話者の表記:◆アズマタダオ/男性/質問者
話者の表記:◆森辺一樹/男性/回答者
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◆アナウンス
森辺一樹のグローバルマーケティング。すべてはアジアで売るために。
ポッドキャスト、森部一樹のグローバルマーケティング。すべてはアジアで売るためには、過去10年間で1,000社以上の海外展開の支援を行った森部一樹がグローバルマーケティングを分かりやすく解説します。
グローバルマーケティングとは、世界のニーズに応えて利益を上げること。アジアで売るためには、物作りプラス、グローバルマーケティングを武器とした戦略を持たなければなりません。
日本には素晴らしい企業が多く存在します。その企業と共にアジア市場を目指したい。再びジャパンアズナンバーワンと呼ばれる時代を作りたい。森部一樹はそんな思いを持ちながら、この番組を皆様にお届けいたします。
◆アズマ
こんにちは、ナビゲーターのアズマタダオです。
◆森辺
こんにちは、森辺一樹です。
◆アズマ
森辺さん、前回の引き続きなんですけども、チャネルビジネスをどう展開するかっていったときに、ASEAN見てもMTの数は限られてるよね。そうするとTTをきちんと攻略していかなきゃいけないよねっていうところで終わってるんですが。ちょっとその続きでもう少し踏み込んだところを教えていただきたいんですけども。
◆森辺
我々がお客さんのご支援をするときに一番最初にやるのってMTの数数えちゃう。MTの数を数えて、ベトナムで話しましょうか一番数少ないからね。ベトナムでMTの数が700しかなかったら、その700店舗に100%置いたとしても1店舗あたり一日に100個売れないですよね。てことは数個売れると考えたときにだいたい一日当たりの売り上げって出てくるじゃないですか。それに365日をかけると年間の売り上げがもう決まっちゃうんですよね。そうするとそれが数億円ぐらいにしかならないわけですよ。そうするとMTだけやってたって駄目だよねってことになると。数億円の売り上げが上がったとしても、MTっていうのは高いリスティングフィーを取ります、プロモーションがあるオケットがあるってそういう費用がかかります、定期的に広告出してくれとかっていうことも言われます。そうするとこの700店舗でいくら頑張ったってメーカーとしては絶対に利益が出ないっていうことを、まず最初に把握しちゃうじゃないですか。その通りなんですよね。そうするといかに残りのベトナムの60万店の伝統小売を取らないといけないかってことになってくるわけですよ。そうすると、この60万店を取るのを自社の営業マンを使ってやるのか、ディストリビューターを使ってやるのかって議論になってくるわけですよね。そうすると、物理的に60万店を取るには、自社だろうがディストリビューターだろうがセールスマンの数になってくるわけじゃないですか。そうすると一日に1セールスマンが取れる新規間口数を計算してしまうと、今度それに365をかけたらだいたい予想がつくわけですよね。そうすると何年間、何人のセールスマンを使って、投資をしていったら、何万間口、もしくは何十万間口になるかってことが見えてくるわけですよね。これをベースにチャネル戦略を考えていかないと、絶対売り上げも上がんないし利益も出ないんですよ。だから我々がやってることなんか、めちゃくちゃシンプルじゃないですか。そこをやると。それが今の日系企業の能力ではなかなか自社でできない。だから我々見たいな企業が必要とされているわけでね。そこに投資をしないと、絶対売上なんて上がんないですよ。そうすると製品とか価格とかって問題の前に、いかにチャネルを考えるっていうことが重要で、60万店の伝統小売に売れるための製品は何なのか。そこに置いてもらえるための価格帯ってどういうものなのか。ここを考えていかなきゃいけない。そうするとチャネル・ファーストで考えると今の商品価格じゃだめだとか、今の商品パッケージじゃだめだっていうことが分かってくるんで、製品の原始的▲オウカ(00:04:25)▼も必然的にできるようになるんですよ。だからチャネル・ファーストなんですよっていう話なんですよね。
◆アズマ
チャネルを基点に考えるということだと思うんですけども、そのチャネルから考えると、製品とか価格がいいのか悪いのかって判断できるっていうところが、たぶんピンとこない方も結構いらっしゃると思うんですよね。それって日本だと製品と価格から入って、それをどこに売るか考えて、それでプロモーションしますって言うのが順当な▲ヨウクイン(00:05:02)▼考え方ですよね。それがアジア新興国もしくはグローバルにいったときにはチャネルから入る。チャネルから入ると、価格と製品がいいのか悪いのかっていうのが、判断できるっていうところをもう少し突っ込んで森辺さんなりの見解をいただけると思うんですけど。
◆森辺
例えば僕の大好きな飴がここにあるんですけどね。龍角散のどすっきり飴ってやつなんですけど。これはね、ものすごいいいんですよ、喉にね。88グラムなんですけど、88グラムでこの一つの袋に何十個か入ってるんですよ。たぶん200円ぐらいすると思うんですけど、これ日本で売られてるじゃないですか。仮にこの龍角散のどすっきり飴を、ベトナムに持って行ったときに、飴で20個入ってるとして、20個入ってて、200円で伝統小売に並んでたら、絶対売れないんですよ。高いから。伝統小売で買うような人たちはほしいときに1個だけほしいんです。20個買うと200円先に払わないといけないじゃないですか。でも一気に20個食わないわけですよね。そうするとこの200円の個人のキャッシュフローを先に出して、1カ月分これ持っとくわけじゃないですか。それをしたくないのが新興国の最大の特徴なんですよね。そうすると彼らは喉がイガイガするな、のどすっきり飴食べたいなっていうときに1個だけ食べたい。そうするとこれ20個で200円だったとして、1個10円じゃないですか。10%高く11円だったとしても1個から買えるほうがいいんです。高いか安いかじゃなくて、個人のキャッシュフローにどれだけダメージがあるかないかなんですよ、重要なのは。そうすると、チャネルにこの龍角散のどすっきり飴を持ってくと、店主が「20個200円で売れないよ。」と言われるんですよ。もしくは「置いてみよう。」って置いてくれたとしても1カ月経ったら1個も売れなかったって返品されるんですよね。そうすると「ああそうか、そうか。」と。20個入りの200円だめなんだ。1個のパッケージに変えようって1個入りに変わるじゃないですか。今度11円でも飴高いわと。他の飴2円で売ってるよみたいな話になるわけですよね。そうすると、このハーブエキス配合とか、ハーブパウダー配合って書いてあるけど、ちょっと性能落としちゃおみたいな。飴が1個こんだけでかいけど、もうちょっと小っちゃくしちゃえ、半分の大きさにしちゃえ。栄養成分もちょっと減らしちぇみたいな。っていう、今度パッケージじゃなくて製品の現地適合ができるじゃないですか。そうやって伝統小売に合わせていくっていうことをやったほうが、消費者調査やって、これおいしいですかどうですか。「おいしい、買います。」って言うんですよ、アジアの人見栄っ張りだから。でも買わないじゃんっていう話になっちゃうと思うんで、全部チャネル・ファーストで考えていったほうがバカみたいに消費者調査にお金使うよりも、僕はいいし、確実だし、早いよって思ってるだけなんですよね。消費者調査は大切ですよ。なんですけど、チャネル・ファーストのほうが早いし確実って思ってるんですね。
◆アズマ
なるほど。そのためにチャネルからまずやったほうがいいんじゃないかと。なるほど。チャネルから入るときに具体的に、チャネル戦略とかをやるときに、どういうステップを踏んでいくのかが、簡単になってしまうと思うんですけど。それを教えていただきたいんですが。
◆森辺
基本的にはステップ1、2、3なんですけどね。一つ目ステップ1ていうのは、まず間口のカバレッジを横軸にずっと伸ばしていく。どういうことかっていうと、間口を増やしなさいというのが一つなんですよ。だって10店舗で売られてる物と1万店舗で売られてる物じゃ全然売り上げ変わってくるわけだから、いかに1万店舗、2万店舗、3万店舗をとっていくか。間口のカバレッジを増やすかっていうことと、置かれた間口でいかに店頭シェアを上げるかっていうことね。いわゆる1店舗当たりの売り上げをいかに上げるかっていう、この縦軸と横軸を伸ばしていくっていう。まずステップ1としては横の間口を伸ばしましょう。それが伸びたら、今度1店舗当たりの売り上げを縦に上げていきましょう。3ステップ目にそれを同時にやっていきましょうっていう話なんですけど。実際問題、現実的にこれを現地でやろうと思うと、間口に置いた瞬間から、縦軸も上げる努力をしなかったら、返品になっちゃうんですよ。だから重要なの、は間口のカバレッジを横にだーっと伸ばしていくことと、1店舗当たりの売り上げ、店頭シェアを縦軸にだーっと上げていくことを、ほぼ同時並行的にやっていく。これが胆なんですよ。そうすると、これをやってくれるための自社のセールスマンの体制がどうなのか。もしくは、それをやってくれるためのディストリビューターの体制は、どうあるべきなのかっていうことを考えていくと、1か国1代理店制度なんてのは成り立たないんですよ。1代理店でベトナム、ホーチミンからハノイまで1800キロ、こんな広大な土地をカバーできるわけないんで。そうするとホーチミンだけでも何社、何十社って使わないと60万もある間口を、カバーしていくことなんてのは、できませんよっていうことなんですよね。
◆アズマ
なるほど、わかりました。森辺さん、今日はお時間がきたのでここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
◆森辺
ありがとうございました。
◆アナウンス
本日のポッドキャストはいかがでしたか。番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。
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森辺一樹のグローバルマーケティング。この番組はスパイダーグループの提供によりお送りしました。
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