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第307回 近代小売と伝統小売は両輪で攻める その3

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、「近代小売と伝統小売は両輪で攻める」ということについてお話をしていきます。今日はその3ですね。前回、前々回と同じようなお話をしていますが、引き続きターゲットというか対象は、FMCG(Fast Moving Consumer Goods)です。食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーです。対象地域はASEANということになります。

じゃあ、すみません、早速、前回、前々回の振り返りなんですが、スライドの1ページ目、その1で近代小売と伝統小売の比率のお話をしました。なぜ両輪で攻めなきゃいけないの?というお話はまさにこれで、基本的に近代小売の数が少ないからなんです。この図はパーセンテージで書いています。流通額のパーセンテージです。例えば、ベトナムでは13%が近代小売を通じて消費者に売られていくわけだけども、伝統小売は87%もあります。総じてASEANというような地域、ベトナム、インドネシア、フィリピンではまだまだ8割以上が伝統小売を通じて売っているんです。これを数にしたときに、ベトナムの近代小売の数って高々3,000店舗です。3,000店舗でどれだけ売ったって儲からないのは、これは目に見えていますよね。だから、伝統小売も両方やらなきゃいけないんですよというのが1回目のお話だった。

2回目のお話は何かと言うと、次のスライドをお願いします。両方しなきゃいけない。数の原理で、そもそも物理的に数の原理があるので儲からないんです、近代小売だけやっても。だから、伝統小売を攻めるんですということと。もう1つは、近代小売と伝統小売、MTとTTが互いに評価し合っているということなんです。まず、TTのオーナーは、MTでしっかり売れ筋になっているものを積極的に取り扱いたがる傾向がある。なぜならば、自分たちの店舗は非常に小さい。この小さい店舗でいかに回転率の良いものを扱うかということがMTのオーナーにとっては非常に重要なビジネスのポイントなんですね。そうすると、MTってどれだけ評価されているかということは非常に重要です。一方で、MTでこれは導入費ってお金がかかるわけなんですよね。ただ、どのメーカーも同じ導入費を払っているかと言うと、そうじゃない。コカ・コーラやP&Gやネスレと日本の消費財メーカーが同じ導入費を払っているかと言うと、全くそうじゃないです。リスティングフィーなんかも全然違いますよということ。これはどういうことかと言うと、やっぱり彼らも棚貸し屋なんですよね。ASEANの小売店って。日本だとそんなことありませんけども、ASEANは棚に商品を置くのに、まず売れるものを置きたいというのは当然そうですよね。売れないものを置いておく棚はないという話なので、売れるものを置きたい。ただ、どんなに売れようが棚代を取ります。1SKU置くんだったらいくら取りますよ、この人通りが非常に多い通路のコーナーエンドを取るんだったらいくらですよと、これ、導入費というのが掛かるんですよね。リスティングフィーと呼んだりもしますけども。また、強制的なプロモーションが四半期に1回とか何カ月かに1回あって、そこにもやっぱり参加してくださいね、参加する企業はやっぱりバイヤーが非常に優先的に取り扱いをしますよ、みたいな話になってくるので、非常にお金が掛かります、MTは。一方で、このMTもTTに評価されているようなメーカー、例えばコカ・コーラとかP&Gとか、ネスレ、ユニリーバみたいなメーカーの商品は置いてないと恥ずかしい。しっかり取り扱っているということを言いたい。だから、安い、もしくは導入費は要らないとか、いわゆるコストを取りませんよと、一方で日本のメーカー、伝統小売で評価されていない。だから、たくさんお金を取りますよと、こういう構造になっているわけなんですね。そうすると、MTでは初期にどうしてもコストが掛かります。その初期にコストが掛かるということに対して、ドーンと掛けたコストをそのMT1店舗だけで回収しようと思うと、これは回収できないんですよ。もしくは数十店舗か、数百店舗かもしれませんけども、そのMTだけで回収しようと思うと回収できない。だから、そのMTの周辺のTTも同時に攻めることで回収をする、回収効率を上げていく、ROIを上げていくということが必要なんですよということを前回この図を使ってお話をしていったと思います。

これね、なぜ日本企業がそうできないのかというのは、そもそも輸出でやっているような企業は対象じゃなくて、現地で生産していて現地で販売している企業が対象で、ベトナムなんかでも多くの日系企業が現地に工場をつくってやっていますけども、なぜ伝統小売に行けないのかというのは、基本的にやっぱり4Pになっちゃっているんですよね。自分たちが中心となった4Pになっている。どういうことかと言うと、ターゲットは中間層だと口では言っているんだけども、結局、自分たちの4Pを優先してしまっているんですよね。自分たちの売りたい商品を、自分たちの売りたい価格で、自分たちの売りやすい流通を通じて、自分たちの商品が売れたらコストを掛ける、プロモーションコストを掛けるけども、できればそんなにプロモーションコストは掛けたくないなという、こういう心理が働く。当然、伝統小売には売れなくなるので、そこにいろんな言い訳をくっつけているわけなんですけども。でも、現地に出て、伝統小売をやらないというか、MTを放っておけるんだったら、MTを放っておいても伝統小売をやらなきゃいけない。だって、数がそもそも3,000店舗なんだから、3,000店舗だったらどうやったって儲からないですよ。単価を上げるしかないんです。1個1万円のシャンプーを売る、1個1万円のチョコレートを売る、1個1万円の化粧水を売る、であれば全然いいと思うんですよね、3,000店舗でも。でも、そうじゃない。100円、200円、もしくは数十円のものを売るのであれば、やっぱり数なので、伝統小売に行かないといけない。

じゃあ、どういう思考で戦略を組めばいいかって、4Pじゃなくて、4Cの発想で組んでいかないといけない。顧客が求めているものは何なの?、顧客が賄える価格って一体どれぐらいなの?と。消費財メーカーというのは、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し、永遠に買い続けてもらわないといけない。1回2回なんか誰でも買えるんですよね、消費財。そうすると、リピートをさせるということは賄える価格じゃないといけない。そして、彼らの買いやすい売り場。4C観点で言うと、買いやすい売り場というのは、いわゆる近代小売だけじゃなくて、伝統小売ですね、伝統小売は彼らが買いやすい。メーカーにしてみたら、配荷しにくい、並べにくいかもしれない。けど、消費者にとっては買いやすい売り場なんですよね。なので、そこで並べると。プロモーション、もうすでに新しいものなんてないんですよね。ベトナムの人だってみんないろんな欧米の先進的な企業の消費財をたくさん知っていますから、もう慣れ親しんだものを使っています。そこに割って入るのに、プロモーションをしないでどうやって知ってもらうんですかという話なので、やっぱりそこも不十分であるという、この4つが問題ですと。この4つに逆に問題がないのに売れていないなんていう企業は1つもなくて、今、ベトナムやインドネシア、フィリピンのTTが獲れない企業の問題は、もう確実にこの4P、4Cの中にあるので、いかに自分たち、自分よがりの4Pを顧客目線の4Cに変えるかということが課題になっているということでございます。

ちょっと長くなっちゃったね。「伝統小売が近代小売と今後どういうふうになっていくの?」「近代化していくの?」みたいな話をすると、前回言ったような気がするんだけど、できなかったので、また次回、その4ということでやっていきたいと思います。

皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。