HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第249回 海外事業 – ターゲティングが具体的であればあるほど戦略は具体化する

動画番組 スパイダー・チャンネル

第249回 海外事業 – ターゲティングが具体的であればあるほど戦略は具体化する

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「海外事業とはターゲティングが具体的であればあるほど戦略は具体化する」ということについてお話をしていきたいと思います。

数多くの企業とお話をしていると、海外事業がうまくいっている会社というのは、ターゲティングが非常に明確です。一方で、なかなかうまくいっていない企業というのはターゲットが非常に不明確であるという傾向があります。今日は、「海外事業 – ターゲティングが具体的であればあるほど戦略は具体化する」ことについて一緒に学んでいきましょう。

ターゲティングと戦略なんですけども、これがうまくいっている会社はターゲティングが非常に明確だ、ターゲットが明確だというふうに言っているんですが。これはターゲットが明確な企業というのは、もちろん戦略も明確なんですよね。戦略が明確な企業というのは、実行して実際の仮説と違ったことが起きると、それをすぐに仮説を検証して戦略を変えて、また次の仮説に向かって戦略を実行するという、こういうプロセスがずっと回っていくので、比較的その事業がスムーズに推移していくということなんですが。一方で、ターゲットが不明確な企業というのは、もちろん戦略も不明確なので、問題が生じてもそれに対して対策が打てない。何をどう対策していいのか分からない。問題が改善されずにそのまま、ずるずる、ずるずる、なんで伸びないんだろうということでずっと引っ張られていくわけなんですが。

すべてはこのターゲットから始まるんですよね。ものを売るというのは、ターゲットに対してものを売っていくわけですから、フレームワークのお話をすると、ターゲットに対して4Pを展開しているわけですね。これが言ったら販売戦略とかになっていくわけなんですけど。ターゲットが不明確だと、もちろん4Pも不明確になっちゃうというのは一緒で、4Pというのはマーケット・ミックス、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションですよね。ターゲットに対してどういうプロダクトを、どういう金額で、どういう流通を通じて、どうプロモーションしていくのか、これがセットになるので。多くの日本企業の場合は、なんでターゲットが海外で明確にならないかと言うと、基本的には日本では明確なターゲットと4Pがありますと。この4Pを海外にそのまま持ち込んで海外でも日本と同じようなターゲットを探そうとするんですよね。これが新興国なので少し下振れするのは、ターゲットがね、しょうがないけども、4Pは基本的には日本の前提を輸出しちゃうので、日本で成功した商品を日本で売っている価格とあまり変えたくないよねと。日本でも慣れ親しんだ流通を通じて、日本でもやってきたプロモーションの経験をベースにみたいな、4Pの全部が日本の事業主体のベースになってしまっていると。なので、そうすると、当然ターゲットが上振れしていっちゃうという、こういう現象に陥っていくわけなんですけど。結局、このターゲットに対して戦略というのは展開されるので、やっぱりターゲットを具体的にするということは、B2Cの事業にとっても、B2Bの事業にとっても、本当に重要で。

だって、ターゲットが、例えば、B2C、中間層であれば、ここの中間層が求めるプロダクトを、中間層が賄えるプライスで、また、この中間層にリーチする、彼らが買いやすい売り場に並べるということは、それを並べられるディストリビューション・チャネルってどうあるべきなの?ということが大きく変わってくるので、このチャネルはものすごい重要なわけですよね。プロダクトとプライスを変えるって、これは非常に大変なことなんですけど、チャネルというのはどうせ新規でつくっていくものなので、ここは比較的やりやすいわけですよね。そうすると、ここがやっぱり変わってきちゃうし、そこ、チャネルがしっかりしてないと、プロモーションをいくら打ったって砂漠に水をまくようなもので、なかなか成果が出ないということに繋がっていきますから。やっぱりターゲットってすごく重要で。これはB2Bでも一緒ですよね。自分たちは、例えば、B2Bだと、そうですね、4インダストリーぐらいの、ここを狙おうと最初あるわけですよね。自分たちは自動車産業を狙おうとか、通信事業を狙おうとか、インダストリーで選んでいくわけですけども。そのインダストリーの中の、さらにはこの工業区のこの企業と、バイネームでもう企業名を出していかないといけない。それぐらいしないと、たぶんB2Bは駄目で。B2Cは消費者ですから、バイネームでB2C、消費者を出すということは本当にいわゆるダイレクト・マーケティングみたいなものをやるのであればそうでしょうけど、究極はダイレクト・マーケティングが一番優れているわけですけども、いずれのメーカーもそんなことができるわけではないので、バイネームで小売を明確にする、どこの小売で売りたいのかということを明確にする。それに応じてチャネルをつくるということは重要になってきますけど。B2Bの場合は、どのユーザー企業に売りたいのかということを明確にして、そのユーザー企業にリーチしているディストリビューターというのはどこなんだ?ということから自分たちが使うディストリビューターを決めていくということになってくるので。そうすると、販売戦略というか、ディストリビューション戦略は明確になりますよね。

なので、ディストリビューション戦略だけ取ったって、ターゲットが明確であれば、ディストリビューション戦略が明確になってくるので。やっぱり、海外事業を成功させる、これは別に海外じゃなくても、国内でも一緒なんですけども、事業を成功させるうえで一番重要なのはターゲットなんですよね。「誰に売るんですか」ということがやっぱり最初にないと。事業というのは、「誰に、何を、いくらで、どう売るか」ということが、この問いに答えることがマーケティングであり、事業なので。この「誰に」の、最初の「誰に」が分からなければ、なかなか戦略というのは具体化しないし、逆に、この「誰に」が明確であれば、戦略というのは必然的に明確になるということでございます。

それでは、また次回お会いいたしましょう。