第120回 アジア新興国市場で製造業がやるべき3つの仕事
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、アジア新興国市場において、消費財メーカーがやるべき3つの仕事についてお話をします。消費財メーカーにとって、アジア新興国でビジネスを劇的に成長させていくためには、やるべきことって3つしかないんですよね。この3つをいかにやっていくか、いろんなことをやらなきゃいけないと、一見思いがちなんですけど、最も重要なことってこれから説明する3つのことでしかなくて、成功する、事業を着実に伸ばせている企業って、必ずこの3つのことを大切にして、それを実行を着実にやっているというふうに私は思います。逆に、これができていない企業が、いつまで経っても導入期から抜け出せなくて、なかなかアジア新興国で成功しないというジレンマに、悪いスパイラルに陥っているんじゃないかな、というふうに思います。今日は、消費財メーカーがアジア新興国市場でやるべき3つの仕事について、お話をします。結論から先に申し上げますと、その3つの仕事というのが、この3つになります。1つが商品開発。これは、過去のこの番組でもお話をしましたけども、重要なのは、中間層が求める商品を開発して、中間層が賄える価格で開発をする、ということがすごく重要で、いいもの、もちろん、安いよりも高いほうがいいので、高く売れるのは絶対に僕は否定しません。安く売るよりも高く売るほうが絶対にいい。ただ、重要なのは、アジア新興国の中間層ど真ん中の人たちが賄える価格帯なのかどうかということがすごく重要で、われわれ日本市場規準で考えてしまっては絶対にだめ。これは、その商品そのものもそうだし、商品の価格も現地の基準で考えていく。現地の中間層が求めている商品を、現地の中間層が賄える価格で開発をする。まさに、4Pで言うところのProductとPriceの話ですよね。これをいかに実行するか、というのが1つ目の仕事。
2つ目の仕事は、アジア新興国市場の最大の特徴って、TTが圧倒的に多いことですよね。この番組でも再三お話をしました。MTが重要であるということは事実。しかし、MTと同時にいかに数十万、数百万存在するTTを攻略するかということが重要で。そのためには、ディストリビューターを選定して彼らを管理育成するということを複数でやっていかないといけない。ディストリビューションネットワークをつくっていかないといけない。ネスレも、ユニリーバも、P&Gも、コカ・コーラも、ペプシコも、成功している先進的なグローバル消費財メーカーはみんなそれをやっているわけですよね。強固なチャネルを構築していると。無意味な1カ国1代理店制度、1カ国1ディストリビューター制度。無意味というか、理由なき1カ国1ディストリビューター制度で、逆算をして計算をすれば、この1社では到底5万店、10万店のTTなんて獲れないのに、この1社では到底このMTには入れないのに、ということは分かっていながら、意味なく1社のディストリビューターを永遠に使い続けている、という企業も少なくない。いかに中間層が買いやすい売り場に商品を並べるか、ということを考えないといけない。その並べられるためのチャネル構築なので、消費者のことを考える、中間層のことを一番に考えたときに、彼らが買いやすい売り場、つまりは、中間層も、富裕層も、貧困層も、TTにも行けば、MTにも行くので、いかにストアカバレッジを伸ばすか。まさに4Pで言うところのPlaceですね、これが2つ目の仕事。
そして、最後の仕事がプロモーション投資。中間層が選びたくなる仕掛けをしないといけない。いくらいい商品を、中間層が賄える価格で、中間層が買いやすい売り場に並べても、そこで中間層が選びたくなるような仕掛けをしなければ、なかなか最初のブーストをしていかないわけですよね。口コミでいつしかじわじわ、じわじわ、というのはあるかもしれないですけど、それだとあまりにも時間がかかるのでやっぱり最初のブーストはプロモーションでさせないといけない。ある一定のところまでいって市民権を得たら、そんなに大きなプロモーション投資は必要なくなりますが、やっぱりある程度の投資はしないといけないし、どのメーカーもこういうことをやっているわけですよね。そうすると、最後のところって、A社の商品を選ぶのか、B社の商品を選ぶのか、それとも御社の商品を選ぶのか、チョコレート菓子が3つあったらこれ比べられるわけですよね、店舗で。そうすると、プロモーション投資をしっかりやって、中間層が選びたくなる仕掛けに投資をする、ということは大変重要。4Pで言うところのPromotionをしっかりするという、この3つが消費財メーカー、アジア新興国市場での大変重要な仕事になります。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。