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第62回 伝統小売なくして、高いシェアは得られない

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テキスト版

日本企業は、アジア新興国に展開をする際、伝統小売の重要性を頭では理解していながら、実際の攻略には本気になれていません。しかし、近代小売だけでは高いマーケットシェアを得ることはできないのです。そのために必要な伝統小売、また、黒字化するためのポイントを解説します。

今日は「伝統小売なくして、高いシェアは得られない」ということについてお話しします。多くの日本の消費財メーカーはアジア新興国に展開をする際、伝統小売が大変重要だということは頭では理解をしていても、なかなかその伝統小売の攻略にイマイチ本気になれていないという現実がございます。しかし、近代小売だけでは黒字化はおろか高いマーケットシェアは決して得ることができません。今日は伝統小売なくして、高いマーケットシェアは得られないということについて一緒に学んでいきましょう。

まず、最初に申し上げたいのは、消費財メーカーにとって重要なのは、ストアカバレッジとインストア・マーケットシェア。ストアカバレッジというのは自分たちの商品がどれだけ多くの店舗に並べられるか、置かれるか。つまりは、配荷率を示しています。それが横軸のストアカバレッジ。そして、一方でインストア・マーケットシェアというのは、例えば1店舗あたりの1ヶ月の売上が100万円でこの100万円の中のガムの売上が5万円だとする。この5万円を5社で争っている場合に、いかに自社がこの5万円の2万円をとれるか、3万円を取れるかというのが、このインストア・マーケットシェアです。そうなってきたときに、MT、TT、このオレンジのラインが赤字のゾーンで、青いラインが黒字のゾーンなんですが、例えば、ベトナム市場。近代小売の数はわずか1300店。主要近代小売の数は1300店。一方で伝統小売、TTの数は50万店以上あると言われています。このようなベトナムのような近代小売が著しく少ない国では、1300店に仮に100%商品を配荷できたとしてもその各店舗で1日に何100個売っても一向に黒字にはならない。ベトナムではこの50万店のTTをどう攻略するかということをやっていかないと、黒字のラインにはなかなかつき抜けない。結果としてマーケットシェアは上がらないと。これがASEANの中で最も近代小売の多い国、インドネシアになりますが、それでも3万店であると。3万店に対して伝統小売は300万店存在する。そうなってくると、高いマーケットシェアを維持しているような先進グローバル消費財メーカーは近代小売は当然攻略しつつ、彼らの主軸は伝統小売にある。で近代小売に置いてあるものは伝統小売に置かれるし、伝統小売で高い配荷率を持っているものは、ストアカバレッジを持っているものは近代小売にも評価され、リスティングフィーやその他もろもろのマーケティングの交渉が楽になるという現状がございます。したがって、数の原理からアジア新興国では圧倒的に伝統小売TTが多い。そのためこの伝統小売の含めたストアカバレッジを上げない限り、高いマーケットシェアは得られない。もちろんストアカバレッジというのは、並べることであって、インストア・マーケットシェアを上げるということは、並べたものに対して消費者が選びたいと、選ばれる力でございますので、こちらはプロモーション、こちらはチャネルということになりますが、アジア新興国ではこの伝統小売含めて並べていかないとマーケットシェアは上がらないと。

それではみなさん、また次回お会いいたしましょう。