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第531回 B2B 海外事業に成功する企業としない企業の差 その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、B2Bの製造業向けのお話をしていきたいと思います。

前回、前々回とね、失敗する、海外事業に失敗する、新興国事業に失敗する企業と成功する企業の差とは何なのかということで、失敗する企業というのは3つの思考パターンにとらわれてしまっていますよということで、前回、前々回と、1つ目、2つ目のお話をして、今日は最後の3つ目のお話になります。スライドをお願いします。このスライドのように、海外事業に失敗する企業というのは3つの思考パターンにとらわれてしまうと。私が過去見てきた企業、みんなそうでした。1つがプロダクト依存型、そして、前回お話したパートナー依存型、そして、今回がこのパーソン依存型という、最後のお話になります。

パーソン依存型ですね。次のスライドをお願いします。これね、どういうことかと言うと、平たく言うとね、日本のB2Bの製造業の海外展開、これは社としての戦略が非常に弱いんだけども、個としての能力は高いという、こういうジレンマをずっと日本企業って抱えていて。今お話しているのって、生産拠点としての進出ではなくて、実際に新興国市場をマーケットとして捉えて出て行くときのお話なので、生産拠点はね、基本的には安い労働力を使って、新興国で安くつくったものが、先進国で高く売れれば、これはビジネスが成立するので、この事業、ビジネスモデルというのは、日本企業は得意としてきていて、過去ずっとそれで成功してきたんですけど、今求められているのは、いかに成長しつつある、している、まさにこれから大きな市場に、さらに大きな市場に拡大していくであろう、グローバルサウスを中心とした新興国市場で、どう売っていくかということになったときに、社としての戦略が非常に弱いんですと。ただ、日本のビジネスマンは能力が高いですから、個としての能力は非常に高いよねと。これってどういうことかと言うと、戦略はないけど、戦術はあるよということになるんですよね。ただ、戦術で戦略は補えないですから、基本的に戦略というのは方向であり、選択であるわけですよね。どっちの方向に進むのかという、この方向の選択をするということが戦略ですと。そこに、じゃあ、進めと、実際に進むことが戦術なわけですけども、足が速くて、ものすごく効率的に進める術を個としては持っているんだけどもね、示された方向が間違っていたら、間違った方向にどれだけ速く進んだって決してゴールには着かないわけなので。基本的には、この戦略が弱いということはものすごくグローバル競争の中ではディスアドバンテージで。むしろ戦略が非常に重要で。

ただ、逆に言うとね、戦術でこれだけ高い能力を発揮しているんだから、戦略が強かったら、もっと強いということなんですね、日本企業って。だから、プロダクト思考に陥ってしまうとか、パートナー思考に陥ってしまうというのも、これは全部原因は戦略が弱いからなんですよ。戦略がないからモノに頼る。戦略がないからパートナーに頼る。戦略がないから人に頼る。人というのは、これは駐在員のことを言っているんですけど、もしくは社員のことを言っているんですけどもね、海外担当者のことを言っているんですけど。全部の要因は、戦略を強めない、戦略に重要度を置かないというか、戦略のつくり方が下手。そこをやっぱり改善させないと、根本的な問題の解決にはならないというのが今の日本のB2Bの製造業の問題だと思っています。

次のスライドをお願いします。これ、戦略と戦術の関係って、マーケティング力と営業力の関係にも非常に似ていて、マーケティング力って売れる仕組みをつくる能力なんですよね。先進グローバル企業が得意なのはこれです。なぜ彼らが先進グローバル企業になるのかと言うと、彼らはマーケティング力、売れる仕組みをつくる能力が非常に得意である、強い。一方で、営業力というのは、顧客と商談して受注を獲得する能力なので、これってもう掛け算にならないんですよね。足し算なんですよ、どこまで行っても足し算。そうすると、やっぱりマーケティング力という枠組みがしっかりあって、その上で営業力を発揮しないといけなくて。マーケティングという戦略はなく、営業力という戦術に長けていると。そうすると、掛け算で進んでいく企業と足し算で進んでいく企業、これは結果は火を見るより明らかだということになりますので、人ではなく、俗人性ではなく、戦略で戦っていくということが重要であるということでございます。

皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。