第549回 RCEPの魅力

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、消費財メーカーに限らずB2Bの製造業含めて、日本の製造業全般に向けてのお話です。内容は「RCEPの魅力」ということで、RCEPの重要性みたいなところについてお話をしていきたいなというふうに思っております。

RCEPはね、今年の2月ぐらいに少しニュースでも話題になっていると思うんですけども、包括的な経済連携の略で、このアジア地域の包括的な経済連携をしていきましょうよということで、ちょっと図をみてもらうと分かると思うので、スライドをお願いします。まさにこの図なんですけど、中国、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド、韓国ということで、このエリアで包括的な経済連携を進めていきましょうという、そういう取り組みなんですよね。詳しくは検索してもらったらいいと思いますけども、中国の重要性、ASEANの重要性、そしてRCEPの重要性ということで、あらためて考えると、日・欧・米の経済支配の時代が長らく続いたわけですよね。最近、皆さんもテレビなどで「グローバルサウス」なんていう言葉をよく聞くと思うんですけど、先進国と新興国という、この2つの流れの中で、先進国の成長が鈍化しつつある中、新興国の成長が非常に著しいということで、インド・ブラジル・アフリカ含めて、どんどん、どんどん、世界が新興国が力を増してきたというのが今の現状で。

今後の日本企業がグローバル・マーケティングを考えるときに、欧米のマーケットというのはもちろん引き続き重要だし、日本もね、少子高齢で伸びないと言っても、引き続きある一定の割合は占めるマーケットであると。ただ一方で、自分たちの少し周辺を見てみると、時差1~2時間とか、フライト時間が2時間半~7時間半ぐらいの地域に、人口22.7億人を抱えて、世界全体の3割の人口がそこにいてね、そしてGDPで25.8兆ドルで世界の約3割のGDPがそこにあって、貿易総額でも19兆ドル、世界の約3割の貿易総額がそこにあるという、こんな素晴らしいマーケットが時差1~2時間のエリアに収まっているって、ここを獲らないで何するの?ということをね、あらためて最近すごく強く思います。アメリカに行く、ヨーロッパに行くといったって、やっぱり時差ってすごく重要で。時差1~2時間の地域っていうのは、やっぱり日本の影響力であったり、影響も強く受けるし、逆に相手の影響も受けやすいので、そういう意味ではプラスの要素ってすごくたくさんあって。この時差1~2時間のマーケットにもっともっとたぶん投資をすべきだし、もっともっと力を入れる、それが世界の約3割だって言っているわけで。もっとびっくりするのは、ここの地域にインドが入っていないということなんですよね。インドが入っていないし、バングラデシュも入っていない。そこを含めたらどうなってしまうの?と、世界のGDPの5割を超えるような市場に将来なってくるよねと。そう考えていくと、やっぱりこのアジアのマーケット、ここをしっかり獲るということを今一度考えていく必要があって、中国、それからASEAN、インド、オセアニアということで、この4地域に分けてしっかりと戦略を再構築していくということは本当に重要だなというふうに感じる次第でございます。

なので、皆さんも、ぜひ一度このRCEP、これ、RCEPって単国で考えては駄目、ASEANも単国で考えるのではなくて、6カ国で考える。6カ国+メコン経済圏の3カ国と、この6カ国で見ないといけなくて、それぞれ人・モノ・カネ・情報は行き来しているので、1カ国でどうのという時代はもう過ぎたんですよね。「ベトナムで成功しました、以上」みたいな時代ってもう過ぎていて、これからの2020年代以降の時代ってやっぱり6カ国で見ていかないといけないし、RCEPもRCEP全体で見ていかないといけない。これが国際マーケティングとグローバル・マーケティングの決定的な違いなので、全体で見ていくと、自国と他国という、こういう視点ではなくて、RCEP全体で見るという、こういう戦略のつくり方が大変重要だなということでございます。ですので、皆さんもね、今一度このRCEPの魅力にぜひ触れてみてはいかがでしょうか。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。