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【本の解説】試される問題察知力と解決力

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』ということで、去年、私が同文舘出版から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は68ページ、「問題察知力と解決力なくして管理なし」ということで、ディストリビューターの管理育成の話を前回からしているわけですけども、その中で、問題が起きているということにいかに早く察知をするかという能力と、その起きた問題に対する即効性ある解決策をどれだけ出せるかということはすごく管理育成においては重要で。問題が起きていることに気付けないとそもそも終わっているという話なので、そこの能力と。あと、問題が起きているのに、メーカーがそこに対して対策パッチを打てなかったら、やっぱりディストリビューターからすると「そんなものか」というふうに見られてしまうので、いかに問題に対してパッチが貼れるかと。

ディストリビューターを管理するということは、ディストリビューターよりもより深く、より広く、その市場、業界のことを知らないといけなくて。ディストリビューターは現地の企業だし、自分たちよりよく知っているなんていうのは、そういうレベルの話ではなくて。ディストリビューターって別にそんなに知らないんですよね。日本でもそうですけど、消費財メーカーさん、問屋さんのほうが市場のことをよく分かっているかと言うとそうではないですよね。メーカーのほうがよく分かっているというたぶん自負をメーカーは持っていると思うんですよね。それと同じで、なぜ海を超えたら問屋のほうが分かっているかと。そんなはずはないんですよ。問屋よりもメーカーのほうが分かっているし、分かっていないといけないということ。そうすると、問題察知なんていうのは別にディストリビューターが、問屋がやることではなくて、メーカーがやっぱり自分たちから気付かないといけなくて。

起き得る問題というのはある程度パターン化できていて、FMCGの業界で、ベトナムで流通で起こり得る問題というのはね、3つ4つぐらいしかないんですよね、だいたいそのパターンか。そのしっかりパターンを事前に把握できているかどうかということは、これはインプットの量にもつながってくるわけですけれども、それをしっかり事前に把握をしておくということと。そのパターン化できているということは、どこかの先進的なグローバル企業がその問題に対して必ずすでに対策を打っているわけですよね。対策事例も出ていると。そうすると、あまりこう、「こんな想定外の話が降ってくるのか」なんていうことはなくて、いかに問題を切り分けるかということがすごく重要で。事前に切り分けておいて、「こういう問題が起きたときはこの対策パッチ」「こういう問題が起きたときはこの対策パッチ」と。日本企業がASEAN市場でいろいろ問題が起きて大変なんですという状況になるのはね、事前に想定され得る問題の切り分けができていないんですよね。これはもうケーススタディとして存在しているので、事前に起こり得る問題をしっかりと仮説立てして、それぞれの問題、仮説立てした問題に対する対策パッチを用意しておけば瞬時に対策が出せるので、そんなに、「うわー、こんな方向から問題来たか」みたいな話にはならない。だいたい問題というのは同じ方向なので、そこをしっかりやっていきましょうねということが書いてありますよと。

あと、精神論より物質的なインセンティブ。もうこれは当たり前なんですけど、精神論なんてまったく通用しないので、精神論を押し付ければ押し付けるほど、下の階級の社員は辞めていきます。セールスになればなるほど辞めていくので、いかに楽しく仕事をさせるかということと、個人の利益にちゃんとつなげていくかということをちゃんとやっていく。これもやっぱり業界標準というのがあるので、だいたいこのインダストリのこのセールスは、これぐらいの給料でこれぐらいのインセンティブみたいな。でね、よく日系企業では、うちはまだそんなシェアないので、給料も低いですと、インセンティブも低いです。そしたら、それは低い能力のセールスしか集まりませんよと。どう考えて、そこに留まる理由があるんですかという話でね。いや、うちはまだそんなにシェアがないし、儲かっていないので。でも、それはお宅の理由でしょ。それ、これから働く社員に何の関係があるんですかということをね、結構分からずに平気で言う人、言う会社があるんですよ。でも、これはね、最初はやっぱり赤を飲まないといけない。だって、業界平均がそうなのに、売りにくいものを売るわけですよね。こっちはシェアをもう2割持っていて、売りやすいと。持っていけば売れると。こっちはね、誰も知らない商品、シェアもまだ全然ないと。セールスにしてみたら大変なわけですよね。むしろ業界平均よりも高い給料、高いインセンティブを与えてなんぼなわけなんですけども。それがね、いや…という感じの企業もたくさんあるので、そこはしっかりやっていかないといけないですねというお話でございます。

次回ね、71ページ、「伝統小売のデジタル武装で変わる今後の市場」ということでね、これは非常に面白い話だと思いますけど、伝統小売のデジタル化みたいなお話をしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。