HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第323回 ディストリビューターのスイートスポット その1

動画番組 スパイダー・チャンネル

第323回 ディストリビューターのスイートスポット その1

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「ディストリビューターのスイートスポット」についてお話をしていきたいと思います。

今現在、アジア新興国のディストリビューターと取引をしているが、ここ近年、なかなか成長が思わしくない、鈍化しているという企業は少なくないと思います。こういう企業の多くは、ディストリビューターが今まさにスイートスポットにはまり込んでしまっているというケースが多々存在します。今日は、このスイートスポット、ディストリビューターのスイートスポットって一体何なのかということと、ここから抜け出してさらに成長を加速させるためにはどうしたらいいのか、ということについてお話をしていきたいと思います。

早速ですけども、まずこの「ディストリビューターのスイートスポットって何か」というお話なんですが、アジア新興国のディストリビューターは、かつてこの番組でも、華僑が8割ですよ、一族系が非常に多いですよというお話をしました。もう完全なるファミリー企業なので、多くの場合は企業の成長=ファミリーの成長、企業の資産=ファミリーの資産なんですよね。ファミリーとしての資産を、財産をどうやって守っていくかということが大変重要で。ここがある一定のところに到達すると、スイートスポット化して、そこからなかなかディストリビューターが抜け出したがらないというのが、非常に大きな現象としてあるんですよね。

なので、例えば、ディストリビューターで、かつては、先代の時代は大変頑張ってやってきました。先代ももう年老いて会長になって、今、二代目が引き継いでいて、二代目がやる気があって「さらに成長を」という二代目だったらいいんでしょうけども、必ずしもそうじゃないケースがあって。もうすでに潤っています。主要ブランドを5ブランドぐらい持っていて、その5ブランドというのはそこそこその国の市場でやっぱり売れていて、満たされている。会長は運転手付きの車に乗り、息子も奥さんもハイヤーがこう、ベンツのハイヤーが停まっていて、子どもたちも現地のインターナショナルスクールに行き、何不自由なく生活をしている。そうなってくると、新たな商材であったり、新たなビジネスに果敢に投資、そして拡大をしていこうというステージにないようなディストリビューターというのが存在するんですよね。もちろん果敢にリスクを取ってさらに拡大をしていきたいというディストリビューターもいれば、そうじゃない、スイートスポットにまさに今はまり込んでしまっていますというディストリビューターがいて。そういうところと新規でやろうと思うと、結局、日本のメーカーの商品を取り扱うなんていうのは、アジアのディストリビューターにとってマイナスは1つもないので、基本的にはいいですよと。ただ、一方で生殺し、飼い殺しみたいな状態にされてしまって、「いやいや、もっとプロモーションを、もっと支援をしてくれればもっと売れるんだけども」ということで、なかなか彼らの投資意欲とか、ディストリビューターも投資しないといけないんですよね。新規の商材をやるということは、チームをつくって、そこに人をあてがって、彼らも投資をしながらその事業を拡大していかないといけないので、それを本気でやろうというスタンスになっていない。

そういう企業と最初に付き合ってしまうと、なかなか成長が鈍化する。だから、これ、ディストリビューター選びって必ずしもデカいところがいいとは限らないんですよね。自分たちがその国に新規で入っていくというときは、大きいところだったら安心だと思いがちかもしれませんが、大きいところにはすでに大切なブランド、もうすでにテッパンブランドが5ブランドとかあって、新しいブランド、何となくよさそうだから取り扱ってみようかな。でも、売れたらラッキーだし、売れなかったらそれでいいやというようなスタンスだと、彼らが積極的に何か投資をしてというスタンスじゃない場合は、これはなかなかうまくいかないというケースは多々存在します。

また、今付き合っているような既存のディストリビューターでも、かつてはよかったんだけども、ここにきてなかなか…というケースもあるわけですよね。やっぱり、自分たちが既存顧客として持っているところに皆さんの商品を売ることができるようになりました。継続して売れるようになりました。なので、自分たちの顧客基盤ですよね、例えば、FMCG系のディストリビューターだったら小売店が顧客ですし、B2Bとかその他であったらユーザー企業が顧客だし、今持っている自分たちの顧客基盤への販売が完了したら、ほぼほぼ完了したら、もうそれ以上ってやっぱり投資になるんですね、ディストリビューターにとって。今の顧客基盤に全部納品できていると、そこがスイートスポット。ここで得られる収益で、このファミリー、一族のファミリー企業は満足をしています。この顧客基盤以上にもっと拡大させていきたいというのがメーカーの意向なわけですよね。一方で、ディストリビューターというのは、もうその顧客基盤以上のことをやれればいいけども、やるとやっぱりそこには投資がかかる、労力がかかる。それはあんまり…というケースが多々存在して。そうすると、やっぱり天井が見えてくるというのはそこになるんですよね。なかなかそれ以上伸びてこない。100%前後の売上をずっと継続していますよと。そんな中、あの手この手でディストリビューターにやる気を出してやってもらおうとするんだけども、なかなかうまくいかないという、そういう日本のメーカーは大変多いですね。

今日は、じゃあ、時間なので、「スイートスポットって一体何なのか」という話をしましたけども、次回、じゃあ、これらのスイートスポットからどうやって脱却して、さらに高みを目指していくことができるのか、ディストリビューターと一緒に、そのことについてお話をしていきたいと思います。

それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。