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第302回 問題の要因はフレームワークであぶり出す その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、海外展開をする際に非常に有効なフレームワークについてお話をしていきたいと思います。

引き続き、この番組、対象は製造業が中心になります。B2B、B2C、問いません。今回の話は特に新興国ということでもなく、グローバル市場全体ということで対象市場を設定したいと思います。効果的なフレームワーク、有効なフレームワークということでお話をしていきたいんですが、皆さん、フレームワークって何なのかというふうなことはもう十分よく分かっていると思うんですが、海外事業ではいわゆる教科書で習ったようなフレームワークを日本国内の事業で実践するということってほとんどないんですよね。なぜならば、日本の国内の市場というのはもうすでに事業の土台が出来上がっていて、出来上がった土台、例えばプロダクトもあるし、プライスももうだいたい決まっているし、チャネルもすでにあるし、プロモーションだってもう決まった通りのプロモーションがもう出来上がっていて、競争環境、市場環境ももう熟知しているような状態でビジネスをしますから、特段マーケティングのフレームワークをわざわざ引っ張り出してきて、それにあてはめて何が問題かなんてやることってないんですよね。

一方で、グローバル市場というのは、言ったら、この土台があまり整っていないような状態で事業をするので、過去に教科書で習ったようなフレームワークをやっぱり持ち出してこないといけない。海外事業で壁にぶつかった、うまくいかない、うまくシェアが上がらない、うまく売上が上がらない、その要因はおそらくチャネルなんじゃないかと思っている、ディストリビューターが悪いんじゃないかと思っている、何となくぼんやりは分かっているんですけども、具体的にその要因が何なのかということを分かっていない企業が非常に多い。分からないまま何となくボヤーッとしたまま進んでいくので、何年経っても同じ状態から抜けさせない。そのうち、担当が代わったり、駐在員が代わったりして、また問題がリセットされるという、こういう状態がずっと続いているわけなんですね。

こういう状態を打破していくために、やっぱりフレームワークというのは非常に有効な手段ですし、この番組でも過去何回もそれぞれのフレームワークを丁寧に説明は解説してきていると思うので、また過去の番組を見てもらったらいいと思うんですが。今日はその総集編というか、こんなフレームワークを過去に勉強しましたよねということで、ザーッといってみたいなというふうに思います。

スライドをお願いします。最初のフレームワークですけども、基本的にはすべてのフレームワークって、もうこのマーケティングの基本プロセスに集約されるんですね。R-STP-MM。Rというのはマクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT。STPがセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。MMがいわゆる4Pですよね。以前、これは訳わからないと、こんなマクロ環境分析とか言われても何なんですかと、パッと瞬間、0.5秒で分からない表現がいっぱい載っていて、カタカナと、分からないような表現が載っていると。

単純に説明すると、次のスライドをお願いします。こういうことなんですけども。基本的にRをやるということで事前にその市場がどんな市場なの?儲かるの?どうなの?おいしい市場なの?ミクロ環境分析というのは、どんな敵がそこにいるんだっけ?彼らは強いの?弱いの?そこに自社が入ったら何が起こりそうなんだっけ?ということを分析していくツールなんですよね。これをしっかりやっていけば、ある程度のことは想定できるわけですから、こんなことは出る前から分かっていたじゃないか、みたいな失敗は起り得ない。

にもかかわらず、このRをかなりざっくりやって出ていって失敗をしてしまうというケースが非常に多い。出ることありきで調査をしているみたいなね。国選びだってそうですよね。なぜベトナムを選んだんですか?なぜ先にタイじゃなかったんですか?とか、国の難易度を考えたら圧倒的にタイですよね、御社の経営資源なら、みたいなことって結構あるわけですよね。なので、やっぱりこのRはしっかりやるということをやっていかないといけないし。STPなんていうのはもう基本中の基本で、自分たちの商品を本当にどんな層に売ったらいいの?その中でも具体的にどこがターゲットなんだっけ?そのターゲットに対する自分たちの立ち位置ってどういうものであるべきなんだっけ?ということをしっかり見ていくツールなわけですけども、ターゲットが何となく中間層とか、ターゲットは日系企業みたいな、じゃあ、タイの日系企業だけで商売していて本当に自分たちの満たされる売上とか利益って確保できるんだっけ?中間層と言うんだけど具体的にどの中間層なの?本当に御社の商品は、自分たちの商品は中間層に売れる価格帯なんだっけ?こういうことをしっかり見ていかないといけないのに、なかなかそれが見れていけない。最後の4P、MM(マーケティングミックス)ですけども、これは4Pなんですけど、4Cで考えるということをしていかないといけなくて、何を売りたいか、いくらで売りたいか、どこで売りたいか、どうやって知らせたいかということになっちゃうわけですよね、4Pで考えると、企業側の都合でマーケティングミックスを組む。そうじゃなくて、4C観点で組んでいかないと難しくて、どんな商品がその市場では求められているんだっけ?いくらなら彼らは賄えるの?どこだったら彼らは買いやすいんだっけ?近代小売、伝統小売、どこだっけ?どうしたら、じゃあ、選んでもらうの?もう先駆者がいる中で後発のわれわれの商品をどうやったら選んでくれるの?ということをやっていくツールなわけですけども、このマーケティングの基本プロセスをしっかりやっていけば、Rまでをしっかりやればたいがいの想定はできるので、こんなことは出る前から分かっていたという失敗はしない。STPもそうですよね。STPも、じゃあ、実際に出ると決めたときにターゲットを本当にしっかりと具体化していくということと、自分たちの立ち位置を明確にするということをやる。ここまでくれば、ほぼ、いろんな問題は置きますけども、想定範囲内に抑えられるはずなんですよね。MMに関してはやっぱり出てからいろんな課題にぶち当たるんですが、うまくいっていない企業、海外でなかなかうまくいっていない企業の要因の大半はこのMMにあると言っても過言ではないと思うので、MMを調整していくということをやっていくのが非常に効果的かなというふうに思います。

3つ目のスライドですけど、ちょっと長くなっちゃいますね、今回ね、MMも日本企業によくありがちなMMというのは、この3つ目のスライドの通り、MMって、4Pというのはターゲットに対してぶつけるものなんですよね。ターゲットに対してぶつけるので、順番としてはまずターゲットの設定が先で、じゃあ、そのターゲットに対してどういう4Pでいきますか、どういう4Cでいきますか、という話になるわけですよね。次のスライド、4Cのスライドですけども、ターゲットに対してどういう4Cでいきますか、どういう4Pでいきますかと。なのに、もう端から4Pは決まっています、自分たちはこの商品を、自分たちはこの値段で売りたい、自分たちは最初はこういうチャネルから、そして、できれば売上が立つまであまりプロモーションコストはかけたくないのでこんなもの、ということで固まった、ほぼ固まった、出来上がった4Pを無理やりターゲットに当てていくので、当然そのターゲットには当たらずに、B2Cのビジネスだったらターゲットが上振れしちゃってあまり儲からないとかね、B2Bだったらローカルの企業に売れずに日系企業とか外資系企業にしかなかなか浸透していかないので、牌がそもそも小さくてアジアに出たのに儲からないということになっているので。この順番を間違えている企業が非常に多い。ターゲットが先です。4Pとか4Cというのは、ターゲットに対して打つべきもので、自分たちのすでにある、日本で培った成功体験をもとに出来上がった4Pを現地に押し付けるということをやっても、これはなかなか難しいよねというお話ですよね。

一旦、切りますかね。今日はここまでにして、また次回、続きをやっていきたいなというふうに思います。皆さん、今日はここまでにして、また次回お会いいたしましょう。