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【連載】日本企業とグローバル・マーケティング

本コラムは、日本企業とグローバル・マーケティングを様々な観点で捉え、日本企業がグローバル市場で高いパフォーマンスを上げるための方策を具体的に指南する連載シリーズです。


Vol. 49 3Cと4Pをベースに参入戦略を描く

著者:森辺 一樹
スパイダー・イニシアティブ株式会社 代表取締役社長

正しい3Cと4Pで戦略を大きく改善できる

ここまでの説明で、参入戦略や再参入戦略を策定する上で、3Cと4Pがいかに有効なフレームワークであるかを理解いただけたと思います。まとめの意味を込めて整理をすると、3Cは、ファクト(事実)の可視 化であるということ。「市場」「競合」「自社」に関する客観的な事実を可視化する作業です。そして4Pで重要となるのは、いかに自社の4Pと自社よりも長けている競合の4Pを比較し、自社の4Pを最適化するかであると解説しました。成功している欧米の先進的なグローバル消費財メーカーの4Pは、必ず「中間層が求める商品を(Product)」「中間層が賄える価格で(Price)」「中間層が買いやすい売場に並べ(Place)」「中間層が選びたくなる仕掛け(Promotion)」をしているのです。日本の消費財メーカーも、今一度、中間層からブレないという原点に立ち返り、中間層のための4Pを再構築する必要があるのです。

ファクトを可視化するだけで戦略が変わる

 実際に、この3Cのファクトの可視化のレベルが上がると仮説のレベルも格段に向上する企業が多くなります。可視化のレベルが上がると、皆口を揃えて言うのは、「わかっていないことに気づけていなかった」であったり、「わかっているつもりでいた」という言葉です。特に、新興国の特異性ある市場環境や、主要競合の具体的な能力などの 競争環境をそれほど深く可視化するという発想すらなかったという声が非常に多いです。しかし、可視化した情報により顧客のインプットは格段に上がり、より現実的な仮説設定へと向上していくのは事実です。 そして、今までの独りよがり4Pを主要競合との比較に落とし込むことで、戦略の質も格段に向上しています。製品ありきの戦略から脱却し、4Pを最適化することに重きを置く本来のあるべき姿に進化しています。最初はチームだけの変化が、徐々に部門の変化へと繋がり、最終的には組織全体の変化となり、海外事業には直接的に関係はないが、間接的に関係のある部門の理解に繋がったりしていきます。ここまでくると、施策を打てば打っただけ成果に繋がるという好循環に突入するようになります。