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第539回 B2B製造業−必要なのはチャネル力と営業力

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、B2B製造業向けのお話をしていきたいと思います。ASEAN、グローバルサウスを中心とした新興国市場にB2B企業が展開をしている。その中でどうやって成長を維持し、拡大させていけるかという、グローバル・マーケティングの視点でのお話になります。

今日のお話は、「必要なのはチャネル力と営業力」というタイトルをつけてお話をしていきたいんですが、B2Bの製造業が売上を上げるための方程式。この方程式の中に、大変重要な要素として「チャネル力とこの営業力」というものが含まれていますよと。ここを強化しないと、売上は伸びない、シェアは伸びないですよと、成長が鈍化してしまいますよと。これ、日本企業がよくありがちなのは、とにかく営業を強化だということを言われるんだけども、営業を強化するというのは、これ、チャネルという土台の大前提があって営業を強化するから売上が伸びるんですよね。日本国内のビジネスというのは、チャネルの土台が完璧までに整っているので、この土台の上で営業力という経営資源を投下すると、売上とかシェアに跳ね返るという、こういう構造になっていると。一方で新興国市場は、まだこのチャネルの土台が脆弱なので、営業力だけを強化しても、これは売上に跳ね返りが非常に少ない、ROIが悪いということになるので、このチャネルと営業を両輪で回すということが非常に重要で。そんな観点で今日はちょっとこの方程式の話を聞いてもらえればなというふうに思います。

では、すみなせん。早速スライドをお願いします。まずね、B2Bの製造業が売上を上げるための方程式なんですが、売上=顧客カバレッジ×1顧客あたりの販売数、これで売上が決まります。もちろんね、これは細かく、もっとややこしい式にしろと言ったら、じゃあ、1顧客辺りの販売数を伸ばすための式とかね、顧客カバレッジを伸ばすための式って、ブワーッと出てくるんですけど、シンプル・イズ・ザ・ベストなので、今日はシンプルに説明しますけども。基本的にこの顧客カバレッジというのはどういうものかと言うと、いわゆる海外、新興国に出たときにね、企業って3つに分類できる、大きく、日系顧客、それから欧米顧客、それから中国をはじめとしたローカル顧客という、この3つに分類できて、それぞれの企業で許容できる価格帯とか求めている製品というのは変わったりするわけですよね。こういう出身国でのカバレッジもあれば、もちろん大・中・小でのカバレッジもあるし、もちろんインダストリ、B2Bなのでインダストリをだいたい4つぐらいに分けて、自分たちのつくっている商品とか部品というのは4つぐらいのインダストリでメインに使われているので、大きく使われているインダストリから、一番小さく使われているインダストリまで、4つぐらいに分かれる、こういう顧客カバレッジですよね。どこまでのすそ野を獲っていくのかという顧客カバレッジ。この顧客カバレッジが伸びないと、売上というのは上がっていかないので、最低限必要な顧客カバレッジというのがあって、結構多くの日本企業の場合はこの顧客カバレッジが全然必要なカバレッジに至ってないというケースが結構あって、この顧客カバレッジで。

1顧客あたりの販売数というのは、これは1顧客あたり最大どれぐらい買えるんですか、平均どれぐらい買えるんですかと言って、ここにリーチをさせていくということはすごく重要で、1顧客あたりが少ないと言うと、平均値というのは必ずあるので、そこまで持っていかないといけない。大企業だったら100買える、中堅企業だったら50買える、中小企業だったら10買える、みたいな平均値というのがあるので、ここまでちゃんといけているの?という、これが販売数ですよね。じゃあ、これをさらに分解していくと、総顧客数、顧客の母数ですよね、というのがあって。SM1人あたり担当顧客数というのは、セールスマン、SMというのはセールスマン、セールスマン1人あたりが担当できる顧客数ってどれぐらいなの?と。これって言ったら物理的な話なので、1セールスマン20社以上の顧客持てません。これ以上持つと、1個1個にひずみが起きますとかって、こういうのがあるわけですよね。もしくは新規獲得1日何件しか回れませんとか、月に何件しか回れません、どれぐらいの顧客をセールスマン1人が持てるの?ということと、×KDSM、キーディストリビューターのセールスマンの数、KDSM。キーディストリビューターのセールスマンの数と、そのセールスマン1人あたりの担当顧客数というのがあって、×1顧客あたりの販売数なので、ここを見ていくということはすごく重要で、これによって「あれ? キーディストリビューターの数が全然足りないじゃん」なのか、「セールスマンの数が全然足りないじゃん」ということが往々にして日本企業には問題があって。セールス、物理的に営業をするのはセールスなので、これちょっと次の図で見てもらったら分かると思うんですけど、これ、チャネル力と営業力と分けていますけど、顧客カバレッジを伸ばしたりとか、この下の式の総顧客数に対するキーディストリビューターのセールスマンの数とか、セールスマン1人あたりが担当できる顧客の数って、これはチャネル力なんですよね。ここがしっかりと満たされているから、1顧客あたりの販売数、ここに営業力という経営資源を投下して、それが売上に反映されるという、こういう構造になっていて。

多くの日本のB2Bの製造業は、この営業力というところはしっかりと備わっていると。一方で、このチャネル力というところが、満たされていないので、全然足りないので、いくら営業力を強化しても、結局売上にはつながらないという、こういう構造が非常に顕著に見えるので、B2Bの多くの製造業は、チャネルの再構築というのが、今、本当に必要で、今一度自分たちのチャネルには何が足りていて、何か足りていないのかということを、競合を可視化することで基準値を持って見ていく、そして、足りないものを補っていくということをやっていくと、具体的に自分たちの売上を上げる、シェアをあげるための戦略が見えてくるということになるので、ぜひ皆さんもその必要性を考えてみてはいかがでしょうか。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。