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第316回 強固な販売チャネル構築に必要な3原則 その4

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、「強固な販売チャネルを構築するために必要な3原則」についてお話をしていきたいと思います。

過去、今日で4回目ですかね、4回目になると思いますけど、過去、強固な販売チャネルをつくるために、構築するために必要な3原則の概念論ということで、総論ということで、こういう概念が非常に重要ですよというお話をして、前回ぐらいからちょっと実践論に入ってきているんですけども、今日はこの実践論について引き続きやっていきたいと思います。

まずは、スライドをお願いします。このスライドですけども、「持続性高い強固な販売チャネルづくりの肝は3つしかないですよ」と、私の著書でもこの部分をしっかりと書かせていただいているんですけども。ディストリビューターを選ぶということが、どのディストリビューターを選ぶかということが、すごくすごくすごく重要で、これを間違えると、ここで6割7割決まってしまうんですよね。ディストリビューター選びって、必ずしも大手が良いとは限らないし、日本の多くの製造業というのは、何をやるかよりも、誰とやるかみたいなところに先に神経がいってしまっているというケースが非常に多くて。こうなってしまうと、失敗してしまうケースというのが多いんですよね。だって、そのディストリビューターが何をやるかということをね、同じようにやりたいと思っていれば、これはうまくいくんですけども、表向きの顔としてはそうやりたいと言っても、実際どうなんだ?というところもあるわけなので、何をやるかということをやっぱり明確に決める。何を実現したいの?自分たちは、10年後にこの国でどういう世界観を実現したいんですかということをしっかり決めた上でディストリビューターを発掘選定する。その実現したい10年後の未来像を実現するために、適切なディストリビューターを選ぶということが重要で。10年後に30万店の小売、伝統小売を獲りたいんですということで、なぜならば、その30万店を獲れなければ、マーケットシェア2割にはならないからです。マーケットシェア2割になると、これぐらいの利益が出るんですという、例えばこういう世界観を10年後に描きたいとする、じゃあ、それが実現するためのディストリビューターは誰なんだ?そもそも1社でいいのか。そうじゃないですね。複数でやっていかないといけないですね。そうすると、ディストリビューターとか契約形態ってこうじゃなきゃ駄目ですねということが、どんどん、どんどん、逆算で決まっていくわけなんですね。そうすると、じゃあ、この10年後の世界観を一緒につくる相手は誰が適しているのか、誰がふさわしいのかということをベースに発掘選定するということがもう本当に重要で。まず、ビッグピクチャーを描く。10年後のビッグピクチャーを描いてください。3年先、5年先じゃ駄目なんです。10年後のビッグピクチャーをしっかり描けないと新興国は駄目。先進国は3年5年でいいかもしれないですけど、新興国は10年後のビッグピクチャーをある程度しっかり描く。それが変わってきても全然構わないんです。その仮説を修正をしていけばいいので。なので、何を実現したいのかによって誰とやりたいのかということを決める。誰とやりたいのかということが先じゃないですよ。それをベースに発掘選定をしていくということが非常に重要ですね。

次が契約交渉になるわけなんですけども、この契約交渉って、多くの日本企業の契約書を見ていると、守りは完璧です。自分たちのrightsを守るための契約内容にしっかりなっている、日本の法務部は非常に優秀です。ですけど、海外で訴訟問題になるかと言うと、もうこれは億単位とか数十億単位にならないと実際に訴訟なんかしたって無駄なんですよね。費用と労力の無駄。そうすると、訴訟しないので、契約書に書いてあるから守られるかと言ったら、必ずそれがそうじゃなかったりする。性善説でなかなか通用しないんですよね。そうすると、守りなんて、ある程度、契約書上固めたものの、それはそれ以上でも以下でもないわけなので、それよりも、攻めの部分をどうするんだということをやっぱり神経尖らせないといけなくて。結局、多くの日本企業は、理由なき、大した理由なき1カ国1ディストリビューター制を敷いて、でも、何かあったらまずいから、一応、非独占契約にする。非独占契約にして事実上独占になっているわけですよね。でも、これ、ディストリビューターはどう思うかと言うと、非独占なので、自分たちは思いきり投資できないわけですよね。契約更新も1年更新とかになっています。1年更新なので、投資できないんですよね。だって、1年後に切られるかもしれない。1年後に別のディストリビューターと契約するかもしれない。そんなメーカーのために、自分たちファミリーのお金を投資するかって、絶対しないんですよ。そうすると、例えばその先追加でディストリビューターを使うという計画がないのであれば、なぜビッグピクチャーを描いて逆算しているのに、3年後にほかのディストリビューターとやる可能性があるのかないのかなんていうことが想定できないんですかと言いたくなってしまうんですけども。そんなの想定できるに決まっているじゃないですか、逆算しているんだから。そうすると、独占契約をしっかりあげて、例えば契約の更新期間を2年とか3年にする。そのかわり、しっかりとコミットメントさせる。初年度にこれぐらいしっかり買ってくださいね、次年度にこれぐらいしっかり買ってくださいね、3年度にこれぐらいしっかり買ってくださいねというコミットメントをしっかりさせて、それが守られなかったら単年度契約に切り替わりますよという契約内容にしたっていいわけなんですよね。それぐらいのことをして、彼らに長期間、なおかつ、ある一定のエリアでは独占を与えるということをしっかりやる。その反面、コミットメントをしっかり取るということをやったほうが、よっぽど彼らのモチベーションも上がるし、契約としては攻めの契約になるので、やっぱりこの契約交渉が非常に、例えば下手だったりする。今回お話したような事例で下手だったりするというのが1つですよね。

もう1つ、日本の製造業がうまくないのは、この管理育成。ディストリビューターはしっかり管理育成していかないといけないし、自分たちはつくる人で、売るのはあなたたち、売ることは全部お任せしますなんてやって、たまに出張して、彼らの見せたい現場に連れていかれて、何となく満足して、乾杯して帰ってくるみたいな、こんなの全く意味がなくて。自分たちが全部マーケティングセールス戦略をつくって、それをディストリビューターと整合を合わせて、彼らに実行してもらう。それをしっかりとウイークリー、マンスリーはもちろんですけど、ウイークリー、何ならデイリーで管理をしていくということをやっぱりしっかりやっていかないと、問題が起きたときに対策を打てないんですよね、管理育成しないと。先進的なグローバルメーカーは全部やっていますから、この管理育成というのは。なので、しっかり管理育成をやっていく。問題が起きたときにしっかり対策が打てる状態になるということはすごく重要で。よく分からないから相手に委ねますと、これは問題が起きたら、もう向こうの言いなりですよね。為替がどうだからしょうがない、市場がこうだからしょうがない、コロナがこういう状況なのでしょうがない、それに対して何の対策も打てないという状態になってしまう。でも、市場をしっかりと、自分たちがディストリビューターよりも理解した上で、この部分のセールスを任せますよということであれば、問題が起きたときに対策を打てるし、ディストリビューターが全部分かっているなんていうのは妄想でしかない。ディストリビューターは分かっていないこともたくさんある。だから、ディストリビューター以上に分からないといけないということが非常に重要で。

また、ディストリビューターはスイートスポットにハマるとそこからなかなか出てこない。どういうことかと言うと、華僑、ファミリービジネス。そうすると、自分たちのビジネスにとって最も高利益、彼らは売上なんかどうでもいいですから、いかに利益を内部留保できるか。ファミリーのために利益を蓄えることができるか。そうすると、成長していった段階で、ここ、今、彼らが持っているチャネルで売るということだけが彼らにとっては一番いいんですよね。もう、それ以上投資要らない。過去に投資して、今の販売チャネルを持っていますから、そこだけで売っていくというのは彼らにとって最も利益率が高い。けど、メーカーにとってみたら、もっともっと投資して、チャネルを広げて、売上・利益を上げていきたい。けど、これをやろうと思うと、ディストリビューターは新たな投資をしていかないといけないので、彼らにとってのスイートスポットというのは、今の既存チャネルだけになるんですよね。そうすると、そこに留まってしまって出てこないというケースもあるわけなので、この管理育成というのはもうめちゃめちゃ重要になってきますよと。

最初の発掘選定が6~7割と言いましたけども、この契約交渉、管理育成ができないと、この6~7割も、どんどん、どんどん、5割、4割、3割と減っていってしまうので、やっぱりこの3つが一緒になって初めて強固な販売チャネルというのは持続的に継続されて、持続と継続は同じ意味ですね、持続的に強固なチャネルがずっと維持されていくということになるので、この3原則、実践論の3原則と、概念論の3原則、4回にわたってお話してきましたけども、皆さん、もう1度、自分たちのチャネルに照らし合わせて、考えてみていただければと思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。