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第420回 【本の解説】 早期参入にこだわる その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が去年出した本ですが、この本について解説をしていきたいと思います。

今日は79ページ、『2-3 早期参入にこだわる理由』と…。理由って書いてないです、別にね。『早期参入にこだわる』ということで、この章、項目についてお話をしていきたいというふうに思います。

では早速、すみません、スライドをお願いしようかな。1枚目のスライドをお願いします。この絵は実際に本の中にも出てくるんですけど、ちょっと著作権の関係とかもあって絵は変えているんですけどもね。いわゆる世界の10大消費財メーカーと、そのメーカーのブランドになります。左からクラフド、コカ・コーラ、ペプシコ、ジェネラルミルズ、ケロッグ、マーシー、ユニリーバ、ジョンソンアンドジョンソン、P&G、ネスレということで、これが世界10大消費財メーカーなんですね。何をもって10大と言うのかということなんですけど、売上であったり、時価総額、利益、ブランド力、いろんな視点があると思うんですけど、いずれの視点を取ってもだいたいこの10社が世界の10大消費財メーカーと言っていいんじゃないかなと。残念ながら、日本の消費財メーカーは1つも入っていないというのが現在の状況でございます。これは別に欧米の話でもなくて、アジアにおいても世界での10大消費財メーカーはこれです。だから、日本で言うところの味の素であったり、花王であったり、それからライオンであったり、ロッテ、明治、森永、グリコ、キッコーマン、そういった企業は入っていないというのが現状です。

これらの欧米企業というのは、欧米の先進的なグローバル企業というふうに言われているわけなんですが、彼らは非常に早期参入にこだわるんですよね。なぜ早期参入にこだわるかなんですけど、特に食品とか日用品よりも、特に食品だと思うんですけど、菓子とかですね、というのは最初に食べたものを、人はデファクトの味だというふうに認識しやすいし、好みやすいという傾向が非常にあって。われわれ日本人がなぜ日本食を好きだからって、別に日本人だから日本食が好きなのではなくて、小さな頃から日本食を食べているから日本食が好きなわけですよね。僕は、ちょっとあまり国名を言うと角が立つのであれですけど、某国の人が日本に来たときに、その国の料理はあまりおいしくないんですよね、正直ね。ご飯とか何でもコショウをかけるんですけど、なぜこんなにコショウをかけちゃうんだろうと、その国の料理って何でもコショウがかかっていて、基本的にあまりおいしくないんだけども、その人たちにとってはその国の料理がやっぱりおいしくて、どんなにおいしい日本食を食べさせてもその国の料理がおいしいというふうに認識するわけなので、やっぱりそれは小さい頃からそれを食べているからなんですよね。なので、それと同じで、基本的には早期参入をするということが非常に重要であるという認識を持っていて。

じゃあ、彼らがどれぐらいの時期に参入をしているかということなんですけども。次のスライドをお願いします。欧米の先進的なグローバル企業、欧米メジャーと日本企業だとだいたい20年ぐらいやっぱり出遅れているんですよね。もちろん日本の大手の消費財メーカーも1980年代からASEAN、アジア新興国市場には展開していた、中国をはじめね、ASEANには展開していました。ただ、それはあくまで生産拠点としての展開だし、じゃあ、モノを売っていましたよと言っても、それは数千万のビジネスを、もしくは数億のビジネスを輸出でやっているだけということだったので、現地でマーケットシェアをしっかり獲るんだと、現地に根付いた事業をするんだということはなかなかやっていなかった。一方で、欧米の先進的なグローバル企業は1980年代から現地のマーケットシェアを獲るための展開をやっぱりやってきた。なので、それだけ遅かったんですよね。

早く出るということは、やっぱり地場でのプレゼンスをつくるということにもものすごく強く影響するし、、例えば食なんていうのは胃袋争奪戦みたいな話で、人ひとりが3食食べるとすると、1人×3になるわけですよね。それで、×人口なので、それをどれだけたくさんの比率を獲るかということが非常に重要になってくるわけなんですけども、その争奪戦に早くから参加をすれば、それだけ勝つチャンスがあるということで出ていって、結果、今、蓋を開いたらさっきの図のようなことになっているわけなんですよね。あれをなかなか切り崩していくというのは、特に味覚の問題になってくると、なかなか苦しいことになるということになっちゃうわけなんですね。

マクドナルドなんか分かりやすいですよね、ケンタッキーフライドチキンとかね。僕も最近、マクドナルド、ハンバーガーと言ってもいろんな名店がいろんなところがあるので、それはおいしいハンバーガーというのはいろいろあるわけですよね。僕なんかは、この辺で言うと、トランプさんが来たときに食べたマンチズバーガーが本当においしい、バンズもおいしいし、肉もおいしいみたいなね、マンチズバーガーよりおいしいハンバーガーを僕は食べたことないので、本当においしいんですけど、あそこのストロベリーシェイクも本当においしいんですけど。なんだけども、たまにマックのダブルチーズバーガーを食べる、たまにマックのビッグマックを食べると、ああ、これがハンバーガーだなと思うというのは、やっぱり小さいときに食べたからなのかなというふうなことを思うので、やっぱり早く食べさせるということは非常に重要であると。

じゃあ、なぜ同じ企業がこれだけ早期に判断ができるのか、早期進出が大切だって、それは言葉では分かっているので、じゃあ、早くから出たらいいじゃん、インドでもアフリカでも行けばいいじゃんということなんだけども、これってリスクを取るということなので、本当にすごく大変なことで。なぜ日本企業よりも欧米の先進的なグローバル企業のほうがこのマインドセットに入れるのかということが、僕は、早期参入においては非常に重要なことであって、早期参入にどんなメリットがあるのかということよりも、なぜ彼らはそんなに何事も早く判断をして行動に移すことができるのかということが大変重要で。僕は、この20年間の間で、こういった先進グローバル企業の現地法人に散々訪問をして、いろんなお話を聞く中で、彼らが1つの早期な判断をするマインドに至れる、非常に目からうろこというか、鳥肌が立つぐらいの彼らのマインドセットを共通の認識を聞いてきているので、それを皆さんにシェアをしたいと思うんですけども、今日はちょっと時間がだいぶ来ちゃったので、次回、早期参入をすることの重要性ではなくて、なぜ早期に物事を判断できるのか、先進的なグローバル企業は、日本企業に比べて、このことについて、その秘密を皆さんとシェアをしていきたいなというふうに思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。