第526回 アジア新興国 失敗する3つの「思考」
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、この過去10回ぐらいの中でお話をしてきたことを少し総集編と言いますか、まとめということでお話をしていきたいなというふうに思います。ラップアップの意味も含めて、ちょっとお話をしていきたいんですけど、過去この10回の中で3つのことをお話していて、1つが「思考」の話、もう1つが「基準値」の話、そして、もう1つが、3つ目が「視点」の話ということで、日本の製造業が、アジア、グローバルサウスを中心とした新興国市場で戦略をつくる上で、この3つを変えないと、なかなか戦略自体が正しいというか、アウトカムを出せるような戦略になりませんよというお話をずっとしてきていて、この「思考」を改め、「基準値」を持ち、「視点」を変えましょうということを、ずっと僕も自分の取り組みの中でお客様と一緒に取り組んでいるんですけど、このまとめの話を今日はしたいなというふうに思います。
まず、「思考」を改めるということなんですが、これは何かと言うと、日本企業、失敗する企業と成功する企業の差って何なのって、この「思考」なんですよね。多くの失敗する企業が必ず陥る3つの「思考」パターンというのがあって、その話を過去してきていると思うんですけど、1つがプロダクト思考、これはどういうことかと言うと、いわゆる品質良ければ全て良しとというか、モノが良ければ全て良し思考なので、基本的にマーケティングを4Pで考えない、1Pで考えてしまう、プロダクトだけで考えてしまうので、基本モノが良いから、プライスも、プレイスも、プロモーションも、まあまあそこそこで大丈夫でしょうという考え方ですよね。この1PのPというのはね、プロダクトのPもそうなんですけど、プレミアムのPの意味合いも僕は持っていると思っていて、基本的にプレミアムの商品をという、このプロダクトのことだけを考えるということと、そのプロダクトは必ずプレミアムであるという、ここでなんとか突破しようというね、こういう思考の企業というのは非常に多くて。プロダクトを優位性にしないで、どう戦略をつくるかということを日本企業は考えなければ駄目で。プロダクトが良いのは分かっているんだから、その良いことは置いておいて、プロダクトを置いておいたときに何が優位性として残りますかと、プロダクトの品質以外の優位性を戦略の中に織り込めたら、これは日本企業ってプロダクトが良いですから勝つことができるんですよね。ただ、多くの日本の製造業は、プロダクトが良いだけが戦略の中心軸になってしまっていて、こういう企業はことごとく失敗をしてきていて。もう1つの問題は、このプロダクトのPがガラパゴってしまっていて、ガラパゴス化していて、あさっての方向を向いているんですよね。新興国市場が求めていないプロダクトの方向を向いているので、そういう意味で失敗のケーススタディは散々出ているわけですから、このプロダクト思考は、まず改めるということと。
それから、2つ目のパートナー。マーケティングにおいて絶対的に重要なのは、「誰に」売りたいかということで、「誰と」売るかよりも、「誰に」売りたいのかということのほうが圧倒的に重要なわけですよね。ただ、多くの日本企業は、この「誰に」売りたいのかということを、国境を越えると、ついつい頭からふわっと抜けて、「誰に」売りたいかがぼんやりしてしまって。一方で、「誰と」売りたいかと言ったら、大手のディストリビューターと売りたい、財閥系とパートナー組みたい、とにかく実績のあるところと、こう行くんですけど、皆さんのステージがまだ低いステージなのに、そんなに大手と組む必要ありますかと。大手というのは必ず主要なブランドであったり、クライアントをたくさん抱えていて、そんな状態でこの低いステージに今いる企業の商品を本気で取り扱ってくれるか、本当に強いチームがあてがわれるかと、必ずしもそうではないので、そこじゃないですよねと。「誰に」売りたいんですかということを明確に決めて、その「誰に」売れる人に売らせないと、それが良いディストリビューターなので、「誰と」売るかなので、そこが先ですよということで、「誰に」売りたいのかということよりと、「誰と」売りたいのかということが優先されてしまうので、それは逆だよねというのが2つ目、パートナー。
あと、3つ目がパーソン依存型。これもパーソン依存型の思考を変えろなんですけど、基本的に戦略がぼわっとしていて、とにかく現場の社員とか駐在員の力量でなんとかしろという、そういうケースが多くて。これは欧米の先進的なグローバル企業と真反対なんですよね。彼らは仕組みをつくる、まず先に仕組みをつくるので、人が誰であれ、仕組みで回るということに非常に投資をする。一方で、日本企業は人が大切、人は大切なんですけど、人が重要と言うと聞こえはいいんだけども、結局、人が辞めると右往左往になってしまうし、結局、人が良い人がいればうまくいくけど、良い人がいないとうまくいかないという、仕組みで回らない、こういう不完全なかたちになってしまっていて。この3つの思考パターンに陥っている企業がだいたいシェアが上がらないとか、うまくいっていないというのは、私が過去見てきた企業たちなので、そういうのが1つですよね。
ちょっと長くなってしまっていますかね。まあまあ、1回これぐらいで切りましょうかね。また次回、今日は「思考」のまとめの話をしているので、「基準値」の話と「視点」の話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。