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第57回 主要競合のディストリビューション・ネットワークの可視化

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テキスト版

日本の消費財メーカーはディストリビューション・ネットワークを可視化しなさすぎだという現状があります。これは正に配荷力であると言えます。自社と競合の配荷力を比較することにより、自社に足りないもの足りているものがしっかりと見ることができます。この可視化について解説していきます。

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みなさんこんにちは。スパイダーの森辺です。
今日は、前回に引き続き競合の可視化、中でもディストリビューション・ネットワークの可視化についてお話しします。多くの日本の消費財メーカーは競合のディストリビューション・ネットワークを可視化しなさすぎる。競合 のディストリビューション・ネットワークというのはまさに配荷力であって、その配荷力と自社の配荷力を比べることで、自社には何が足りていて何が足りていないのか。そんなものがしっかりと見えてきます。今日はディストリビューション・ネットワークの可視化について一緒に学んでいきましょう。

まず、最初に申し上げたいのは、いずれの日本の消費財メーカーもなかなか強固なディストリビューション・ネットワークをアジア新興国で持っている、というケースが大変少ない。私の知る限りでは、ベトナム のエースコックであったり、インドネシアのマンダム。それからアセアン 全体で味の素、ロート。それからユニ・チャーム。といった企業を除いては、なかなか強固なチャネルを持っているとは言い難い。というような状況であると思います。その 要因の1つに、やはり自分たちのディストリビューション・ネットワーク、もしくはディストリビューターが競合と比べてどれくらい勝っているのか、もしくは劣っているのか。これを全く理解していないケースがある。また、そもそも 日本の消費財メーカーにはディストリビューション・ネットワークという概念がない。例えば、1カ国1ディストリビューター制度を未だにしいて、たくさんのディストリビューターを持つことはマネジメントが大変なのでうちは1社でやっている。結果 としてMTの輸入品棚にしか商品が並ばず、なかなかTTの参入ができてないという消費財メーカーは少なくない。
後ろの図は、競合A社B社と日本企業のディストリビューション・ネットワークをベトナムの市場で比べた時に、例えばベトナムには50万店の伝統小売があって、約30万店くらいは食品が置けるような伝統小売である。その市場において、例えば競合A社は、100社程度のディストリビューターを使って20万点のTTをカバーしている。競合B社は100社のディストリビューターを使って10万点のTTをカバーしている。1社あたりの間口カバレッジ、つまりはストアカバレッジは2000です。1000です。対して日本の消費財メーカーの多くはホーチミンに1社。 最近ではさすがにこの1400〜1500キロの距離の中で、ホーチミン 、ハノイ、ダナンにそれぞれディストリビューターを持たないといけないということに多くの日本企業も気づきだして、ハノイにはもう1社くらい作るという企業も増えてきていますが基本的にはこんな状態がだいぶ長いこと続いて、1社あたりの間口カバレッジは500。結果としてMTの棚しか取れていないという現状はあった。ユニリーバ やネスレなどは150社くらい使っている。30万間口に近いくらいカバレッジしている。これエースコックも一緒で、250社のディストリビューターを使い、30万点のTTをカバーしている。
このように自分たちの敵がどのくらいの規模のディストリビューターを、どのくらいの数、どのエリアに、どう配置しているかということを可視化する のがディストリビューションの可視化であり、これをやっぱりやっていかないと自分たちの配荷力、ディストリビューション ・ネットワークというのは配荷力そのものなので、そこには何が足りていて、何が足りていないのか。今後何をadd onしていかないといけないのかいうことがなかなか見えてこないので、このディストリビューター・ネットワークの可視化というのは大変重要です。

それではみなさんまた次回お会いいたしましょう。