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第318回 正しいディストリビューターの選び方 その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に引き続き、「正しいディストリビューターの選び方」ということでお話をしていきたいと思います。

前回もお話しましたが、このディストリビューター選び、大変重要です。ディストリビューター選びを失敗しているがためになかなかシェアが上がらないとか、ディストリビューター、適切なディストリビューターを選ばなかったがためになかなか売上が上がらない、こんな事例は大変多くございます。ディストリビューター、選定を間違えれば数年の時間の無駄、お金の無駄に繋がります。いかに正しいディストリビューター、自分たちに適したディストリビューターを選定するかということが、グローバル市場におけるマーケットシェアの拡大であったり、売上拡大に繋がる早道でございますので、このディストリビューター選び、しっかり学んでいきましょう。

前回、この図の通り、誤ったディストリビューターの選定方法のお話をしたんですが、今回また説明しているとまた今回もこの説明で終わってしまうので、この図は飛ばして次の正しいディストリビューターの選定方法について、次のスライドをお願いします。いきたいと思いますが。

前回、間違ったディストリビューターの選び方、簡単に説明すると、いわゆる網羅的に選択肢を並べずに、今、自分たちのネットワークとかコネクションとか、自分たちの調査範囲で知り得るディストリビューター、いわゆる限られた選択肢の中から「ここがいい」とか「あそこがいい」とかっていうことを選んでしまうと、後々、「A社がいいと思って選んだのに、数年後にB社のほうが全然よかったじゃん」とかっていうことが往々にしてあるので、まず選択肢を全部縦に並べなさい、そこから絞り込んでいくということが大変重要で。間違っている選び方というのは、縦に並べず、自分たちの手の届く範囲の中から選んでしまって、後々、「あっちのほうがよかった」「こっちのほうがよかった」ということをやっていくという、こういうのが非常に多いわけなんですけど。

この図の通り、まず、ロングリストをつくっていくということは非常に重要で、とにかく可能性のあるディストリビューターを全部集めるということがすごく重要なんですよね。その母集団、ロングリストをつくってしまうと、ロングリスト以上のものはないわけですよ。そうすると、自分たちに適しているディストリビューターというのは、必ずこのロングリストのどれかなんですよね。どれかが最も適しているということになって、これを絞り込んでいくということをしていく。このときに重要なのが絶対評価と相対評価という、この2つの評価基準。評価軸を持つということがすごく重要で、ディストリビューターはロングからミドルに絞って、ショートに絞って、最終的にここにするとか、1社を決める場合もあれば、最終的にこれらにするという複数社を決める場合もあるんですけども。この絞り込んでいく過程で、絶対評価と相対評価という評価基準を使うということが非常に重要。

じゃあ、絶対評価って何かと言うと、自分たちはこういうディストリビューターでなければならないという絶対的な条件なんですよね。例えば、自分たちは10億円やりたいので、10億円のキャッシュを回せるディストリビューターでなければならない。そうすると、売上10億円のディストリビューターでは自分たちの商品10億円買えませんから。だって、自分たちの売上が10億円しかないのに、そんなMax回せるわけないので、やっぱり100億、200億のディストリビューター、売上があるディストリビューターじゃないと10億円のキャッシュは回せないよねということは分かるので、はい、除外と。10億円のディストリビューターは小さ過ぎるので除外とかっていうことができるわけですね。これを絶対評価と言うんですね。あと、競合の商品を取り扱っていないとか、もしくは同じような商品を取り扱っているとかっていうことを条件として付けないといけない。要は、全然関係のないものを売っていたら、これはもちろん自分たちの商品が売れる可能性は低いわけですから、そういうものも絶対評価だし。あとね、これは非常に多くの日系企業に足りていないところなんですけども、ターゲティングがやっぱり不明確なんですよね。自分たちはどこに売りたいんだと。「誰と売る」よりも、まず、「どこに売るのか」ということを絶対考えないといけなくて。ディストリビューター選びって、そのあとなんですよね。「どこに売りたいのか」ということが明確に決まって、「だから、この人と売りたいんです。なぜならば、この人はそこに売れるから」という、こういう順番で考えなきゃいけないのに、何となくターゲットはこんなところなんです、とにかくでっかいディストリビューターと組みたい、いいディストリビューターと組みたい、そこと組めばきっと売れるだろうみたいな、この「きっと○○できるだろう」でどんどん進めていくというのがもう根本的な間違いで。

われわれなんかが選定するときには、この市場を獲るためには、例えば、B2Bだったらこのユーザーとこのユーザーとこのユーザーを獲らなければならない、B2Cだったらこの小売とこの小売とこの小売にこういうかたちで陳列をしないと駄目だ、ということが事前に分かっているわけですよね。そうすると、じゃあ、そのユーザー、B2Bだったらそのユーザーに配荷できるディストリビューターって誰なんですか、その小売店に配荷できるディストリビューターって誰なんですか、しかも、今すでにこういう商品を配荷しているという実績を持っているところは誰なんですかという目線で見ていくんですよね。そうすると、それができていないところは絶対評価で全部切っていけるというのが絶対評価なわけですよね。こうやって「自分たちが絶対に譲れない」という絶対評価軸をまず決めて、そして、絞り込んできたところが最終的なショートリスト5社残りましたと。この5社を相対的に比較する。それぞれを比較して、どれがいいのか。必ずしも規模がいいところがいいというわけじゃないですよね。今まで絞り込んできているというのは全部スキルセットの話で、自分たちがディストリビューターに求めているスキル、機能、能力、このスキルのセットが満たされている、満たされていないところを全部切っていったんですよね。それで絞り込んできた。今度、相対的に比較するというと重要なのがマインドセットで。じゃあ、その5社の中で最も自分たちの、例えばビジョンやミッションを理解して共感共有してくれて、一緒にこの目的を達成してくる熱量の強い先ってどこなんだろうということを相対的に比較して決めるというのが、この最終的なショートリストの相対評価で。

絶対評価ではスキルセットを見るんですよね。相対評価ではマインドセットを見るという、これが鉄則で。スキルセットの見方っていろいろあるんですけども、僕は、スキルセットは、ディストリビューターに求めるスキルセットって大きく分けて3つあって。1つが「配荷力」、そして1つが「提案力」、そして1つが「資金力」と、この3つなんですけども。配荷力って何かと言ったら、自分たちの商品がどれだけデリバリーできるかというね、配荷できるかという。これは非常に重要なので、配荷力。提案力というのは、B2Cだったら対小売に対してどれだけの提案力、能力を持っているんですか。ただの御用聞きじゃ困るんですね。B2Bでもユーザーに対してどれだけの提案力を持っていますかと、これが提案力。資金力というのは、もうディストリビューターって商品を買って売りますから、どれだけキャッシュを潤沢に持っていますか、これが3つ目。これがスキルセットで、これを選んでいく。自分たちの求める資金力、自分たちの求める配荷力、自分たちの求める提案力、これをスキルセットとして見ていく。もう1つのマインドセットというのは、やっぱりさっき言ったような、自分たちの価値観をどれだけ理解して共感して、熱量、どれだけの熱量でそれを一緒に実現してもらえるのか。例えば、「理念」とか、それから「社風」とか、それから「社長の人柄」、この3つを僕はマインドセットとして捉えるんですけども。そういうことをしていくと、やっぱり熱量がないとディストリビューターにとっても新規の商材を扱うなんて投資なんですよね。自分たち、この商材をやっていくぞ。将来のもう1つの柱をつくるために思いきりやるんだというとなると、やっぱりどれだけ投資するかって、これだけやろう、ただ単に取り扱いを開始しますというレベルじゃ絶対に成功しないんですよね。向こうは別に日本の商材をやるのに損はないわけですから、メーカーがプロモーション費用を出して、全部出してね、出してねって、甘えて甘えて要求して、甘っちょろい日本企業からいっぱいお金を取れば、やること自体は別に損はないわけですね。そうじゃなくて、彼らが本気でこの事業を1つの彼らの柱にしようという熱量がどれぐらいあるかということがやっぱり重要なので、このスキルセットとマインドセットを両方見ていきますよということが大変重要です。

すべての選択肢を、この図の通り、比較して絞り込んでいく方法、手間は確かに掛かりますけど、選定根拠が確実なんですよ。私たちはなぜここを選んだのかということが非常に明確なので、問題が起きたときに、本当にここでいいんだっけ?みたいな、なんかよく分からないんだけど、ここなんだみたいなことがないわけですよね。私たちの求めるスキルセットとマインドセットってこうだったよね。例えば、スキルセットってこうだったよね。だから、ここを選んだんだよね。でも、今、比較してみると、こうして20年経って業界を見てみると、この3つのスキルセットって、ここ弱まったよね、やっぱりここ評価していかなきゃいけないね、なのか、じゃあ、弱くなったから別と代えようね、なのか、明確にどこが悪いのかということがしっかり分かる。なぜならば、自分たちが基準値を持っているからなんですよね。それがすごく重要ですよ、というのがお話です。

もう時間だということなので、次回もう1回、まとめということで「その3」という、「正しいディストリビューターの選定方法 その3」をやっていきたいなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、皆さんまた次回お会いいたしましょう。