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第128回 アジア新興国市場 B2C企業にとってのターゲティング

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皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国市場において、B2Cの製造業にとってターゲティングとは一体どうあるべきなのか、ということについてお話をします。このことをしっかりと理解せずにアジア新興国市場に展開をして、なかなか高いマーケットシェアを上げられていない日本のB2Cの製造業というのは大変多く存在します。逆に、このことをしっかりと理解をすれば、戦略そのものが大きく変わってくるので、アジア新興国市場で高いシェアを上げられる可能性が一気に上がるとも言えると思います。今日は、アジア新興国市場でB2Cの製造業にとって、ターゲティングとはどうあるべきなのかについて一緒に学んでいきましょう。

まず最初に申し上げたいのは、この図の通り、アジア新興国市場の最大の魅力は一体何なのかということですね。B2Cの製造業にとって一番重要なのは消費者です。そして、B2Cの製造業の中でも、特にFMCGと言われる「Fast Moving Consumer Goods」、いわゆる食品・飲料・菓子・日用品などをつくっている製造業にとっての最大のターゲットというのは中間層なんですよね。なぜアジア新興国がこれだけ世界中から注目を集めてきたかというと、これはもう1つに、爆発的な中間層の人口の増加、これにほかなりません。どれぐらいの数の中間層が爆発的に増加しているかということなんですが、この図の通り、2030年には中間層の数が30億人を超えるというふうに言われています。今現在15億人ぐらいの中間層がアジア新興国全体では存在するんですが、これが30億を超えてくると。もし、本当に一部の富裕層をターゲットとした高級品を売っている、例えば、高級化粧品を売っているような化粧品メーカーであれば、中間層をターゲットにする必要はないと思います。むしろ先進国、アジア新興国の中でも中国の本当に一部の先進的な都市であったり、アジア新興国でももう、インドネシアを狙うとかフィリピンを狙うとかではなくて、ジャカルタを狙うとか、マニラを狙うとか、クアラルンプールを狙うというふうに、本当に都市にターゲティングを当てて、その都市に住んでいる富裕層を徹底的にターゲットにすべきだと思います。

一方で、この本当に中間層をターゲットとしないといけない、先ほど言ったFMCGみたいな会社のビジネスの肝って、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに繰り返し、そして、いかに永遠に商品を買い続けてもらえるかということが非常に重要。なぜならば、高級化粧品と違って、1個10円20円100円200円のものを売っているわけですよね。そうなってくると、数と頻度が勝負になってくると。そうすると、30億という中間層を徹底的にターゲットをして、ターゲティングして、この中間層に対して商品を販売をしていかないとマーケットシェアというのは絶対に高まらない。中間層が求める商品を中間層が賄える価格で、そして、中間層が買いやすい売り場に並べて、その中間層が手に取りやすい仕掛けをどうやってやっていくかということが非常に重要で、ターゲティングとしては絶対的に中間層であると。従って、一部の本当に高級な富裕層をターゲットとしたようなB2Cの商品を製造する製造業以外のほとんどの製造業は、絶対的に数と頻度なので、アジア新興国に出るという最大の魅力は中間層であり、中間層をターゲティングしなければならないというふうに思います。

もし、この中間層をターゲットにしないのであれば、逆に先進国のほうが全然まだまだ富裕層の数としては多いですし、先進国をターゲットとすべきだし、アジア新興国に出る意味がそもそもないというふうに思います。多くの日本企業の失敗の事例としては、自分たちの商品はいい原材料と高い技術を使ってつくっているのでプレミアムだということで、アジア新興国に行ってもまずは富裕層からということで上から狙っていく企業、こんな企業が非常に多いと。結局、中間層になかなか落ちることができずに、日系のスーパーであったり、本当に一部の駐在員とか外国人が行くようなところにしか置けてなくて、なかなか現地のメインストリームには置かれない。メインストリーム、スーパーでも輸入品の棚に置かれてしまっているので、本当に現地の中間層が買いにこないようなとこに並べられて、なかなか現地に浸透していかないと、こういうことが起きている。従って、本当に中間層をターゲットにするということは、商品そのものもゼロベースで組み立てていくということも、もしかしたら必要なのかもしれません。アジア新興国、B2C企業にとっての最大の魅力は中間層、ターゲティングとしては中間層をターゲットにするということが重要です。

それでは、また次回お会いいたしましょう。