第64回 チャネル構築に必要な3つの要素
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
強固なチャネルを構築するには、3つの必要な要素が存在します。日本の消費財メーカーがチャネルを作れない理由を含め、この3つの要素について具体的に解説いたします。=================================
みなさんこんにちは。スパイダーの森辺です。今日は強固な販売チャネルを構築する上で必要となる3つの要素についてお話をします。
日本の消費財メーカーがアジア新興国の地で強固な販売チャネルを構築することが、マーケットシェアを上げるためには大変重要である、ということはこの番組でも再三お伝えしてまいりました。そして今日は、この強固な販売チャネルを作るために必要な3つの要素について学んでいきたいと思います。
まず、最初に申し上げたいのは、多くの日本の消費財メーカーは強固な販売チャネルをなぜ作れないのか。その1つの最大の理由が、チャネルのデザイン力にあります。結論から先に申し上げると、強固な販売チャネルを作るのに必要な3つの要素というのは、デザイン力、マネジメント力、コミュニケーション力です。
このデザイン力というのは、チャネル・ストラクチャーをどうデザインするか。自分たちがこの国で5年10年先にどういうマーケットシェアを築きたいのか、どういう売上規模を築きたいのか。その目標から、どのようなチャネル・ストラクチャーが自分たちには必要なのかを、まずはデザインするということがすごく重要で、ほとんどの日本の消費財メーカーはとりあえず良いディストリビューターを1社見つけてそこに任せてなんとか様子をちょっと見ていこうと。その後のことはそのあと考えようで、進んでいってなかなかシェアが取れなくて、結局MTの棚にちょっと並んでTTの攻略ができずに前に進めない。こういうケースがあるわけなんですが、1社の例外もなく、先進グローバル消費財メーカーはこの販売チャネルのストラクチャーのデザインを最初にきっちり決めている。この国は圧倒的にTTが多い国である。50万点のTTがある。対してMTは数千店舗しかない。インドネシアですら3万店のMTに対してTTが300万店ある。そんな中で自分たちが300万店のうちの何十万店のTTをとらないといけないのか。そこからチャネル・ストラクチャーがデザインされていくわけです。そうすると、1カ国1ディストリビューター制なんてことは、当然ありえないわけで、複数のディストリビューターをエリア毎にマネジメントしていく。そういうデザインが出来上がる。
そして2つ目のマネジメント。これはディストリビューターっていうのは、基本的には日本の感覚で、私たちは作る人、あなたたちは売る人だからお任せしますで、マーケットシェアが我々が思うように上がるっていうのは万に一つです。そうするといかにKPIを設定してTO DOを共有し、彼らをマネジメントしていくかということがすごく重要になる。例えば先進的なネスレやユニリーバ、P&Gといった消費財メーカーはディストリビューターの中に、自分たちの席がある。そしてウィークリーやデイリーのTO DOやKPIが完全にマネジメントされている。メーカー側とディストリビューター側で同じ指標で管理をしている。これがマネジメントな訳ですよね。ここまでやらないとアジア新興国のディストリビューターを活用して高いマーケットシェアは得られない。
そして次にコミュニケーション。これはマネジメントされるということはその何倍もコミュニケーションをとらないと、当然マネジメントする側とされる側、される側というのはあまり気分良い話ではないということもありますので、コミュニケーションをすごく密にしないといけないし、1つはリテールとのコミュニケーション。日本の消費財メーカーの多くはディストリビューターとのコミュニケーションも足りてなければ、現地のリテールとのコミュニケーションも皆無です。現法があっても皆無な場合が多いのに、このリテールという、最もみなさんの商品を販売してくれる小売店とコミュニケーションとらなかったら、誰とコミュニケーションとるんだと。かといって、消費者とコミュニケーションとれてるかというと必ずしもそうではない。消費者ともコミュニケーションも取れていない。したがってディストリビューターとのコミュニケーションは中途半端。リテールとのコミュニケーション皆無。消費者の調査はしても消費者とコミュニケーションをとるというところもまた皆無状態になっている。
したがって強固なチャネルというのは、先ずはデザイン力に始まり、しっかりディストリビューターをマネジメントし、ディストリビューター、リテーラー、コンシューマーとのコミュニケーションをいかにとるかということになります。
それではみなさん、また次回お会いいたしましょう。