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第16回 伝統小売の店舗数がシェアに繋がる

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アジア新興国では伝統小売の獲得が大変重要です。そして、伝統小売の獲得数と市場シェアにはある相関関係が存在します。この2つの関連性を紐解き、利益を出すポイントについて解説していきます。

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みなさんこんにちは。スパイダーの森辺です。
今日はアジア新興国におけるTT間口数とシェアの相関関係についてお話しします。このことを理解すると、何をすればシェアが上がり、何をしなければシェアが上がらないのか、それを理解することができます。今日は一緒にTT間口数とシェアの相関関係について学んでいきましょう。

この 図は、TT間口数とシェアの相関関係を表した図なんですが、まずヨコ軸。ヨコ軸というのは、間口が少ない、多い、です。間口というのは小売の店舗数。1店舗、1間口。そして、縦軸はシェアです。シェアが高い、低い。この図の中で、まず現実的に存在しないゾーンといのが2つあります。1つは、間口 が多いのにシェアが低いという状態。これはどういうことかというと、多くの間口に配荷はされているが、売れないからシェアが低い。そういう商品の場合、多くの商品は数ヶ月で撤去されるためこの状態が継続的に続くということは起こりえない。したがって、実際問題このゾーンというのは存在しない。そして、次の存在しないゾーン、これ は間口が少ないのにシェアが高いというゾーン。例えば、限られた数百という少ない間口にしか配荷されていないにも関わらず、シェアが高いということは、その限られた間口で日販ものすごい数が売れている。何百個売れている。そんなことも現実的に存在しない、継続しないのでこのゾーンも存在しない。
残る2つのゾーンは間口 が少ないということは、結局シェアは低い。したがって利益は出ない。赤字。一方で、間口が多いということは、そこで商品がしっかりと売れていればシェアが高いということなので、いかにこの利益の出ないゾーンから利益の出るゾーンにつき抜けるかということが、消費財メーカーにとっては非常に重要である。そして、アジア新興国、特にアセアンではベトナムの近代小売の数はたかだか1100店舗。もっともアセアンで店舗数の多いインドネシアでも1万9000店舗しかない。1万9000店舗というのは日本のセブンイレブン1社の、日本全国の店舗数と同じである。ですから、アセアンで最も多いインドネシアでも近代小売というのはそれだけの店舗数しかない。一方で伝統小売はベトナムでは50万店舗、インドネシアでは300万店存在すると言われている。したがって 、いかにTTの間口数を取り、その間口の1店舗あたりの売り上げを上げるかということが、消費財メーカーにとっては非常に重要で、それがシェアにつながりしいては利益につながるという、構造になっているのです。

日本 の消費財メーカーのアジア新興国戦略において重要なのは、いかに間口数を上げるか。間口のカバレッジをあげるかということと、カバーした1店舗あたり、1 間口あたりの店頭シェアを上げるかということが利益を出すビジネスの最大のポインントなのです。

それではまた次回お会いしましょう。