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第562回 【本の解説】一方的な製品の優位性よりも、相対的なチャネルの優位性

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日から新しい題材ということでお話をしていきたいなというふうに思います。今回からですね。以前、『グローバル・マーケティングの基本』、この本の解説をシリーズでやっていったことがあるんですが、これは2020年かな、2020年に日本実業出版から出した本ですけど、この本の解説をやったんですが、それと同じように、去年の7月8月に私が出した、同文館出版から出した『ASEAN6における販売チャネル戦略』という、この本の解説をやっていなかったので、それについてしばらくやっていきたいなというふうに思います。この本、皆さんももうすでに買ってもらっているかなというふうに思いますけども、弊社のセミナーなんかでは今年から、B2C向けのセミナーではこの本を配っていますので、持っている方も多いと思いますけど、この本の解説をしていきたいなと。

第1回目の今日なので、少しまえがき、どんな内容なのか、概要をざっとお話をしていきたいのですが。まえがきにね、ちょっと私書いたんですけど、前書きの2段落目かな、「一方的な商品の優位性よりも、相対的な販売チャネルの優位性のほうが圧倒的に重要です」というふうに、これは1つのこの本の一番重要なメッセージで。日本企業って本当に製品が良いので、一方的な製品の優位性をマーケティング戦略の中心に置いてしまうんですよね。言うと、この商品が良いというマーケティング戦略、これも1つのマーケティング戦略なので、これにあまりにも固執し過ぎるがゆえに、ほかのマーケティングを置いてきぼりにしてしまうという傾向が非常に強くて。でも、残念ながら、今、モノがあふれる世界でね、日本企業だけがつくれたものが、中国の企業、アジアの企業でもつくれるようになってしまった中で、基本的には一方的な製品の優位性をね、こんなに品質が高いんだ、こんなに技術力があるんだということを一方的に言うよりも、相対的に、他社と比べた上で相対的に見て販売チャネルがどれだけ優れているかということのほうが、売上やシェアには直結しますよと。つまりは圧倒的に重要ですよということを言っているのがこの本なんですよね。そのためにはどういう販売チャネルをつくらなきゃいけないのかと。この表紙に書いていますけど、「再現性の高い「型」の習得こそシェア拡大の鍵」というふうに表紙に出ていますが、これが非常に重要な話で。

帯がね、こういうのが付いているんですよね。「近代小売」「伝統小売」というふうに、「小売」というふうに書いてあるので、基本的にはこの本はね、B2C、消費財メーカー、FMCGですね、食品・飲料・菓子・日用品向けに書いた本です。ただ、まえがきにも書いたんだけども、一方でB2Bの企業にとっても基本的に小売があるかないかという大きな違いはあるんですけど、自分たちの事業に置き換えて考えてもらうと十分役に立つ話かなというふうに思うので、B2Bの方にとってもまったく読めない本ではないというふうには思っています。そうは言ってもね、今ちょうどB2Bの製造業向けに本を書いていますので、今年どこかで出せたらいいなというふうに思っていますけどもね。基本的にはB2Cですけども、B2Bの企業の皆さんは自分たちの事業に置き換えてもらうということかなというふうに思います。

ざっと目次を見てもらうと、これは第1部と第2部と第3部というふうになっていて、第1部はね、いわゆるASEAN6全般に言える販売チャネル構築のハウツーみたいなことを書いていて、第2部がVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピン、第3部がSMT、シンガポール、マレーシア、タイに特化して書いている、3部構成になっているんですよね。まずはこの第1部の話からということになるんですけど、ちょっと第1部ね、どういうことを書いているかと言うと、「戦略的な販売チャネルの構築に向けて」ということで、第1部の中でも1章、2章、3章というふうに分けていて、1章は「「型」の有無がシェアを決める」と。これは販売チャネルってまさに「型」なんですよね。先進的なグローバル企業というのは、基本的に販売チャネルの「型」をしっかり持っていて、これって何十年もの試行錯誤の上で出来上がった「型」なんですよね。この「型」をどの国に行っても水平展開させているという、これが非常に重要なポイントで。多くの日本の企業は、この「型」を持ち得ていない。なので、どうしても俗人的になるし、チャネルの重要性よりも商品の重要性みたいなところに目がいってしまうんですけど、基本的にこの「型」をどうやってつくっていくかということが、この本の主な内容でございますので。次回以降、この本をページごとに解説をしていきたいなというふうに思います。読んでもらっているのでね、ざっと私が解説することで、皆さんが読んでいる理解をより高めていただけたらなというふうに思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。