第2回 ポジショニングの再設定
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テキスト版
みなさんこんにちは。スパイダーの森辺です。今日はグローバル市場における日本企業のポジショニングについてお話しします。
まず、最初に申し上げたいのは、昨今多くの日本企業のグローバル市場におけるポジショニングが非常に中途半端であるということです。多くの日本企業はドリームプロダクトを生むことも出来なければ、コモディティにもなりきれていない。このままでは、中間層以下は中国や韓国の企業にとられ、富裕層は欧米の企業にとられてしまいます。今日は日本企業のポジショニングについて一緒に学んでいきましょう。
後ろの図は、日本、韓国、中国、欧米の企業を4つのグループに分けて、それぞれのグローバル市場におけるポジショニングの特徴を表した図です。
まず、日本企業。これは業界業種を問わず、多くの日本企業は10の機能や品質をいっぱいいっぱい詰め込み100ドルで売る、こういう商売をグローバル市場で行ってきた。
一方で、中国や韓国の企業は5や7の少し足りないか、最低限必要な機能と品質を詰め込んで50ドル、70ドルで売るという商売をグローバル市場で行ってきた。
そして、欧米企業は、韓国と同じ7の機能の品質と機能を詰め込むんですが、彼らは150ドルで売るという商売を行ってきた。この図からわかることは、いずれの国の企業も品質や機能で言えば、日本企業にはかなわないということです。にも関わらず、なぜ欧米企業は150ドルで売れるのか。この際たるメーカーがアップルのiPhoneであったり、イギリスのダイソンの掃除機。ダイソンの掃除機は9万円で売られている。日本の掃除機は2万9800円。中国製ならは9800円の、これだけコモディティ化した掃除機を現代において1993年に創業されたダイソンは9万円で売る。日本の高い技術を駆使したスマートフォンよりもアップルのiPhoneの方が圧倒的に人気がありシェアが高く、そして高い値段で売れるのは何故なのか。何故世界最大のメーカーが中国のハイアールになってしまったのか。なぜサムスンやLGの脅威はここまで大きくなってしまったのか。
このことから見ても、欧米の企業は徹底的にドリームプロダクトを作り続けてきた。生み出し続けてきた。一方で技術や品質は到底敵わない中国や韓国のメーカーは徹底して機能を削り、品質を抑え、現地の消費者の最低限のニーズに答えることによってコモディティの世界で打ち勝ってきた。
つまりはエレクトロニクスの業界でいうと、ドリームプロダクトを生み出すのか、コモディティの戦いで勝つのか、どちらかもう何れかしかない。
もし機能や品質が高ければ勝てるのであれば、シャープやサンヨーに起きたことをどう説明できるのか。
世界が求めているのはドリームプロダクトなのか、最低限の品質を満たしたコモディティなのか。そしてFMCGのような食品、菓子、日用品の業界で言えば、徹底的にコモディティでやはり戦っていくしかない。
シャンプーのドリームプロダクトなんてなかなか生み出せるものではない。洗っただけで髪の毛がふさふさ生えてくるシャンプー。こんなモノを生み出せるのであれば、ドリームプロダクトで売り出せばいい。ただ、そんなことは非現実的であるので、いかにコモディティで世界と戦うのか。
事実、ネスレやユニリーバ、そしてP&Gは徹底的に世界のコモディティ市場で戦っている。
したがって、業界によって、ドリームに振るのか、コモディティに振るのかは違えど、日本企業というのはとにかく品質と機能。これさえあれば大丈夫というポジショニングを取り続けてきている。これを再設定する必要があるのではないでしょうか。
それではみなさん、また次回お会いしましょう。