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第548回 FMCG ASEAN6の小売市場に占めるEコマースの割合

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、B2C消費財メーカー、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG周りの消費財メーカー向けのお話をしていきたいと思います。対象国はASEAN6になります。

今日のお話なんですが、「ASEAN6の小売市場に占めるEコマースの割合」ということで、ちょっとECのお話をしていきたいなというふうに思っております。なぜECの話かと言うと、このパンデミックの3年間、2020年、2021年、2022年を経て、ASEANのEコマース市場も劇的に変わった、結論から言うと増えたという、3倍に増えているんですけど、3倍に増えたという状況があります。EC事業者だけではなくて、小売のDXに対する経営資源の投下も非常に著しくて、このパンデミックで手に入れたEコマースの利便性、もしくは進化というものを、おそらくASEAN6の人々は手放す理由がそこにないので、これからの成長率を見たときに、パンデミックの期間中はEコマースが必要だったので、人と接しれないので、Eコマースで持ってきてもらうということが必要だったのでグーンと伸びましたけども、そこの利便性というのは、1回便利なものを使ってしまうと、人はなかなかそれを忘れませんから、基本その各機関で出しているデータも、2027年ぐらいまでずっと、予測を出しているんですけど、伸びていくだろうと。成長率は鈍化しても、ずっと基本的にはEコマースというのは伸びていくと。そうすると、製造業としては、基本的には近代小売をマストで獲りつつも、前回のお話で話した、「伝統小売は消えませんよ」と、消えない理由をいくつかお話していますけど、伝統小売のデジタル武装、これでさらに伝統小売が強化されていくので、ここを押さえつつその間に割って入ってくるEコマースという、この3マーケットをしっかり獲っていくということが必要になってくるという構造かなと。

ちょっとデータを見てもらったほうが早いので、スライドをお願いします。このスライドは、ASEAN6の2019年から2027年までのEコマースの割合を示しているデータです。ユーロモニターのデータをもとにスパイダー・イニシアティブで作成をしております。このデータを見てもらったら分かるんですけど、2019年のベトナムなんていうのは4.5%だったんですよね。それが2020年、2021年、2022年で12.3%、約3倍に伸びているんですよね。インドネシアがもともとEコマース一番発展していたんですけど、10.1%だったものが31%、これも3倍と、フィリピンがASEANの中では最もEコマースが遅れていて、これも2.7%が7.6%、シンガポールも9.3%が16.4%、マレーシアも6.4%が11.7%、タイも6.2%が19.1%ということで、2倍~3倍に拡大しているんですよね。
2023年、2024、2025年と成長率は鈍化するものの、2027年にはこういう予測が立っていると。なので、VIPなんかを中心に見てもらうと、インドネシアなんかは約3割はもうコマースですよと、Eコマースですよと。フィリピンでも13%ぐらいはEコマースで、ベトナムでも2割ぐらいはEコマースなんじゃないかという予測が出ているので、もちろんね、これは製品カテゴリーによって、自分たちの商品がどのカテゴリーに属するのかによってどうなっていくのかっていうのはまた別問題なので、それぞれのカテゴリーでEC比率というのを見ていかないといけない。これは全体では2~3倍上がっているというけど、じゃあ、本当にFast Moving Consumer Goodsの中心、FMCGの中心にある商品はどうかと言うともっともっと低かったりするので、これは気を付けてデータを見ていく必要があるんですけど、相対的に上がっていますよということが1つ言えますと。

近代小売なんかも、各国でこのパンデミックの前までは結構大型店舗の出店計画というのを立てていたんですよね。それがパンデミックの間にやっぱり小型店舗であまり人が交わらない店舗のニーズが非常に増えたので、どちらかと言うと郊外型で車でバッと行ってワーッと買うという店舗よりも、すぐ近くに小型の店舗であるっていう、小型店舗の出店計画のほうが言ったら伸びているというのが今現状なので、小売の出店計画も大きく変わってきているし、彼らのEコマースに対する設備投資も相当なものだったと。なので、どこの国も主要、トップ1、2、3ぐらいの近代小売は、Eコマースでの買い物が非常に便利になっていて。

じゃあ、宅配は誰がやっているの?と言うと、もちろん小売側がやっているケースもあるんだけども、例えばインドネシアだったらゴジェックだし、その他の国だったらグラブのいわゆるシェアリングエコノミーのライドシェアですよね、ライドシェアのバイク、日本だと車ですけど、バイクが中心になるので、ASEANは、そのバイクで宅配をしていますよと。もちろんね、住居エリアというか、治安の問題とか、場所によっては置いたものがなくなるとか、いろいろあるんですよね。なので、そういう意味ではエリアが限られているというのが1つあるんですけど。

フィリピンなんかもね、英語圏でアメリカの影響を強く受けていて、Eコマースの比率が2.7%で低いと。これはレギュレーションの規制って特段ないのに、なぜフィリピンだけこんなに極端に低いんだろうって言うと、これは1つはサリサリストアが80万店あって、わざわざECで買わなくたってサリサリで買えるじゃんみたいな話が1つと。あと、やっぱり大多数の人たちが、今までは、ものをそんな、宅配で不在だったときに、日本みたいに宅配ボックスないし、誰かが代わりに受け取ってくれる仕組みなんてないし、置いておいたら20分でなくなるよね、ものがっていう、そういうお国柄というか、そういう地域が非常に多い。あと、住所が基本的にこの一帯同じ住所ですみたいなところも結構まだまだあるんですよね。そうすると、やっぱりそこが1つのネックになって、なかなか伸びていかなかったということがあるんですけど、そういう課題が1つ1つパンデミックで必要に迫られて改善されてきているので、これからは各国たぶんすごく伸びが、ある一定の割合はしっかり残っていく、残っていくというか、伸びていくというふうに思います。なので、今後は、近代小売、伝統小売、そしてEコマースということを考えていかないといけないと。日本のヤマトや佐川みたいな素晴らしい宅配、宅急便の仕組みというのがなくても、ライドシェアのバイクのやり方で運んでいくということになっていくので、デジタルの力でたぶんどんどん、どんどん、日本とは違う進化を遂げていくんじゃないかなというふうに僕は思っています。

今日のお話はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。