アジア新興国市場 グランドデザインの重要性
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、少し消費財メーカー、FMCGのお話をしようかなと思います。FMCGって食品・飲料・菓子・日用品・文具などなどの消費財メーカー向けのお話で、なおかつ、ベトナムとかね、インドネシア、フィリピンの新興ASEAN、伝統小売の多い国の状況についてお話をしていこうかなというふうに思います。どんなお話かと言うと、グランドデザインを最初に描く力って非常に重要で、ビッグピクチャーと言ってもいいかもしれませんけど、グランドデザイン。「シェアの低い企業とシェアの高い企業の大きな違いんって何?」って言うと、やっぱりシェアの高い企業って、グランドデザインをしっかり持っていて、最初に大きい画をしっかり描けていて、一方でシェアの低い企業って、積み上げで、目の前の課題をとにかくクリアするみたいな傾向が非常に強くて、大きな絵を持っていない、目の前の課題を一歩一歩クリアすることが、強いては大きな絵につながるんだというふうな考え方なんですよね。それはそうなんですけど、これってもう人生とか、そういう大きな、ものすごく長い時間軸の中ではそうなんですよね。でも、事業戦略とか事業経営って、そういうすごく超長期な結果論としてのものと、あと、ある程度期限を区切ってそこでどう勝っていくかという話があって、多くは期限を区切ってそこでどう勝っていくということを考えていかないと、積み上げていくなんていうことはできないので。そのときに、このグランドデザインを持つということがすごく重要で。
ちょっとスライドを使って、シェアの低い会社の視点って、こういう感じの視点なんですよね。左の図の階段で、階段の上が輝いていると、何かきっと素晴らしいパラダイスがあそこには待っているはずだと。だから、この目の前の階段を一歩一歩苦労しながら上っていこうと、そうしたらきっと、きっとパラダイスに到達できるんだという、こういう考え方で進んでいくわけなんですよね。でも、シェアの高い会社って、先にあの上に本当にパラダイスがあるかをしっかりと確認して、だから、1回上空にドローンを飛ばして確認して、確かにあります、じゃあ、この階段を一歩一歩しっかり上ろうと。どうやったら最短で上れるかを考えていこうみたいなね。しっかり上ろうじゃない。最短で上る方法を考えていこうみたいなことをやるんですよね。グランドデザインを持たないとどうなるかと言うと、目の前のことばっかりやっていると、極地で勝てるんですよね、優秀だからね。特に日本企業は優秀ですから、人もモノも優秀なので、お金だった優秀ですよね、出し方は別にしてね。なので、極地では勝つんだけども、全体で負けるというのはカテゴリーごとに結構見てきていて。特に、アジア新興国市場だと、確かに近代小売、MTに並べるというのは必須なので並べないといけないんだけども、結局、今日の対象になっているVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンなんていうのは、伝統小売に並べられて初めて勝ちなんですよね、全体で勝てるんですよね。近代小売でどれだけ勝ったって、伝統小売で勝てなければ負けなんですよね。そうすると、なんとなくこの後者のほうがぼんやりしたまま、目の前の近代小売にフォーカスがいって、「いや、分かっていますよ。伝統小売分かっています。けど、今じゃない」みたいなね、そして、永遠に「今じゃない」が続くという傾向が非常に強い。一方で、シェアの高い企業の近代小売から伝統小売のシェアの拡大までを紐解いていくと、時系列で、やっぱり最初から伝統小売を含めてどういうふうにディストリビューション・チャネルを構築して、どのタイミングでどういうふうにやっていくか、近代小売と伝統小売のコンビネーションをエリアごとにドミナントに広げていっていると、そういう片鱗がすごくよく見えるので。極地で勝っても全体で負けたらまったく意味がないので、このグランドデザインを描く力というのは大変重要だなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。