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アジア新興国 情報の粒度と分析の客観性が大事

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊の解説をしていきたいと思います。

今日はあれか、5章の最後ですね、109ページ、110ページのお話をしていきたいなというふうに思います。この5章をずっと説明をしていく中、このね、最後のReference Value(基準値)ですね、基準値が非常に重要ですよというお話をしていると。自分たちが、100とした場合ね、自分たちの競争力を100とした場合に、競合の競争力が110なのか、120なのか、130なのか、はたまた150なのか、200なのかによって、全然、戦い方って変わってきますよね。別にこれは、競合を100とした場合に、自分たちが90なのか、70なのか、50なのか、30なのかっていうふうに考えてもいいと思うんですけども。この差異を埋めていかないと、シェアは絶対に上がらないです。なぜならば、シェアはひとりよがりで上がるものではなくて、他人から5%のシェアを奪うから自分のシェアが5%上がるわけですよね。100%のシェアの中で、シェアを上げるということは、自分たちが頑張れば上がっていくのではなくて、他社よりも頑張って、他社から奪うからシェアが上がるという構造になっているわけですよね。そうすると、これは競争論なので、相対的な中での話であって、このReference Valueを意識しないと対策が数値で具体的にならないという話をずっとしてきているわけですよね。なので、競合のチャネル・ストラクチャー、特に日本企業はね、競合、マーケティングというのはターゲットに対して4Pをどうやって当てていくかと、4Cをどうやって当てていくかという話で。ターゲットに対してプロダクト、プライス、プレイス、プロモーションをどう当てていきますか。顧客の価値、カスタマーバリューをどうつくっていきますか。顧客にとってのコスト、顧客費用ですよね、コスト、顧客のカスタマーコストをどうしていきますか。このプレイスというのは、顧客にとってのコンビニエンスをどうつくっていきますか。プロモーションというのは、顧客とのコミュニケーションをどうしていきますか。これは4Cと4Pですよね。これが四輪駆動で最適化されるから、ちゃんと前に進む。どれか、一本足打法とかね、どれか1個のタイヤがあまり回ってないと、くるくる、くるくる、回ってしまうので、なかなか進化がないですよという話をしてきていますと。その中で、シェアを上げたいんだったら、日本企業をたくさん見てきた中でね、最も日本企業の弱点はチャネルなんですよね。最もシェアに直結しやすいのもチャネルなんですよね。チャネルを改善するだけで十分にシェアは上がるので、今のチャネルを改善しましょうというのが私の提案ですと。

じゃあ、自分たちのチャネルの競争力を競合と比べて明確に分かっている人ってどれぐらいいますかと。「皆さんのチャネルは競合に比べて優れていますか、優れていませんか」という質問に対して、「いや、たぶんちょっと優れてない」みたいな話ができたとしてもね、それがどう優れてないのか、どこが悪いのか、何が足りてないのか、何が足りてるのか、こういったことを数値で把握できているって、非常に、ほんの一握り。ここを埋めていかないとシェアなんていうのは上がっていかないので、競合の競争力、チャネルの競争力を見ましょうねと。特に、チャネル・ストラクチャー、組織体制、マネジメント体制、この3つが、=シェア、売上になっているので、これが「型」なわけですよね。これをしっかり自分たちの「型」としてつくり上げていくと、これがいろんな国に応用できることになるので、大変重要ですよと。

こういうことをやるためには、やっぱり調査がめちゃめちゃ重要で。調査というのは、これは粒度なのでね、ChatGPTにお願いしてできる調査は、いわゆる二次情報だけなんですよね。もうすでにどこかの誰かが、シンクタンクが、国連が、世界銀行が、何とかが調べたデータを拾ってくるというマクロデータなので、基本的には競合情報って、ChatGPTで出てくるような競合情報というのは公知になっている競合情報なので、今、僕が言っているチャネルのストラクチャーとか、組織体制とか、マネジメント体制とはちょっと違う情報なんですよね。そうすると、やっぱりフィールドでしっかりと調査をしていかないといけないし、この調査は自分たちでできるものでもないし、やっぱりわれわれのような専門機関に依頼をしないといけない。その調査予算をケチっているんだとシェアは永遠に上がらないし、競合よりも、誰よりも早くシェアを上げたほうが、時間軸的なコストで考えたときに絶対に得なんですよね。なので、別にポジショントークじゃなくてね、そこの調査というのはすごく重要。粒度がものすごく重要ですよと。情報の質ですよね、粒度、細かさ、どれだけ細かく情報を集めてこれるかということと、どれだけ客観視して評価と分析ができるかということが情報収集においてはすごく重要で。やっぱりね、この情報ってインプットで、インプットが少ない人が出すアウトプット、アウトプットというのは仮説とか戦略ですから、やっぱりこれって実際にアクションしたときの現実との誤差がすごく大きいんですよね。開きが大きいと、やっぱり走りながら修正ができないので、確率論的に成功する確率が低いと言っていてね。でも、最初にしっかりと情報収集をして高度な仮説を立てれば、その仮説を実行したときのアウトプットの誤差が非常に少ない。少ないから、アウトカムとしてこの成果を出しやすい、確率論的に成功しやすいということを言っているので、やっぱりここでも重要になるのは調査ですよと。アジア新興国市場、もうね、本当に調査なんですよ、日本企業が足りないのは。調査してなさ過ぎ。有形のものにはお金が払えるんだけど、無形のものにはなんかお金が払えない。「弊社ではそんな調査をしたことがない」ということを言っている、「前例がないから何の予算なのかよく分からない」みたいな。もう海外に出るのやめましょうというね、そういう感じです。シェアの高い企業は、めちゃめちゃ調査をやっていますので。またね、調査もね、闇雲に予算を使ってやればいいという話じゃなくて、どれだけ最小限のコストで、どれだけ最もROIの良い、効率の良い調査をピッとやるかというね。無駄に消費者調査をバンバン回してね、順序も違うような無駄な調査。調査設計がもう命で、よくアジア新興国市場のこととか戦略のことを分かってないのに、闇雲に調査をやるみたいな、自分たちが今までやったことある調査の中から調査設計するみたいな、これもまた大きな間違いなので。難しいんですけどもね、その辺もちょっと気を付けて。この本にもできる限り書いてますので、ぜひじっくり読んでみてください。

じゃあ、今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。