第234回 この2つをやれば海外売上は上がる
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「この2つさえやれば、海外売上は上がる」ということについてお話をしていきたいと思います。前回、この番組で「マーケティングの基本プロセス「R-STP-MM」が大変重要ですよ」というお話をしたと思うんですが。ちょっと図を出していただいて。この図ですね、この図を使ってお話をしたと。カタカナがいっぱい出てきて大変頭にスッと入ってこないと、もうマーケティング嫌!というふうになってしまうので。次の図を出してもらって。こういうふうに考えたらどうですかと。「R-STP-MM」というのはマーケティングの基本中の基本で、あらゆるマーケティングのフレームワークというのは全部ここに戻ってきますよと。これがもう中心になっていて、海外事業をしっかり成功させていくには、やっぱりこれをしっかりやらないと駄目ですよという話をして。でも、カタカナが多いと頭に入ってこないよねと。
そんな中で、こういうふうに解釈をすればスッと入ってくるんじゃないのかなと。スッと入ってくるということは、このマーケティングというのは学問として学んでスッと頭で理解をするということと、それを実ビジネスに置き換えて当てはめていくという、この切り替えがすごく難しくて。学問としては言ってることはこうだからスッと入ってくるわけなんだけども、じゃあ、実際それをリアルでビジネスに落とし込むときに、なんかこのフレームワーク違うんだよね、なんかこう合わないんだよねと、そういうふうになってしまうからマーケティングなんて嫌というふうになってしまうというケースが非常に多いと思うんですけども、それを実ビジネスに置き換えて考えたときに、Rというのはどんな市場で、どんな敵がそこにいて、そこに自分たちが進出したら何が起こりそうなのか。勝てそうなのか、負けそうなのか。じゃあ、自分たちはどんな層に売ったらいいんですか。その中の層でも具体的にどこを狙えばいいんですか。自分たちはどういう立ち位置であるべきなんですかと。さらにMM(マーケティングミックス)では、何が求められているんだ、現地の市場では。いくらなら彼らは賄えるんだ。そして、どこなら彼らにとって買いやすい売り場になるんだ。そして、どうしたら選ばれるんだ。ということを考えていったらいいんじゃないですかということで3-3-4の10個の項目をお話して。この10個の情報をできる限り集めて、そして自分たちの知識と経験で戦略アウトプットに変えましょう、これがまさに戦略なんですよ、戦略づくりなんですよ、というお話をしたと思うんですけども。
この10項目をやるというのも非常に大変で。「その中でも最も重要な2つ、何なんですか?」と言われたときに、また、「最も売り上げに直結する2つって何なんですか?」、そして、「最も日本企業が弱点としている2つって何なんですか?」と言うと、次の図になるんですが、このミクロ環境分析とプレイス、MMのプレイスになります。逆に言うと、ほかのところはもう正直そんなに根詰めてやらなくても、ここにやっぱり神経を集中させるということはすごく重要で。だって、マクロ環境分析って、基本的にその市場ってどういう市場なの?ということを商習慣、文化、法律、それからファンダメンタルズ、歴史、こういったものを中心見ていくという話なので、普通にできるでしょうという話なんですよね。ちょっと飛ばして、STP、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングというのは、誰に売るべきなの、自分たちは?と。ここはもう一言、できる限り細分化する、具体的なターゲット像を明確にする。もうバイネームで明確にしてください。B2Bだったら企業名まで出してください。B2Cだったらその消費者層の本当に具体的なところまで、女性の何歳のどのエリアに住んでいるどういうライフスタイルの女性か、みたいなところまで出す、もしくは小売、どこの小売で売りたいんだというところまで出すという話なので、具体的にしてというだけの話なんですよね。そして、MMは日本企業のプロダクトは…。プライスは、やっぱり人が競合が100で売っているものを自分たち300で売ることはできないので、そうすると、いかに彼らに近いところに持っていくかということがすごく重要で。プロダクト自身はオーバースペックなものをつくるという傾向は非常に強くあるんだけども、ものが粗悪で何か問題あるかということはないので、価格努力をしましょうということと。あと、プロモーションも、これはプロモーションをしっかりしなきゃいけないということは理解をしている企業はしっかり理解をしているし、プロモーションをしないでものが売れるなんていうことはないので、ここも置いておいたとしても、後回しでも全然構わなくて。
やっぱりすごく重要なのって、このミクロ環境分析、敵の脅威を徹底的に知るということなんですよ。なぜかと言ったら、市場に出るということはその敵と戦うということなので、自分たちだけで何かをやっているという話じゃないんですよね。自分たちだけでB2Cだったら消費者と商売をしているとか、自分たちでユーザーと、B2Bだったら商売をしていると、こんな簡単なことだったら何の苦労もしないわけで、そこに競合というものが入ってくるからビジネスが難しくなるわけですよね。だって、競合が一切いなければ、本当に消費者が何を求めているの、ユーザーが何を求めているのと、B2Cの企業もB2Bの企業も、それだけを見ていればいいわけですから、彼らのニーズに応えていくということをやったらいいわけですよね。でも、そこに競合が入ってくると、これまた話がおかしくなるわけなので、この競合の脅威を調べるということはやっぱり徹底的にやるということはすごく重要で。競合がこう動くから、自分たちはこう動くとか、競合がこう動いているから自分たちはこう動かなきゃいけないということを導き出す、それが戦略になるわけなので、競合の動きを知らずして戦略なんて絶対にできないんですよね。競争戦略を軽視するなんていうことはもう絶対にあり得ないので、この10項目の中ではやっぱりミクロ環境分析というのがもうめちゃめちゃ重要。日本企業がもう1つ弱いのが、このプレイスなんですけど、プレイスって売上に直結しているんですよね。言ったら、自分たちの商品を販売する流通チャネルなので、販売チャネルなので、これって強固なものをつくればすぐ売上に直結していて。結局、日本企業は、ものは高いけどいいよねと、プロモーション後回しでもまあまあ最初はよかったとしても、やっぱりチャネルが圧倒的に弱くて、欧米の先進的なグローバル企業に比べても、ローカルの企業に比べても本当に弱い。理由なき1カ国1ディストリビューター制、1販売店制を引いていたりとか、本当にストラクチャーとして脆弱だったりということはあるので、これも競合を知ると、自分たちのディストリビューション・チャネルがなんでこんなに弱いのかということが分かってくるんですよね。
分かりやすい例で言うと、スプライト。スプライトは世界190カ国以上で売られていますと。透明の砂糖の入った甘い炭酸水ですと。一方で、日本にもそういう商品ありますよね。そういう商品はある。名前言いませんけども。じゃあ、なんで日本のスプライト的な商品は190カ国で売れないんですかって、もうこれチャネルが全く違う。190カ国で流通するコカ・コーラのチャネルと、スプライトはコカ・コーラですからね、コカ・コーラのチャネルと日本の透明な甘い炭酸水のチャネル、もう完全に流通チャネルが違うし。じゃあ、エナジードリンクもいいですよ。レッドブルの流通チャネルと日本のエナジードリンクの流通チャネル全く違うし。それから、チョコレートでもいいですよ。アメリカのマースの商品と日本の大手のチョコレートの商品も全然違うし。圧倒的に本当にチャネルが違うんですよね。ものが劣っているかと言ったら、ものは決して劣っていないと。そうすると、本当にチャネルが劣っているので。B2Bもそうです。先進的なグローバル企業のB2B、例えば、ABBとかボッシュとか、そういう欧米の先進的なグローバル企業のチャネル。建設機械とかで言うとキャタピラーとか、アトラスコプコとか、そういうところのチャネルと日本企業のチャネルというのはもう本当に、もう火を見るより明らかなぐらいに弱さが見えるので。この弱いということにも気付いていないというケースが本当に多々ある。
なので、もしこの10項目の中でどれか1つ、もしくは2つ、1つにはできないので、2つをやれと言われたら、僕はこのミクロ環境分析とプレイスを徹底的にやるということをお勧めします。これをやれば売上に直結をするので、皆さんもほかのことは自然にボーッとしていてもたぶん頭に入ってくるので、ほかの8項目は。ですけど、この2つの項目は本当に調べに入らないと情報としては得られないし、戦略に結び付く要素としてはほかの8項目に比べたら圧倒的に重要度が違うし、売上に直結するということですので、ぜひこの2つに注目をしてみてください。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。