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第506回 【本の解説】Q&A 良いディストリビューターを選ぶポイントとは? その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

前回ね、途中で終わってしまったケース7、262ページ、「良いディストリビューターを選ぶポイントとは?」ということで、消費財メーカーです。「ディストリビューターをどのように選定すべきでしょうか。良いディストリビューターを選ぶポイントを教えてください」ということで、前回お話をして、スキルセットとマインドセットは非常に重要ですよということで…。前回の振り返りからしようかな。

まず、良いディストリビューターを選ぶポイントというのは、自分たちが「誰に」売りたいのかということを明確にしなきゃ駄目だよと。「誰と」売るかよりも、「誰に」売るかのほうが圧倒的に重要で、この「誰に」売りたいのかということが明確になっていないと、「誰と」売るのかということが明確にならない。なぜならば、良いディストリビューターの定義というのはね、規模がでかいとか実績があるとかではないんですよ。自分たちが売りたい先に本当に売れるディストリビューターが良いディストリビューターなわけなので、やっぱり「どこに」売りたいのかということを徹底的に明確にする。国、都市、小売、B2Bだったら国、都市、ユーザーということを徹底的に明確にする。これは消費財メーカーからの質問なので、小売だったらピュアゴールド、「フィリピンのメトロマニラのピュアゴールドの、この20店舗のこのレーンのここに5SKU並べたいんだ」ぐらいのところまで明確にして、「それが実現できるディストリビューターって何なの?どこなの?」ということを考えていかないと、だって、それをやらないと自分たちのシェアが獲れないわけですよね。

例えば自分たちの戦略があったときに、自分たちはこのフィリピン市場の近代小売のここを押さえて、伝統小売はここを押さえるとかね、タイだったら、テスコとセブンイレブンのここを押さえるんだと。ロータスか。ロータスね、もうテスコはないのでロータス。ロータスのこの店舗とセブンをまず押さえるということを戦略をつくっていくと。そのあと伝統小売の45万店をやるんですとか、タイだったらね。フィリピンだったら80万店やるんですみたいな話になってくるので、それに合わせて配荷をしていってもらわないといけない。それができないと戦略が総崩れになるわけですよ。だって、消費財メーカーの場合は、近代小売にどれだけの知名度というかね、影響力、存在感を示しながら伝統小売に配荷をしていくかということはすごく重要なので。ここがある程度は決まっていて、これをやりたいと、この型でやっていきたいんだというのがあったときに、それがディストリビューターができないんだとするとね、難しくて。やらせてみて様子を見ようみたいな話だと、やっぱり難しいので、できる限り描いている配荷のストーリーをディストリビューターと共有することによって、それが本当にできるというところが良いディストリビューターなので、それに近付けていくことが確率を上げるということですよね。なので、そういうことをやっぱりしていかないといけないので、それがしていけるとね、契約締結までに。

多くの日本企業は、契約締結がすごく重要で、契約書を調印するということがやっぱり先にいってしまってね、調印をすれば、もうそれで終わりだと、あとは任せておしまいですみたいな、蓋を開けてみたらどうなりますかみたいな話なんですけど。こんな無駄なことはなくて、調印してしまって、もし自分たちの想定と違う結果が出たらね、3年5年は損するんですよね。3年5年の間に競合がどんどん、どんどん、シェアを上げていったら、これは取り戻せなくなるので。いかにやっぱり契約までに契約後の実現性を確実なものにしていくかということはすごく重要で。そうなってくると、やっぱり契約前までにディストリビューターと膝付けてしっかり話をする、膝を合わせて話をするということはすごく重要で。そうすると具体的になっていくし、それが嫌なディストリビューターは去っていくので、残ったディストリビューターがやっぱり良いディストリビューターということになるので、そういうことをしっかりやっていくという。僕は今までも契約締結前に力を注いできて、契約締結後は管理育成に集中したいので、基本的には約束事は契約前までにしっかりと詰めると。そうすると、結果、良いディストリビューターを選定することができますよというお話でございます。

皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。