第132回 アジア新興国市場 先進グローバル企業から学ぶ3つのKSF-まとめ
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、先進グローバル企業から学ぶ3つのキー・サクセス・ファクター(KSF)ということで、まとめの回にしたいと思います。前回、前々回、前々々回ぐらいからずっと、この一連の先進グローバル企業のキー・サクセス・ファクターって一体何なんだろうということをお話をしてきました。大きく分けて、彼らが高いマーケットシェアを、アジア新興国市場で獲得できている要因は3つある、というお話をしてきました。1つ目が、先駆者メリットを最大化するための早期進出と長期的視点、これが欧米の先進的なグローバル企業には備わっていて。なぜ彼らは早い決断ができるのか、この話もしましたよね。なぜ同じ企業、同じ人間なのに、彼らのほうが早い決断ができるのか。日本人だって、日本企業だって早い決断ができるんじゃないかと。それは、彼らが成功しに行っているのではなくて、失敗を買いに行っているんだと。誰よりも早くその地に進出をして、誰よりも早く失敗をして、そして、誰よりも早く学ぶことが長期的には非常に強固な戦略をつくるということで、未開の新興国に行っていきなり成功するなんていうのは絶対にあり得ない話で、それを彼らは感情論じゃなくて、ロジカルに分かっているので、とにかく早く進む、先駆者メリットというのはそういうことなんだというふうな考え方を持っていると。ただ、1つ注意しなきゃいけないのは、失敗すると分かって突っ込んでいったら、これは神風特攻隊になってしまうので、そうではなくて、いかに事前の調査をしっかりやって、仮説をしっかり立てて、そして、その仮説を出て検証をして、そして失敗をすることで学んで、仮説をまた変えて、仮説検証の繰り返しをしていくという、このプロセスが非常に重要であって、欧米の先進的な企業は、これをやるために、成功を長期的にその先にするために失敗を誰よりも早く買うというのが彼らの1つのキー・サクセス・ファクターだと。
そして、2つ目が、B2CもB2Bも、市場を最大化させるための明確なターゲティングですと、B2Cに関しては、もう絶対的に中間層だと。アジア新興国市場の最大の魅力は中間層なので、中間層を無視した4Pなどはあり得ないと。まず、中間層だというターゲットがあって、そのターゲットに対して、中間層が求める商品を、中間層が賄える価格で、中間層が買いやすい売り場に並べ、中間層が手に取りたくなる仕掛けをどうやってするかということが重要で、商品ありきで自分たちの商品は高い原材料を高技術を使ってプレミアムなものをつくっているから、当然富裕層だ、上位中間層だという逆の間違ったマーケティングではなくて、ターゲットに対してどう4PをつくっていくかということがB2Cは重要ですよという話をしました。そして、もう1つ、B2Bでは、これは非日系をどうやって攻略していくかということが日本企業にとっては非常に重要なお題目で、日本企業の海外展開というのは歴史的に生産拠点として出ていったという背景が多くて、大企業がまず出ていって、それに伴って部品、パーツメーカー、部材メーカーというのが出ていったので、基本的には海外でマーケティングする必要は全くなくて、顧客紐付きで出ていったので、ターゲティングなんていう概念はほとんどB2Bはなかったと。それに対して、今、グローバル競争で大手が負けてしまっている。そして、特に芋づる式に中堅・中小まで負けてしまうことになるので、いかに非日系に対してマーケティングができるかということが、B2Bでは求められているというのが、明確なターゲティングということでお話をしました。
そして、3つ目の戦略的なチャネル構築、パフォーマンスを最大化させるための戦略的なチャネル構築、もうパフォーマンスを最大化させるのって、チャネルなんですよね。日本企業が一番弱いのがこのチャネルで、いかに1カ国1ディストリビューター制に、B2CもB2Bも縛られないかということが非常に重要で。先進的なグローバル企業と日本の企業を比べると、チャネルの差が歴然であると。100億やれるチャネルと10億しかやれないチャネルというのは火を見るよりも明らかにストラクチャーが全然違う。こんな説明をしたと思いますが、このチャネルストラクチャーそのものも違うし、そのストラクチャーの中のディストリビューターの競争力も全然違う。彼らは、そういったディストリビューターの選定もそうだし、それから、ストラクチャーそのものもそうだし、そういったものを戦略的につくってチャネルを構築していますよと。この3つが合わさって、結果、彼らは高いシェアを獲得するということがアジア新興国でできているという、そんなお話をしたと思います。
今回はそのまとめのお話でした。日本企業が、B2CもB2Bもこれからさらにアジア新興国で高いマーケットシェアを上げていくには、この3つをまずは改善をする。まずは自己診断ですよね。自分たちの会社のこの3つはどうなっているのかということを自己診断して、そして、それを改善していくということをしていくと、さらにグローバルで売上が伸ばせると思います。
それでは、皆さん、また次回お会いいたしましょう。