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第144回 アジア新興国市場 マーケティングの基本プロセスとは その4

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、この番組でずっとここ何回かお話をしているマーケティングの基本プロセスのまとめということでお話をしたいと思います。

まず整理として、このマーケティングの基本プロセスというのは一体何なんだと。マーケティングの父であるフィリップ・コトラーが提唱している、マーケティングの大変ベーシックな基本的なプロセスのことを指していて、「R」「STP」「MM」の3つから構成されていると。そして、「R」「STP」「MM」、マクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析。「STP」に関しては、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、「MM」は別名4Pとも言われていますが、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション。アルファベットとカタカナでいまいち意味が分からないという話をこの番組では簡単に解釈するとどういうことなのかという話もしました。「R」というのはリサーチの略で、マクロ環境分析というのは、その市場が儲かる市場なのか、どうなんだと。一体どれぐらい儲かるんだ、どれぐらい難しい市場なんだということを理解する、可視化していくプロセスですよ。そして、ミクロ環境分析というのは、その儲かる市場にどういう強敵がいるんだ、その強敵の戦闘能力はどれぐらいなんだ、競合は何社いるんだ、どれぐらい強いんだ、ということを見ていくのがミクロ環境分析。そして、このSWOT分析が、その市場に出たときにどういうことが起こり得るのか、自分たちは勝てるのか、負けるのか。負けるとしたらどれぐらい負けるんだ、勝つしたらどれぐらい勝つんだ、ということをやるのが「R」です。この「R」をやっておけば、こんな失敗出る前から分かっていたよという、よく日本企業がありがちな、大企業でも非常にこういうケースは多い。こういう失敗をまず未然に防げるというのがこの「R」の最大のメリットですよ。そして、「STP」、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングというのは、だいたいB2CでもB2Bでも製造業がターゲットとして狙っていくときに、まずセグメントで分けるわけですよね。自分たちがどういう層に売ればいいのか。もしくは、どういう用途、B2Bだと大概が用途になるんですけども、部品、製品、どういう用途で使われる産業にそれを売っていくのか。B2Cだったらどういうレイヤーに、富裕層なのか、中間層なのか、何なのか。こういうセグメンテーションをまず4つぐらいに分けて、その中で。経営支援がしっからいたくさんあるのであれば、一気に4つのセグメンテーションを狙ったらいいんですけど、だいたい私が推奨しているのは、1点突破で、1つのセグメントを選んでそこでまず風穴を開けましょうと。そこで風穴が開くとほかのセグメントも狙えるので、まず1つセグメントを選ぶという。その選んだセグメントの中で、どういう、本当にバイネームでターゲットがいるのかということをしっかりと可視化するというのがこのターゲティングで。じゃあ、そのターゲットに対してどういうポジショニングでいるのかというのがポジショニングですよという話をして。最後の「MM」というのは、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション、自分たちはどういう商品を、いくらで、どういう流通を通じて、どうやって知ってもらうんだ。どうやって売るんだということが4Pだというふうなお話をしましたが、ここに関しては、現地の市場が求めているものは何なのかということをアジア新興国では考えないといけない。そして、現地の市場が賄える価格帯というのはいくらなのかというのをプライスでは考えないといけない。そして、現地の市場が買いやすい売り場というのはどこなのかということをプレイスでは考えないといけないし、現地の消費者なりユーザーが手に取ってそれを買ってくれるためのプロモーションって一体何なのかということを考えないといけないという話をしました。このマーケティングの基本プロセス、総じて言うと、マーケティングの基本プロセスって、分からないことを可視化して整理することなんですよね。この課題が整理されると対策を考えられるわけで、それが戦略になる。よく、「戦略、戦略」と言うんですけど、戦略ってアプトプットなわけですよね。そうすると、インプットがないと絶対に革新的な戦略というのは生まれない。もちろんインプットだけあったって革新的な戦略は生まれず、このインプットをナレッジとノウハウ、経験と知識で化学反応を起こさせて革新的な戦略というアウトプットを出していくわけですけども。でも、大前提として、インプットがないと駄目なわけですよね。分からないことを可視化できて、整理できていなかったら、戦略なんて絶対に生まれない。にもかかわらず、多くの失敗、アジア新興国で失敗する日本企業というのは、自分たちの日本国内市場での成果を引き提げて、「どうだ、メイドインジャパン」と、「どうだ、メイドバイジャパニーズ企業」、「どうだ、おれたちの高品質な製品は」と、「高機能な製品は」で出ていって、打ちのめされてきたというのが、この10年15年のアジア新興国市場。市場環境が大きく変わった。もう昔のようなアジア市場じゃない。競争環境も大きく変わった。日本企業だけがつくれるんじゃない。中国企業も台湾企業も韓国企業もつくれるんだ。そんな市場においては、やっぱり分からないことをしっかり可視化して、そのインプットをベースに戦略を立てないと絶対に勝てない。そんな市場が現在のアジア新興国市場だと思います。従って、マーケティングの基本プロセスは、繰り返しになりますが、分からないことを可視化する。そして、整理をする。課題が整理できると、それに対して対策を考えることができる。それこそが戦略なんだということを最後に、今日はここまでにしたいと思います。

それでは、皆さん、また次回お会いいたしましょう。