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【本の解説】効率的な近代小売への導入方法 その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』 日本同文舘出版から私が去年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は35ページ、「効率的な近代小売への導入方法」ということでお話をしていきたいなというふうに思います。前回から市場環境の話をしていて、SMT、VIP、CLMって、これは大きく違う市場ですよと。特にSMT、シンガポール、マレーシア、タイの先進ASEANと、VIP、今はASEANというか、アジアで最も熱いのはこのVIPですよね、ベトナム、インドネシア、フィリピン。なぜ熱いかと言うと、ベトナムの人口が1億、インドネシアが3億、そして、フィリピンが1億ということで、1、3、1、前後は多少あるんですが、非常に大きい市場ですと。だから、SMT、シンガポールとかマレーシアとかタイに比べると、なかなかこの人口構造がそもそも違う。なので、うちの会社でもやっぱり案件のご依頼が一番多いのがVIP+タイなので、そこが主戦場に今後も引き続きなっていくのかなと。いずれの市場においても、SMTは近代小売を獲るということが非常に重要になってくるし、SMTのMTも若干、タイで40万店、マレーシアで20万店、伝統小売はあるので、そこが1つ獲っていかないといけない市場であると。VIPなんかは、近代小売をマストで獲った上に、ベトナムで66万店、フィリピンで80万店、インドネシアで447万店、この伝統小売を獲っていかないといけない。伝統小売を獲るためにも近代小売は絶対に獲らないといけないんですよね。なぜならば、伝統小売のオーナーは近代小売で売れ筋の商品を取り扱いたがるから。言ったら伝統小売って指名買いなので、近代小売で売れているから、「おばちゃん、あれちょうだい」と伝統小売のおばちゃんに言って、上から出してくる、下から出してくるという話なわけですよね。狭い店舗にそんなにたくさんの商品は置けないので、基本的には売れ筋しか置かないと。となると、やっぱり近代小売で入れる、置くということは非常に重要になってくる。

ただ、気を付けないといけないのは、近代小売に入れるということはお金がかかります。リスティングフィーとか棚代、いわゆる導入に関わる費用がかかるということと、あと、小売も基本的にはプロモーションを回せと言ってくるので、年に最低2回はシーズナル、何なら4回、2回~4回は、クリスマスのセールをやってくれとか、何とかをやってくれと、強制的にチラシに商品を出させられたりとか、強制的に棚をつくらされたりとか、強制的と言うと語弊がありますけど、半強制的と言ったほうがいいですかね、そういうことが必ずあります。そういうことをしていくとね、セルアウトをしっかりしていかないと、導入費だけで結構な金額になるんですよね。小売側から、じゃあ、何か戦略的なセールスの話が出てくるか、プロモーションの話が出てくるかと言うと一切出てこない。彼らが言うのは、「売れなかったら値引きしろ」ということしか出てこないので、「buy one get one freeをやりましょう」というね、在庫を掃きたいので。それ以上のことを小売に期待するほうがそもそも悪くて。売るのはメーカーの仕事ですよね。彼らは日本の小売よりもより棚貸し業になっていて、自分たち、もともとディベロッパーなんかがやっているわけですよね。いわゆる小売業も牛耳っているわけですよね。タイクーンとか、財閥系が牛耳っているわけなので、自分たちのディベロッパーで建てたところにモールを入れて、そこにスーパーを入れて、メーカーの商品を棚割りして並べていくと。それに対して売れようが売れまいが棚代は取りますよと。さらに売れたら流通マージンを取りますよと。かといって、じゃあ、売るために何をするかと言うと、そのスーパーやモールに集客はするけども、それ以上のことはメーカーの仕事ですよというのが基本的な考えなので、コストがかかります。コストがかかって導入したのに、結局、売れないで棚落ちをしたなんていう例というのはたくさんあるんですよね。勢いよく並べたと。結局、日本国内のビジネスというと、この36ページにありますけど、知名度もあるし、消費者の支持もあるし、小売の信頼もあると。販売チャネルだってもうすでにあるし、商品を売るノウハウだって、オペレーションだって、全部あるんですよね。あるあるビジネスをやっているわけですよね。一方で、新興国、ASEANでビジネスをするということは、知名度もそんなに日本ほどないわけですよね。欧米の先進的な企業に比べてもないわけで、ローカル企業よりもないわけですよね。消費者の支持だってないし、小売の信頼だって、それは日本ほどないわけですよ。販売チャネルも脆弱だし、ノウハウだってまだまだ足りない、オペレーションもまだ脆弱ですという中で、ない中で棚に並べるんだけども、これではなかなか売れていかないので、一気にやらないということはすごく重要で、小さくやっぱり始めないといけない。棚に並べることと並んだものが選ばれることっていうのはまったく次元の違うことですよということを理解する必要があって。棚に並べるというのは、これはチャネルの力なので、ASEANの場合はお金さえ払えば強制的に並べられるんですよ、棚には置ける。なんだけども、じゃあ、並んだものが選ばれるかと言うと、これはまさにマーケティングの世界で、なかなか選ばれない。ASEANの人たちは失敗できないわけですよね。自分たちが知らないものを買って、おいしくなかった、あまり良くなかった、これは許されないし、特に日本の消費財はローカル品に比べたら高い価格設定になっているわけなので、基本的には選ばれにくい。選ばれるためのBTLやATLを駆使してやっていくわけなんですけど。いきなりそれを、投資をボーンと深く掘ってガーンと浮上するようなやり方って、欧米の先進的な企業は皆さんそういうふうにやっていくわけですけど、なかなか日本企業、日本の消費財メーカーのやり方には合っていないというか、好まないですよね。なので、やっぱり小さく生んで大きく育てていくということをやっていくというのが非常に重要になってくると。なので、そんなに最初からドーンと大風呂敷を広げるのではなくて、勝ちパターンを型として確立して、それを徐々に広げていくというふうに申し上げたほうがいいのかなというふうに思うんですが、そういうやり方をやっていかないといけない。

それを説明しているのが、この39ページのお話なんですが、今日はちょっともう時間がだいぶ過ぎてしまったので、次回ね、この39ページの近代小売に向けた導入のお話をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。