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第544回 FMCG ASEAN6の小売市場

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日からですね、話をFMCG、B2Cの消費財に戻していきたいと思います。前回までずっとB2Bの製造業、B2Bの製造業ってネジから部品、完成品、装置までさまざまなインダストリがあるわけですけど、B2Bのグローバルサウス…、アジア・ASEAN・グローバルサウスを中心とした新興国市場におけるマーケティングの話をずっとシリーズでやってきたわけですけども、今日からまたFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のお話に戻していきたいなというふうに思っております。

今日は、ASEAN6の小売市場ということで、ASEAN6の小売市場、ちょうど数カ月前に私が出したこの『ASEAN6における販売チャネル戦略』 同文舘出版から出している本で、この本にもたくさん記載をしておりますが、それにも関係することになります。その話を今日はしていきたいなというふうに思っております。

じゃあ、スライドをお願いします。まず、ASEAN6の小売市場なんですけども、どれぐらいの規模があるんですかというところから、マクロからミクロに見ていくのが非常に重要なので見ていくと、ASEAN6の小売市場規模って今合計で117.9兆円、約118兆円あって、日本の小売市場が159兆円とかそれぐらいなんですよ。だから、なかなかいいところまで来ているんですよね。150…、ごめんなさい。159兆円だったかな。ちょっとごめんなさい。最後の桁が自信がないんですけど。150数兆円なので、まあまあ150兆円強と118兆円というふうに見てもらったらいいと思うんですけど。そんなに差がないとは言いませんけど、だいぶ差を縮めてきたなと、ASEAN6全体で見たらですね。ASEAN6というのは、SMT、シンガポール、マレーシア、タイ、先進ASEANと、新興ASEAN、VIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンのこの6カ国で構成しているものを僕はASEAN6というふうに呼んでいて、これの2022年の小売市場規模が118兆円ですと。中でも一番大きいのはやっぱりインドネシアで41.2兆円。なぜインドネシアはこんなに大きいの?という、VIP、新興ASEANのこのインドネシア。ベトナム、インドネシア、フィリピンというのは、いわゆる日系企業が最も注目をしていて、なおかつ難しさを感じている、あとで出てきますけど、伝統小売の存在が非常に重要になる市場なので。このVIPはなぜそんなに魅力かと言うと、やっぱりインドネシアで2億7,000万人、3億に迫る人口、フィリピンも1億強の人口、ベトナムも1億弱の人口で、平均年齢が26~27歳とかね、フィリピンが一番低くて。そんな中で若年層がこれからもまだまだ人口ボーナスの時期が非常に長くて、これからも非常に大きな成長をするだろうと。

私がシンガポールに住んでいた1980年代とか90年代のインドネシア、フィリピン、ベトナムとかって言うと、あんまりちょっとリゾート地以外は行きたくないなっていうぐらいのまだ途上国だったのが、この30年35年ぐらいで本当にこんなに成長するなんていうのはね、なかなか当時は予測できなくて。やっぱりASEANで先進国と言うとシンガポールだけという。あとはタイ、マレーシア、インドネシアのリゾート地には行ったけども、基本的にはなかなかビジネスとしても、首都で大きなビジネスをという話はなかったので、マーケティングサイドはね。生産拠点として行くとかっていうことはありましたけども。なので、そんな市場ですと。一番小さいのがシンガポールの5.8兆円なんですけども、基本的にシンガポールというのはASEANの中で最も最先端の国で。だって人口が550万人ぐらいなので、淡路島とかね、東京都と同じぐらいの面積しかありませんので、基本的には人口に比例して市場規模があると。550万人とね、一方で2億7,000万人で、41兆円と5.8兆円ですから、シンガポールはそれだけ1人あたりの所得が高いということも分かると思うんですが、これが最新の小売市場規模ですよと。

じゃあ、この金額ってどういうふうに振り分けられているんですかというのが次のスライドの話で。左が日用品を取り扱う主要な近代小売チェーンの店舗数の合計と、右側が小売市場、食品および日用品カテゴリにおける近代小売と伝統小売の比率、金額ベースですね、こうなっていると。もちろんね、さっきの小売市場規模というのは、小売全体が入っているんですよ。いろんなものがありますよね、小売って言うと、日用品や食品だけじゃないので、いろんなものがあるのであれだけ大きくなっていますよと。その中から食品とか日用品のカテゴリだけを切り出したものがこの図になってきますと。だから、いわゆるFMCGならびにその周辺カテゴリの企業さんですね、食品・飲料・菓子・日用品なんかはもうまさにこれですと。この図を見てもらうとお分かりの通り、近代小売の数が圧倒的にやっぱり少ないんですよね。日本だとセブンイレブンだけで2万数千店、2万3,000店舗とかあるわけですよ。一方で2万3,000店舗を超えているような国ってインドネシアだけで。インドネシアは3万6,700店舗、これはうちが主要と捉えている近代小売のチェーンの店舗数ですよね。3万6,700店なんですけど、でも、そのうちの3万3,000~3万4,000店舗はインドマレットとアルファマートという2大ローカル系のコンビニエンスストアの店舗数なので、それ以外の近代小売と言ったらもう数千店舗なんですよね。なので、非常に偏っているし。ベトナムなんかも非常に厚い市場ですけど、8,200店舗と。

一方で右の図を見てもらうと、これは青いのが近代小売で、緑が伝統小売ですと。この伝統小売の攻略に日本企業は皆さん課題を持っていて、そこの攻略がなかなかできている企業がほんの一握りであると。伝統小売を獲るためには近代小売を獲るということはもうマストな話で、ここで売られてないものは伝統小売のオーナーは取り扱わないので、基本的には近代小売で売らないといけない。その前提があった上で伝統小売にも配荷をしていくわけなんですけど、その伝統小売をじゃあ売るために、いろんな仕様変更をしていかないといけないんですよね。なんですけど、この数を見てもらったら分かる通り、ベトナムで66万店、インドネシアで447万店、フィリピンで80万店、タイで45万店、マレーシアで20万店と、この本当に非常にたくさんの無数に広がる伝統小売をどうやって攻略していくかということが非常に重要で。そのために必要なのが販売チャネル、もっと言うとディストリビューション・ネットワークという話になってくるわけなんですよね。なので、ASEAN6の小売市場ということなので今回はチャネル戦略の話はしませんけども、基本的にはASEAN6というのは、小売市場というのは、こういうような構成になっているということでございます。

次回ね、伝統小売の話をもう少し深堀っていきたいなと、伝統小売の未来みたいなところについてお話をしていきたいなというふうに思っております。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。