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第554回 FMCG フィリピン小売市場 その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、フィリピンの小売市場についてお話をしていきたいと思います。前回その前、何回か前ぐらいから、VIPの小売市場ということで、ベトナムの小売市場、それからVIPの「I」、インドネシアの小売市場、今日がフィリピンの小売市場ということでお話をしていきたいと思います。

それでは、早速スライドをお願いします。まず、フィリピンの小売市場の規模のお話からちょっとしたいのですが、フィリピンの小売市場の規模は20.9兆円というふうにこの図に書いてありますけど、これは136円換算なので、今の為替レートで言うと23兆円ぐらいあるのかなというふうに思います。23兆円の小売市場規模ってどれぐらいなの?ということなんですが、日本が150兆円なんですよ、小売市場規模、なので、それと比べるとだいぶおとなしい感じはありますけど。でも、ASEANというのは、フィリピン単体で見ない、ASEAN6で見たら150兆円、日本と同じぐらいの小売市場規模になりますから、そのうちの一部地域、フィリピンという一部地域が23兆だというふうに考えてもらえればと思います。人口も1億強いますから、これから中間層・貧困層含めて所得がどんどん、どんどん、上がっていくと、これは小売市場規模というのは必然的にどんどん、どんどん、上がっていくので、これから非常に大きな市場に成長していくと言われているのが、このVIPの一角を占めるフィリピンであると。

次のスライドをお願いしたいんですが…。フィリピンの小売市場をちょっと考えたときに、まずやっぱり絶対的に重要なのが、伝統小売が非常に重要な市場であるよということが1つですよね。これは左の図が、これはベトナム・インドネシアでも出しましたけども、主要な食品とか日用品を取り扱う近代小売のチェーンで、だいたいフィリピンで9,400店舗ぐらいありますよと。特徴的なのが、フィリピンはもう3強なんですよ、3強小売。SM、皆さん、シューマートと呼ぶ人は結構多いですけども、シューマート、SM、それからピュアゴールド、ロビンソンズのこの3強が非常に強い。もう3大小売、フィリピンの3大小売。この3大小売に入ってなかったらないのと一緒ぐらい、非常に強いのがフィリピンのこの近代小売。数を見てもやっぱり主要どころと言うと9,400店舗ぐらいしか全土でないので、やっぱり伝統小売を獲らないといけない。右が伝統小売なんですけど、その比率、金額ベースの比率73%がまだ伝統小売、店舗数で言うと80万店。これはフィルスターというフィリピンのオンラインメディアが、コロナ禍で、フィリピンって政府のね、行政のいわゆる小規模事業者支援みたいなものがいっぱい受けられたんですよ。いわゆる高利貸しにサリサリストア、伝統小売のオーナーさんが手を出して、借金を抱えて雪だるま式に膨れ上がって首をくくるみたいなね、そういうことを阻止するために、行政が低金利でローンを手厚くやったんですよね。フィリピンって本当に伝統小売が業界にも行政にも消費者にも守られている、そういう市場で。一説によると16万店ぐらいさらに増えたと、だから、96万店ぐらいあるのではないかというふうに言うオンラインメディアもあって。弊社ではまだ確認が取れてないので80万店というふうにしていますけども、基本的に伝統小売が非常に重要な市場で。

面白くて、フィリピンの伝統小売がなぜ行政にも業界にも消費者にも守られているというのは、例えばね、伝統小売、これは本当にフィリピン特有なんですけど、フィリピンの伝統小売の仕入れ、調達ってどうなっているかって言うと、例えばピュアゴールドとかでやるんですよね。ピュアゴールドから商品を調達して、ピュアゴールドに行くと、サリサリのオーナー向けのレーン、例えばレジカウンターが20個あったとしたら、10個はもうサリサリのオーナー向けのレーンになっていたりとか、あとアリン・プリン・プログラムというのがあって、サリサリのオーナー向けの売れ筋商品だけを取り扱っているところ、もしくはそのサリサリのオーナー向けの買い物のレーンみたいのがあるんですよね。全部が10個20個入りになっていて、ちっちゃいものが10個20個入りで大袋に入っていて、それをサリサリのオーナーが買ってばらして売るみたいなね。こういう非常にサリサリのオーナーを支援する、日本で言ったら駄菓子屋がイオンで買うみたいな話ですよ、仕入れるみたいな話ですよね。駄菓子屋がドン・キホーテで仕入れる、こっちのほうがイメージしやすいかもしれないですけど、そういう世界観。日本の場合はね、小売の近代化がもう何十年も前に進んでしまったので駄菓子屋が淘汰されてしまいましたけども、基本的にはフィリピンの場合はそういうことになっていて。インドネシアのアルファマートなんかもフィリピンに進出していて、今、結構な存在感を出しているんですけども。そのアルファマートもサリサリのオーナー向けの支援をやっていたりとかっていうことがあるので、非常に小売、流通業界全体にサリサリのオーナーというのは支援されているというのがフィリピンの状態でございます。

次のスライドをお願いします。これがスーパーとコンビニの主要どころなんですけど、これの詳細について次回お話をしていこうかなと思うんですけど、非常に財閥系が強いんですよ、タイと一緒で、フィリピンの小売って。この3強のうちの2強は財閥系だし、もう1つはタイクーンだし。なので、その辺の話を次回ちょっと詳しくお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。