第18回 フィリピンではPUREGOLDに注目すべし
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テキスト版
今回はアジア新興国の中でも特徴的な、フィリピンの小売流通にフォーカスしています。フィリピンの近代小売と伝統小売には密接な関係が存在します。近代小売の中でも4大小売のうちの1つ、PUREGOLDに注目し解説します。
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みなさんこんにちは。スパイダーの森辺です。
今日は昨今成長著しいフィリピンにおける小売流通についてお話しします。
まず 、最初に申し上げたいのはフィリピンの小売流通は非常に特徴的で、近代小売と伝統小売に密接な関係が存在します。今日はこの密接な関係について一緒に学んでいきましょう。
後ろの図は、フィリピンの4大小売と言われる、PUREGOLDの店舗の中を写した写真です。ここ でまず整理したいのはフィリピンの4大小売、エスエム、PUREGOLD、ルスタンズ、ロビンソンズという4大大手小売が存在します。それ以外にコンビニ系ですとセブンイレブンを筆頭にファミリーマート、ミニストップがあり、ドラッグストアだと圧倒的にマーキュリードラッグというのが、メトロマニアを中心にフィリピンでは大手の近代小売と言われているところです。彼らはルソン島だけに限らず、ビサヤや、ミンダナオ島を含めて店舗展開している。その中でも今日注目したいのはPUREGOLDで、まずこの写真、ポスレジが何台も並んでいますが、注目すべきはここです。「Wholesale lane9〜18」と書いていますが、このPUREGOLD、ポスレジが18台設置してあるので相当な大型店舗です。この 18台設置してあるポスレジのうち、約半分がwholesale向け。つまり、大量に同じような用品を買い込んでいる人がいるが、これは一般消費者ではなくフィリピンのサリサリと言われる伝統小売のオーナーさんですが、こう言ったサリサリストアのオーナー向けのレーンになっている。要は日本のイオンで、業者が商品を仕入れるのと同じような感覚。日本ではまず起こりえない。イオンは一般の消費者が商品を買うところ。業者が商品を調達するところは問屋なのでイオンでは買わない。しかし、このPUREGOLDというのは、一般の消費者も買いにくるし、サリサリのオーナーも買いにくる。このオーナーも自分の店舗で売る商品だけを買いにくるオーナーもいれば、問屋的な機能を持った、地域の20店30店のサリサリストアの注文を束ねてまとめて買いにくるようなオーナー。ですから 、業者と消費者が混在している。で、業者に出す値段と消費者に出す値段は違うのか。これ がまた不思議で同じ値段である。どういうことが起きているかというと、フィリピンの消費者も、大手の近代小売のPUREGOLDの方が安いとわかっている。ただ 、サリサリストアのような伝統小売は10個入りの物が一個から買える。その代わり10%高い。けどそのほうがいい。9個も10個もいらない。1個の方がいいという消費者は当然サリサリストアから買うし、安い方がいいという人はPUREGOLDで買う。こんな不思議な構造が成り立っていて、実はこのPUREGOLDは特にサリサリオーナー向けの店舗展開に力をいれていて、近代小売と伝統小売が密接に繋がっている。こんな特殊な市場です。
したがってフィリピンでは、これら PUREGOLDのような近代小売をいかに獲得するかということが伝統小売での配荷率やサリサリオーナーへの認知を上げることにもなるので、特にこのPUREGOLDには注目をすべき市場であるということになるのです。
それではみなさんまた次回お会いしましょう。