第75回 会社説明でなく戦略を語る
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テキスト版
現地のディストリビューターと契約を行う際、成功への分かれ道の1つに「戦略を語る」ことが挙げられます。多くの日本企業は、自社の会社概要ばかりを説明しますが、ディストリビューターが聞きたいことは「戦略」なのです。「戦略」を語る重要性を解説いたします。=================================
皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。
今日は、ディストリビューターには会社概要ではなく戦略を語れ、ということについてお話をします。日本のメーカーが現地でディストリビューターと販売店契約をまさにしようとしているその瞬間、シーンに、駄目な会社というのは、ひたすら会社概要を語る。一方でいい会社というのは戦略を語る。この大きな違いについて、今日は一緒に学んでいきましょう。
まず最初に申し上げたいのは、現地のディストリビューターは、皆さんの会社概要は聞きたくない。彼らが聞きたいのは、皆さんの戦略であるということを、最初に申し上げます。仕事柄、日本の製造業メーカーと、現地のディストリビューターを、マッチングするというケースが、私の場合年間を通じて非常に多い。その現場で、大変多く見るのは、ほとんどの日本企業は戦略よりも会社概要が前に出る。例えばどういうことかというと、自分たちの製品は高品質で日本では売れてますよ、これだけ日本では実績がありますよ。弊社は大手上場企業で、日本では業界何位です。弊社は世界中に生産拠点を持っています。弊社は100年の歴史があります。弊社には何万人の従業員がいる。弊社の売り上げは何千億円あります。基本的には自分たちが、いかに日本で大きな会社で、いかに日本で実績があり、自分たちの製品がいかに高品質であるかということを、ひたすらディストリビューターに語る。ただ彼らは、日本というのは自分たちの国よりもかなり先にいて、発達していて、その国ではそれだけの高品質なものが求められているのかもしれない、けど自分たちの国ではそうではないですよ、ということをよくよく分かっているので、それだけ日本で実績がある高品質のものをつくる日本企業が、自分たちの国でどんな戦略で、どんなことをしようとしているのか、ということに興味があって、あんまりこういう日本での実績とか、どれだけでかい会社かというのは、もう既に知っている。そんなことよりも戦略とビジョンを聞きたがる。これを語らないと、アジア新興国の地で、アジア新興国のディストリビューターと一緒になって二人三脚で成功していく、ということは非常に難しい。本来日本のメーカーが語るべきは、われわれのビジョンはこうである。われわれはこれを実現するために、この国に参入したいんだ、こういうことをこの国で実現したいんだ。それを実現するための戦略はこうなんだ。その戦略の実現性は、われわれはこういうふうにシミュレーションしている。貴社にはディストリビューターとして、こういう役割をお願いしたい。これを実行することで、貴社にはこんなメリットがあるよ。というのを、ディストリビューターは聞きたがっていて、会社概要じゃないんだ、戦略なんですよと、ビジョンなんですよと。これをやっぱり日本のメーカーは、しっかりと理解をしないと、もう8割方のメーカーは、ひたすら会社概要、自分たちの会社がどれだけでかいか、どれだけ自分たちの製品の品質が高いか、これしか語っていない。ただこんなことは、アジア新興国の地で、事業を成功させるためにはなんの役にも立たない。アジア新興国で成功させるための戦略とビジョンを語っていく必要あると思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。