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第88回 アジア新興国で必要な4P

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テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、アジア新興国市場で重要となる4P、別名マーケティングミックスについてお話をします。
この4P、Product、Price、 Place、Promotionですが、フィリップ・コトラーは、商品が売れていくためには、四つのPが最適化されることが重要だというふうに言ってます。これはアジア新興国市場になっても、もちろん変わらず、成功している企業は、必ずこの4Pがうまくいってる。逆に成功していない企業は、この4Pのどこかに問題が生じていて、その問題を解決することが、売り上げを上げていく、マーケットシェアを高めていく、ということにつながります。今日はアジア新興国で重要な4Pについて、一緒に学んでいきましょう。
まず最初に申し上げたいのは、この番組でも再三お伝えしてきましたが、アジア新興国でビジネスをする上で、消費財メーカーにとって最も重要なターゲットは中間層であると。上位中間層ではないし、富裕層ではない。2030年には30億人に拡大する中間層、爆発的な勢いで伸びているこの中間層をターゲットにする、ということが消費財メーカーにとっては一番重要であると。むしろこの中間層をターゲットにしないなら、アジア新興国には出る意味がない。出るべきではない、というぐらい中間層が重要。その中間層をターゲットに設定した場合に、この4Pがどれだけ中間層のためになってるか、ということが皆さん消費財メーカーの売り上げを上げる、マーケットシェアを上げるということになっていく。
例えばプロダクトに関しては、中間層が求める商品でなければならない。アジア新興国の中間層が求める商品でなければならない。そしてプライスに関しては、アジア新興国の中間層が買える価格でなければならない。そしてプレイスに関しては、アジア新興国の中間層、現地の中間層が買いやすい場所に並べなければならない。そしてプロモーションに関しては、現地の中間層が選びたくなる仕掛けをしなければならない。この四つのPが最適化されて、はじめて商品が売れるわけです。
多くの日本の消費財メーカーの商品は、アジアの中間層が本当に求めているものなのか。これも今一度考える必要がある。自分たちが日本で売ってきたもの、売れてきたもの、それを押し付けていませんか、というのが一つ。そして自分たちの商品の原材料や、何やらをいろいろ変えて、価格を下げるということをできればしたくない。だから中途半端な現地適合化が行われて、どちらかというとターゲットが中間層からこの時点でぶれてしまう。上位中間層というターゲットはどうだろうか、富裕層に絞るべきなんじゃないか、最初は。そして富裕層が終わってから、中間層いくべきなんじゃないか、という議論になってしまう。
プレイスに関しても、当然この時点で上位中間層とか富裕層をターゲットにしちゃいましたから、TTが重要なアジア新興国にもかかわらず、MTが主体のプレイスになってしまう。よってチャネルがここで弱体化していくわけです。TTに売れる販売チャネルなんて持ってない、ディストリビューションチャネルを持ってない。MTでなんとか並べられる。ひどい場合は、MTもローカルのMTではなくて、日系とか、ローカルのMTでも、輸入品が固まってるような棚に並べられるディストリビューションチャネルになっちゃってる。現地のスーパーの輸入品棚に、いくら商品並べても、1日に売れる数なんて限られてますから、全くもって勝負にならない。MTの数に対してTTの数が何十万店、何百万店あるアジア新興国市場で、TTメインで勝負できないんだったらあんまり意味がない。プロモーションも、並んでないので投資できない。従って、あんまりプロモーションを打たない。欧米は予算があったすごいな、ということになってしまうわけです。
この4Pをうまく機能させるということはすごく重要で、中間層をターゲットとして、これはもう絶対です。その上の4P。中間層のための商品を、中間層が買える価格で、中間層が買いやすい場所に並べて、中間層が選びたくなる仕掛けをどれだけやれるか、というのが消費財メーカーの重要な4Pです。
それでは皆さん、また次回お会いしましょう。