HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第564回 【本の解説】先進グローバル企業の強さの秘密

動画番組 スパイダー・チャンネル

第564回 【本の解説】先進グローバル企業の強さの秘密

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、『ASEAN6における販売チャネル戦略』ということで、同文館出版から私が去年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日はね、10ページ、「先進グローバル企業の販売チャネルの「型」」ということで2番ですね。「2 先進グローバル企業の販売チャネルの「型」」ということでお話をしていきたいと思います。「型」の話をする前に、まず先進グローバル企業の強さの秘密を少しここでは書いていて。長年、先進グローバル企業というのを研究して、分析して、その強さの秘密を紐解いて、日系の製造業に伝えていくというのが僕の仕事なので、そんな中で僕がこの先進グローバル企業、この本は消費財をメインに書いているので、どういう企業を先進グローバル企業と言っているかと言うと、P&Gであったり、ネスレであったり、ユニリーバ、いわゆる世界のトップ消費財メーカー、FMCGメーカーというところを先進グローバル企業というふうに言っています。これは当然B2Bでも、それらの先進グローバル企業というのは存在して、B2Bの方はこれをもし見ていられたら、自分たちの事業に置き換えて考えてもらったらよろしいと思うんですけども。先進グローバル企業の「型」の話をする前に、なぜ彼らがその「型」をつくれるのかという話をしなきゃいけなくて、そのためにはやっぱり先進グローバル企業だけが知っている価値観みたいなものがあって、それが非常に型づくりに影響していると。

この10ページのところで書いているのが、スピードが価値に変わる仕組みを先進グローバル企業は熟知していますよということ。日本企業は判断が遅い遅いと一般的に言われて、欧米と言われるような企業は速いと言われていますけど、速い遅いの話ではなくて、なぜスピードが速いことが価値になるのかという、この構造自体を理解して、あとで詳しく説明しますけど。2つ目がグランドデザインを描く力が能力が高いと。グランドデザインというのは全体像なんですよね。個人で言うと、ビッグピクチャーというふうに言ってもいいかもしれませんけど。このグランドデザインを先に描いていって、ゴールを明確に見える化する。そのゴールに対して最短で到達するために逆算をしていくという思考になっているので、戦略とか戦術をつくるときに全部そういう思考でつくられている。このグランドデザインを見る力って本当に重要で、日本企業の場合は目の前のことをとにかく確実に着実にやるんだということで一歩一歩階段を上がっていって、着いた先にはきっと素晴らしい世界が待っているという思考が非常に強いんですけど。80年代90年代はそれで良かったんですけど。この2000年代になってから、一歩一歩目の前の階段を上がっていっても、必ずしも頂上には自分たちが求めているものがなかったりするというケースがあるんですよね。だって、のぼるのには時間がかかっていくわけですから。この時間の経過でグローバル化のスピードも非常に速い。そうなったときに、ああいうものを求めていたのに、頂上に着いたら全然違ったよと。こうなるとやっぱり取り返しのつかないことになるので、考え方をスイッチしているというのが非常に欧米の先進グローバル企業の面白いところで。3つ目の、指標という武器を最大限活用する。これはね、目的があるわけですよね。その目的を達成するために目標値を設定するわけなんですけど、その目標値を達成する、目的や目標を達成するために最も重要な指標が何なのかということをまず最初に特定するということが非常に得意で。言ったら指標のないアクションは取らないと言ってもいいかもしれないぐらいに指標を重要視する。その指標がいわゆる勝ちに対して非常に重要なものなので、その指標だけを追い続けるという、そういうことをしっかりやるんですよね。それが非常に特徴的で。こういう3つの価値観、こういうものを持っていると、必然的に「型」をつくらなければ勝てない、販売チャネルの「型」をつくらないと勝てないということに気付かされるので、それは彼らは強いんだなというふうに思っています。

次回ね、もう少しこのスピードが価値に変わる仕組みとかグランドデザインを描く能力が高い話、それから指標を武器に、武器を最大限活用するということについてお話をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。