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【本の解説】マレーシア市場 市場概要 その2

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』 同文舘出版から私が去年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は188ページからですね。マレーシア、60対40の近代小売と伝統小売の攻略ということで、マレーシアの近代小売と伝統小売の比率でございますが、おおよそ近代小売が金額ベースで6割、伝統小売が4割と、まあまあ、65から…、7対3、7対3という見方はね、ちょっと近代小売が大き過ぎるかなという感覚がありますけども、今、存在しているデータから推計するに6対4、大きくても7対3ぐらいであるというのがマレーシアの状況でございます。

非常に近代小売化が進んでいますよと。伝統小売はね、数で言うと20万店ぐらいなんですよね。ただ、この20万店って、弊社の最新のカウントで20万店ですけど、まあまあ、かなり現実的な数字だろうなというふうに思っていて。なぜならば、人口が3,260万人に対して伝統小売が20万店というのは非常に腑に落ちるというか、タイなんかと比べると、45万店ぐらいありますからね。フィリピンなんかは80万店、ベトナムで65万店、インドネシアで447万店とかっていうことを、伝統小売の数というのは必ず人口に比例していますし、人口密集地に対して伝統小売の数も増えていくので、その観点から見ると20万店というのは非常によろしいのではないかなというふうに思います。まあまあ、なので、近代小売だけやっていてもマイナスにはならない市場であるというのがマレーシアですよね。対して近代小売って6,600店ぐらいありますよということで、ロータス、イオンなんかが中心になって。小売の話はまたちょっと次回ね、やっていきたいと思いますけど、市場の大枠の概要としてはそうですよと。

あと、マレーシアね、私が住んでいた1980年代とか90年代みたいなのは、シンガポールに住んだときですね、結構、マハティール首相、前首相ですね、がルックイースト政策みたいな、当時の日本が本当にイケイケだったので、「日本を見習おう」みたいな政策が結構あって、非常に親日だった記憶がすごく多いですね。バケーションのたびに家族とマレーシアのリゾート地なんかに行くと、「日本人か?」と言って知らないマレー人が声をかけてきて、「俺は日本大好きだ。いつか行ってみたい」みたいなことを言われたりとか、「喜多郎を知っているか?」とか言って、急にギターで、彼らは結構音楽が好きでね、ギターを突然、喜多郎の歌を歌ったりとかね、そういう人が結構いて、子どもながらに「日本って尊敬されているんだな」みたいなのをすごく感じた記憶がありますね。通関のときもね、日本のパスポートを見せたらスッと入れて、不愛想な顔をしている通関の通関員の人がね、「日本人か。いいな」と言って通してくれたりとかっていう記憶が結構あるのでね。そんな感じでしたね。シンガポールにいると、マレー人って当時、やっぱり今みたいな、マレーシアにプレゼンスはなくて、マレー人と言うとやっぱり肉体労働者で、工事現場でビルつくったり、穴掘ったりしている人たちというようなイメージが非常に強かったですね、80年代。実際そうでしたから、工事現場なんかみんなそうで。でも、今のマレーシアって、もうびっくりするんですけど、全然違って、マレー人自体は肉体労働やらないですね。ほかの国から労働者を受け入れて、その人たちが肉体労働しているので、この40年間でほんとに変わったなというのが僕のマレーシアに対する印象ですかね。

GDPもね、1人あたりGDPも、この本を見てもらったら大きく変わっていますから。例えば2019年のデータになってしまいますけども、1990年代ね、Japan as No.1の最後の年ですね、ここを皮切りに日本はおかしくなっていますから。USドルベースでね、GDPが440億ドルだったんですよね、1990年代。それが2019年、コロナ前のデータを使っていますけども、3,647億ドルですから、実に8倍とかね、そういう感じになってますよね。日本がずっと変わらずというか、停滞している中で8倍になっていると。1人あたりGDPなんかも5倍近い。1990年には2,442ドルだったんですよね。2,442ドルと言うと、もう消費財メーカーにとってはもうほんとにマーケットじゃないですよね。やっぱり4,000ドル超えてこないといけないので。マレーシア全体で2,442ドル。だから、当時を思い起こすとね、消費財メーカーにとってマレーシアなんて全然マーケットじゃなかったので。家電メーカーがまだ、いわゆる冷蔵庫を普及させましょう、エアコンを普及させましょうみたいな、そういう時代でしたから。冷蔵庫ないのに、チョコレート、アイスクリーム、売れないよね、ジュース売れないよね、みたいな話ですからね。なかなか、そんな市場でしたと。今、じゃあ、コロナ前、2019年はどうなっているかと言うと、1万1,414ドルまで上がっていて。この1万1,400ドル、これはマレーシア全体で平均値を取ってこの数字ですから。これ、クアラルンプールなんかにあてたときには、倍、3倍ぐらいの数字に跳ね上がっていくということになりますので、今はまさにマーケットであるということになってくるかなというふうに思います。あとはね、年間2,580万人ぐらいの観光客と、近隣諸国への波及効果が非常に大きな国ですよというところが特徴ですかね。

というぐらいでございます。ここまででマレーシアの基本的なお話、概要のお話は終わりです。190ページですね。次回以降、191ページ、主要小売プレイヤー、流通環境のお話をしていきたいと思います。それでは今日はこれぐらいにして、皆さん、また次回お会いいたしましょう。