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第555回 FMCG フィリピン小売市場 その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、フィリピンの小売市場についてお話をしていきたいと思います。それでは、早速スライドをお願いします。前回ね、フィリピンの市場、小売市場規模であったりとか、伝統小売がいかに行政であったり業界、消費者に守られているのかみたいなお話をしましたけど、今日はこの主要近代小売についてちょっとお話をしていきたいなというふうに思います。

まずね、この左側のスーパーからいきたいんですけども、フィリピンって3大小売ですよというふうにお話しましたけど、財閥系なんですよね。財閥系、コングロマリットの企業が占めている国で、フィリピン経済の7~8割は財閥が占めているというふうに言われているぐらいに非常に財閥の力が大きくて、財閥と言っても2タイプあって、中華系とスペイン系があるんですけど。もう中華系の活気が活気づく一方でね、スペイン系の財閥はもう大半が勢力を失っていて、今だとアヤラぐらいなんですよね、目立つ存在というのは。SMとかロビンソンズ、両方とも中華系の財閥がやっていますよと。

SMって、シューマートというふうに言われていますけど、フィリピンの最大の財閥のシー財閥というのがあって、2019年に創業者のフィリピンの大富豪のヘンリー・シーさんが亡くなりましたけども、その資産は6人の息子に引き継がれて、シー家が依然としてフィリピンでは非常に大きなというか、一番の大富豪ですよと。資産で言うと、今の為替だったらたぶん3兆円ぐらいあるのではないかなというふうに思いますけどもね、もっとあるかもしれないですね。ちょっと頭が抜きんでているというのがシー財閥、それがやっているSM。もともとね、この創業者のシーさんって、ヘンリー・シーさんって、12歳ぐらいのときにフィリピンに中国から渡ってきて、マニラで靴屋を始めたという、だからシューマート、シューマートというふうに、その名残りでみんなシューマートって呼ぶんですよね。SMはこのシューマートの頭文字を取ってSMというふうにしていて。今ではこの小売だけではなくてね、フィリピン最大の商業銀行のバンコ・デ・オロという、BDOという、BDO、BDOって紫のバックに黄色の字でBDOだったかな。とかよく見ると思うんですけど、フィリピンに行ったらね。あと、不動産の最大手のSMプライムもシー財閥がやっているし、ファーストリテイリングが合弁でユニクロを展開しているのもこのSMグループなんですよね。極論を言ったらね、フィリピンの不動産大手なので、常に好立地の店舗を出店し続けることが可能で、そこに商業銀行を入れて、お金をつけて小売を買ってもらってみたいな、イオンみたいな感じですよね、日本で言うとね。非常に大きいですよと。

ロビンソンズ、ここも小売もやっている、食品、航空、不動産、石油、繊維、通信、何でもやっている非常に大きなゴコンウェイ財閥というのがあって、非常に大きいですよと。ピュアゴールドだけが財閥系ではなくて、フィリピンの有力な実業家のルシオ・コーという人がいるんですけど、そのルシオ・コーさんがやっている小売であるよということで。ピュアゴールドが最近非常に元気がいいので、ちょっとSMか、ピュアゴールドか、どっちかって甲乙つけがたいですけど、小売だけで見たら非常に優秀なこの3大小売というのが非常に大きいですよと。その次がガイサノかなというふうには思いますけども、この3大小売でいかに売るかということが非常に重要になってくると。

コンビニに関してはね、もう店舗数別で言ったらセブンイレブンがやっぱり一番多くて、それでも3,250店舗なので、やっぱりセブンイレブンだけではなかなかというところもあるのかなと。アルファマートが進出していて、すでに1,200店舗を超えてきていますから、今後のこのアルファマートの出店計画は非常に気になるところかなと。ミニストップとかは456店舗なので、ちょっとだいぶ少ないですよと。あと、ガソリンスタンド併設店、アメリカの影響を非常に強く受けているので、ガソリンスタンド併設店みたいなのはやっぱり多くて。あとね、僕が気になっているのは、ドラッグストアでマーキュリードラッグというのが1,200店舗ぐらい、いろんなところにあるんですよ。その中の結構な比率は、店舗の半分は薬局なんだけど、半分はコンビニ化しているので、非常にマーキュリードラッグを押さえていくということも、1つ重要な指標になってくるというふうに思っています。

ということで、前回、今回とフィリピンの小売市場のお話をしましたけども、VIP、どれをとっても絶対的にあるのは、伝統小売を獲らなければ、このフィリピンの市場も、インドネシアも、ベトナムも、VIPと言われる市場は大きなシェアも獲れないし、大きな収益を上げることはできない、これはもう小売の事業者、流通関係者、誰に聞いてもみんな同じことを言います。伝統小売を攻略しなかったら儲からないと、みんな同じことを言うので、これらの国はやっぱり伝統小売をしっかりやっていかないといけないし、その伝統小売をやるためには、近代小売でいかにプレゼンスを発揮するか、売れ筋になるかということが重要で。ある一定の影響力を近代小売で持つ、そうしないと、伝統小売のオーナーが扱ってくれませんので、近代小売と伝統小売というのは両輪ですよと。多くの日系企業が限られた伝統小売、日系の匂いのする伝統小売とか、輸入品棚を、ローカルの近代小売でも輸入品棚にしか置かれていない、日系の匂いのする近代小売にしか置かれていない、近代小売も限定的な配荷で終わってしまっているというケースがあるので、いかに近代小売の、メインの近代小売、主要な近代小売のメインの主要な棚に置いて、なおかつ伝統小売向けのディストリビューション・チャネルを構築するかということが、VIP市場、フィリピン含めて、ベトナム、インドネシア、フィリピンの市場では大変重要ですよというお話でございます。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。