第99回 先進グローバル消費財メーカーのKSF主要成功要因
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テキスト版
皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、先進グローバル消費財メーカーのキーサクセスファクター(KSF)主要成功要因についてお話します。アジア新興国市場においては、食品、飲料、菓子、日用品、それらの市場で、P&Gやネスレ、ユニリーバ、コカ・コーラ、ペプシコといった主要な先進グローバル消費財メーカーが市場の大半を占めていると。これら、勝ち組である先進的なグローバル消費財メーカーの成功要因って一体何なのか? それを学ぶことで自分たちの戦略にどう生かせるのか、ということが今日のお話の中では見えてくると思います。今日は、先進グローバル消費財メーカーのキーサクセスファクター(KSF)主要成功要因について、一緒に学んでいきましょう。長年、P&Gやネスレ、ユニリーバ、コカ・コーラ、ペプシコ、ケロッグ、ジェネラル・ミルズ、それらの企業をさんざん研究して調べてきた結果、やはり高いマーケットシェアを持っているメーカーは、必ずこれから説明する3つのことを実現している。逆に言うと、この3つがなければ高いマーケットシェアなんて絶対に獲れない。
1つ目はどういうことかと言うと、まず絶対的に、ターゲットは中間層なんですね。中間層ターゲティング。市場規模を最大化するためにも、絶対にターゲットは中間層からブレない。そもそも、アジア新興国の最大の魅力は、拡大する中間層であって、それがもう間もなく30億人にまで膨れ上がると、このパイをいかに獲るかというのが、アジア新興国市場に出る意味なわけですね。このことは、日本の消費財メーカーも十分に理解をしているにもかかわらず、結局、日本で成功したものをアジアで何とか、できればあまり変えずに展開したい、という思いが戦略の根底にあるがゆえに、中間層を狙いにいっているつもりが、いつしか上位中間層とか、耳障りのいい言葉を生み出してしまって、富裕層とか上位中間層をターゲットにしちゃっている、というケースが日本の消費財メーカーは多々あると。まず、富裕層や上位中間層をやってから本当の中間層だね、みたいな会社は多々あります。ただ、それでは、そのようなやり方のスピードでは、なかなか先進的なグローバル消費財メーカーには勝てない。いかにど真ん中の中間層にターゲットを当てて、彼らが欲するものを開発してぶち込んでいくか、ということをやらないと、絶対にアジア新興国市場は勝てない。先進的な消費財メーカーというのは、絶対的に中間層ターゲティングだというのが1つ目。
そして、2つ目。これはストアカバレッジを上げるための戦略的なチャネル構築であると。彼らは、過去10年15年チャネル構築にさんざん投資してきているわけですよね。多くの日本の消費財メーカーは、なぜか意味不明の1カ国1代理店制度をどの国でも引いていると。1カ国1ディストリビューター制ですよね。その理由はカニバるからと。MTはカニバるかもしれないけども、何十万何百万店舗あるTTを獲らなきゃいけないのがアジア新興国市場なのにもかかわらず、1社のディストリビューターでそれをまかなえるはずがないので、1社のディストリビューターですべてやるなんていうのは、もう本当に、戦略としてはかなり低レベルであると。1社の例外もなく、先進的なグローバル消費財メーカーは1カ国1ディストリビューター制を引いているところなんてない。P&Gであれば、どの国でも8社程度のディストリビューターを活用しているし、ネスレやユニリーバなんていうのは、扱っている商品の特性から、100、200のディストリビューターを使っていると。従って、このチャネルの構築にさんざん投資をしていると。チャネルがなければ、絶対に商品は消費者に届きませんので、日本の企業は、このチャネルへの投資、ストアカバレッジを上げる、ということにこれからも投資をしていかないといけない。
3つ目、インストア・マーケット・シェアを上げるための戦略的なプロモーション投資。日本企業の本音は、できれば売れてからプロモーション投資をしたいなと。ただ、プロモーション投資というのは、売るためにするものなので、売れてからするものじゃないんですよね。商品を並べることはチャネルへの投資でできますが、競合の商品よりも自社の商品を選んでもらうということは、プロモーションなくしては実現不可能なので、プロモーションへの投資はある一定しないといけないと。投資していくということは非常に重要であると。また、プロモーション投資を、チャネルがないのにやっても、これ砂漠に水をまくようなものなので意味がない、ということも付け加えておきますが、このストアカバレッジを上げるための戦略的なチャネル構築とほぼ同時に、インストア・マーケット・シェアを上げるための戦略的なプロモーション投資を、欧米の先進的な企業はしっかりやれていると。
その結果、彼らは高いシェアを実現しているので、もしこの3つができているのにシェアが上がらない、なんていう企業があるんだとしたら、ぜひ連絡が欲しいぐらいですけど、そんな企業を私は過去15年間1社も見たことがないし、逆にこの3つができていれば必ずシェアは上がるし、この3つができていなければシェアは永遠に上がらない、というのがアジア新興国市場であると思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。