないで闇雲にやって、積み上げ式で積み上がったところが結果でしたみたいなね。それが高ければいいですけども、低かったら、「えっ、何のためにこれだけの時間と労力とお金をかけて出たんだろう」という話になってしまうわけなので、最初に答えを見に行くと。答えを見た上で逆算をしていくので、最初に答えを見てしまえば、これは登るべき山ではないということも見えてくるわけなので、この図の観点で、まず最初にどれだけのTraditional Tradeを獲らなきゃいけないの?と、小売のストアカバレッジを獲らなきゃいけないの?と、そのためには何をしなきゃいけないの?ということを全部逆算して、やるやらないを決めるというのは1つ重要な基準値を把握する観点ですよということと。

あと、次のスライドをお願いします。消費財のビジネスの肝って何かと言うと、出来る限りたくさんの人に、出来る限り速い頻度で、出来る限り永遠に商品を買い続けてもらうということが非常に重要なわけですよね。そういう意味で、じゃあ、売上を構成する計算式って何かと言うと、間口数×店頭販売数、単純にこれが売上になるわけですよね。どれだけたくさんの店に商品を置けたか。もちろん細かくね、この間口数もさらに分解していくと、それだけで計算式ができていくわけですけども、そこにどれだけのSKU置けたかとか、そういうことも関係してくるんですけど、基本的にはどれだけのたくさんの店に置けたかということと、その1店舗あたりの売上がどれだけあるのかということが売上をつくっていくわけですよね。じゃあ、このシンプルな掛け算が、さらに下の式、分解をしていくとね、SM1人あたりの担当間口数、これはセールスマン、SMというのはセールスマン、1人あたりがどれだけの間口を担当していて、×自分たちはどれだけのKDSMというのはキーディストリビューターのセールスマン、どれだけたくさんのKDSM数を持っているのかということ、それが総間口分のそれになるわけですよね。×1店舗あたりの販売数ですということなので、やっぱりディストリビューターとか、そこで働くセールスマンとかっていうことが非常に重要になってきて。これもさらに分解して計算していくと、それらがどういうマネジメントをしているのか、もうマネジメントを計算式にしたりすると、式として見ていてややこしいので、わざわざそこまではやりませんけども、基本的にはこういう計算式になっていく。ここにプロモーションの要素が掛け算されたりということをしていくんですよね、本当はね、もっと計算式に置き換えると。なんですけど、基本的にはもうシンプルに、あまりややこしいね、パッと見て分からないような式をつくったって意味ないので、ここを埋めていくということを1つの基準値として持っていたら、全然シェアは上がるし、目標も達成できる。さらに高度な目標や目的に向かって進むときに、またさらに計算式を細かくしていくということが必要になるので、ぜひね、こういう式を使って皆さんの基準値を掴んでもらえたらなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。