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第563回 【本の解説】販売チャネルの『型』を手に入れる

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、去年、私が出した、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』 同文館出版から出していますけど、この本の解説をしていきたいと思います。

前回ね、ちょっとこの本の中での最も重要なメッセージは何なのかというお話を、まえがきに書いてありますよというお話をしました。「一方的な商品の優位性よりも、相対的な販売チャネルの優位性のほうが圧倒的に重要ですよ」というメッセージが、もうこの本の一番重要なメッセージですと。その中でね、この目次を、第1部、第2部、第3部とどういう構成になっているかという解説をさせてもらって、今日はこの第1部についてお話をしていくということでございます。

第1章ですね、「「型」の有無がシェアを決める」ということで、ちょうど3ページ、販売チャネルの「型」を手に入れるということで。一方的な製品の優位性よりも、相対的な販売チャネルのほうが圧倒的に重要です、圧倒的にシェアや売上に直結しますというお話をしていて、日本企業の場合はモノが良いので、どうしてもモノにマーケティング戦略が寄ってしまうと。けど、一旦そのモノをね、もう良いのは分かったから、一旦どこかに置いておいたときに、どれだけ販売チャネルで優位性を相対的に見出せるかということをやっていかないといけない。

私はこの20年いろいろな企業の販売チャネルを可視化して、分解して、分析をしていった中で、やっぱりシェアの高い会社というのは販売チャネルが非常に優れている。これはシェアの低い企業とシェアの高い企業を比べたときに、販売チャネルのまずストラクチャーがそもそも違うんですよね。使っているディストリビューターの数と質が全然違うし、そもそも顧客に行き届いている粒度が全然違うと。これでは配荷率が悪くなるし、伝統小売になかなか配荷できないよねという話になるし、近代小売と言ったって、大手の主要どころに入っているというのはいいんだけども、入っているだけでは駄目で、どのレーンの、どのコーナーに、どう入っているかということはすごく重要で、そこまで含めてチャネルなんですよね。自分たち、強い企業というのは、この販売チャネルの「型」をやっぱり手に入れているので、その「型」を手に入れましょうという、一番重要な説明をこの3ページからずっとしていて。

「型」というのは何なのかということを、私は流通構造と組織体制と活動内容の3つで構成していて。どういうことかと言うと、どういうふうな流通構造をまず持たすのかと。これは別名、チャネル・ストラクチャーとかって私は言っていますけど、基本的にはどういうふうに販売チャネル全体をデザインするのかということがすごく重要で。自分たちのターゲットに対して、どういう中間流通事業者、ディストリビューターを通じて、どういうふうに伸ばしていくんですかと。当然、現法があれば直販、輸出の場合はディストリビューターはすべて、近代小売も伝統小売も合わせて活用しないといけないわけで。このチャネルの網目のようなこのネットワークがしっかり自分のターゲットに届いているということはすごく重要で、この流通構造、3ページに書いてある流通構造というのはまさにそのことを言っているんですよね。

じゃあ、その流通構造の中で、どういう組織体制が組まれているのか。結局、活動するのは組織なので、自分たちが現法があれば自社のセールスの組織体系、それから、ディストリビューターさんの組織体系、要はディストリビューターにどれぐらい優秀な人が、何人専属で御社の商品を扱ってくれているんですかということがそもそもなければね、「やります」というぐらいの柔らかい話ではなくて、じゃあ、やりますというディストリビューターは、どういうチームをつくってくれていて、この3番目の活動内容、日々どんなことをしてくれているの? どんな組織で何をやってくれているの?と、どんな組織で何をやるから成果が出るという話なので、組織×活動内容=成果なわけですよね。なので、そもそも組織が弱いとかね、組織が強くても、やっていることがいまいち弱い。例えば、1日に20件伝統小売を訪問している企業と、10件しか訪問していない企業では、これ、結果は当然違うわけなので。どういうことをやっているかと、これを含めてデザインをしていかないといけないよねと、「型」だよねということを言っているわけですよね。

結局ね、たまたま成功しても、たまたまインドネシアで当たりましたと、なぜならば組んだ相手が良かったからですという会社は、ベトナムでは成功しない、フィリピンでは成功しない、タイでも成功しないということの事例はいっぱいあるんですよね。たまたまべトナムでは良かったと。でも、このノウハウが俗人的につくられたものなので、インドネシアやフィリピンやタイでは成功しませんみたいな会社はたくさんあるわけで。ASEANって、ASEAN6全体で小売市場規模150兆円、日本とほぼほぼ同じですよ。そうなってくると、ASEANというのは、ASEAN6全体で見るという視点と、国ごと、首都ごと、都市ごとに見ていくという視点と両方必要で。再現性をやっぱりチャネルに持たせないといけない。ベトナムで成功体験をつくって、そこで「型」を習得したのであれば、それをほかの国にも応用していく、これが再現性なわけですよね。ネスレだって、ユニリーバだって、みんな、PGだって、みんな成功している企業は、自分たちの「型」をもうすでに習得していて、その「型」を各国で再現性ある展開をしているということなので、そういう意味で「型」を持つということは大変重要ですよという説明をしているのがこのページですね。そうすると、俗人にならなくていいわけですよね、戦略的につくり上げているので。あと、輸出の場合と、現産現販の販売チャネルって全然違うわけですよね。輸出の場合に狙えるターゲットと現産現販でやる場合に狙えるターゲットって、これもまた違ってくるので、基本的にはその辺の販売チャネルの違いの話。

あと、先進グローバル企業のチャネルの「型」の話を10ページぐらいからやっているわけですよね。この先進グローバル企業の「型」の話。まだ時間大丈夫かな…。先進グローバル企業の、この先進グローバル企業の「型」の話は次回やりましょうかね。ちょっとたぶん、しっかり話をしたほうが良いと思うので。なので、9ページぐらいまでは、販売チャネルの「型」を持つということは本当に重要ですよと。なぜ重要なんですかということと、あと、輸出の場合の販売チャネルの「型」の持ち方と、現産現販の場合の販売チャネルの「型」の持ち方、こんな話をやっているのが、この9ページまでです。

次回ね、この10ページ、先進グローバル企業の販売チャネルの「型」ということで、先進グローバル企業の強さの秘密についてお話をしていきたいなというふうに思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。