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第266回 「営業力」より「マーケティング力」

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、海外事業、アジア新興国事業は「営業力」より「マーケティング力」ということについてお話をしていきたいと思います。

営業力というのは1対1の戦いなんですが、マーケティング力というのは1対100にも1,000にも10,000にもなるということを、今日はお話をしていきたいと思います。これが、特にアジア新興国ビジネスとなると営業力よりもマーケティング力が大変重要になってくるということについて、今日は一緒に学んでいきたいと思います。

それでは、図をお願いします。まず、「そもそもマーケティングというのは一体何なのか」というところでお話をしていきたいんですが、マーケティングというのは約120年ほど前にアメリカで生まれた言葉なわけですけども、われわれは、マーケティングという言葉は日本でも非常に多く、日々、ビジネスパーソンであれば聞くわけなんですが、いまいちマーケティングというのは日本語にはならない。マーケティング=営業力ではないので、マーケティングというのは一体何なのかと非常につかみにくいもの。特にマーケティングと言うと、日本ではどちらかと言うと、川下のプロモーション寄りの解釈をされることが多くて、どちらかと言うと、B2Cが対消費者に対してやるプロモーション活動を総じてマーケティングというふうに捉えられがちです。特にB2B企業に関してはマーケティングが非常に弱いと、B2B企業はマーケティングが要らないんじゃないかという概念をいまだに持っている人も少なくありません。

そんな中で、マーケティングとは一体何なのかということで、まず、お話をしていきたいんですが、この図の通り、マーケティングというのは市場調査から始まり、商品企画、そして商品の開発、生産、物流網の構築、販売促進、営業活動、代金回収、そして、この図にはないですけど、この後、アフターサービスまで含めた一連のプロセスをマーケティングというふうに、マーケティングの父フィリップコトラーは定義しているんですね。一方で、営業というのはどういうことかと言うと、この営業活動、マーケティングの領域の中の1プロセス、営業活動が営業というふうに言っていて、顧客アプローチであったり、顧客提案であったり、顧客クロージング、これが営業の領域の業務になるわけですけども。

日本で売上を上げるとか、数字を上げるというふうになってくると、どちらかと言うと、マーケティングということよりも、どちらかと言うと、営業力というのがどうしても先に来がち。もちろん、マーケティング部門にいるような方は、「いや、そうじゃない、マーケティングだ」という方もいらっしゃるんでしょうけども、それはごくごくマイノリティで非常に少ない方で、多くの方は数字を上げる=営業を強化するという概念がやっぱり非常に強い。なぜかと言うと、ここで説明したような、商品の企画とか、開発とか、生産とか、物流網の構築とか、販売チャネルの構築みたいなものは日本国内のドメスティックな市場だと、もう既にそれって出来上がっているんですよね。そうすると、数字をそのうえで上げるとなると、これは営業を強化するというところが一番即効性が速い、特効薬になるわけですよね。なので、数字を上げる、売上を上げる=営業を強化するという解釈になるんですよね。

一方で、アジア新興国市場のような、日本の国内のドメスティックな市場じゃない、●オーバー進出の市場になってくるとどういうことかと言うと●(04:15)、もちろん既に進出しているし、長年そこで事業をやっているんだとしても、日本の国内の市場ほどあらゆるものが整備されていない。例えば、物流網もそうですし、販売チャネルもそうですし、顧客の信頼だったり、あらゆるものが日本に劣っているというケースがそこにあるわけですね。そうすると、これは営業力だけを強化しても、そもそものマーケティング全体を最適化しないと、営業力のパフォーマンスが最大化されないということが起こり得るわけなんですね。なので、日本では数字を上げたい、じゃあ、営業力を強化するというボタンをポチッと押すとドーンと数字が上がるものも、海外、アジア新興国ではなかなかそうはならない、マーケティングが非常に重要ですよということにつながっているというのが日本国内と海外の違いですよ、ということでございます。

また、昨今これだけ市場が複雑化してモノにあふれてくると、結局、営業力をどんなに強化しても、これだけモノがあふれてしまうと、もう、マーケティングをもう1度考え直さないと、これ、1クールしてしまっているんですよね。マーケティングをもう1回1から考え直さないと、なかなか商品がセルアウトしていかないという、そんな時代にも来ているので、そういう側面からもやはり営業力よりもマーケティング、モノにまだ満たされていない時代は、そのモノを満たすために営業を強化すれば、プロモーションを強化すれば、これ、モノというのは満ちていったんですよね。このモノが良いモノであるということが前提ですけども。でも、もう既にモノで満ち溢れている、しかも、お客さまはいろんな選択肢がある、こうなってくると、これ、本当の意味でのマーケティングがこれからは国内の市場でももっともっと重要になってくるし、最近ではデジタルマーケティングを含めてDXという言葉が非常に流行っていますけども、そういった意味でも、マーケティング力というのはこれからもっともっと国内外問わず問われてくる、必要とされてくるというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。