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第328回 契約締結までにどれだけ具体的に詰められるかが鍵

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、新興国市場で新たなディストリビューターと契約締結をする際は、その契約締結そのものよりも、いかに契約締結前に互いの戦略を具体的に詰めきれるかということが大変重要ですよと。この契約締結前に具体的に詰めきれたか詰めきれなかったかで、その後の成果が全く変わってくる。詰めきれれば、その後順調に売上やシェアは上がっていくし、詰めきれなければ、ただ契約をしただけということにもなりかねません。今日は、「新興国市場で新たなディストリビューターと契約を締結する際は、契約締結の前までにどれだけ具体的に戦略を詰めるかということが重要です」ということについて一緒に学んでいきましょう。

今日のお話なんですが、ディストリビューターと実際に新たな新興国市場で契約を締結、過去にこの番組でもお話した通り、ロングリストからショートリストにグーッと絞り込んできていくつかの母集団ができる。例えば5社の母集団ができて、この5社のショートリストの企業さん、ディストリビューターのいずれかと組んでいくわけなんですよね。「ディストリビューターというのは、スキルセットとマインドセットで見なさいよ。最終的にはマインドセットですよ」みたいな話もこの番組で過去にしているので、そういった話は過去の番組を見てもらったらいいと思うんですけども。

今日は、どれだけ契約を締結する前までに戦略を詰めきるかということがすごく重要で、日本企業の多くは、これはB2C、B2Bを問わず、「契約を締結する」ということが目的になってしまって、契約締結した後のアクション、いわゆる「戦略を詰める」みたいなところが後回しになっちゃうんですよね。結局、重要なのは契約を締結することだと。互いに、じゃあ、どうやって売っていくかは契約を締結したあとに一緒に話し合えばいいじゃないかみたいな、そんな順番になってしまうんですけど、これはまったくの間違いで。

そんな順番ではないですよと。契約を締結する前にお互いの戦略を握り合う、握り合えたから初めて契約締結というのがあるわけなので。契約を締結したと同時に初回注文が入って、そこからロケットスタートみたいな、そういうやり方をしていかないと。契約締結することなんて、全くもって目的ではなくて、どうでもいい話で、それは契約を締結することでそのあと売上を上げていく、シェアを上げていくという、これが本来の本当の目的で、それを達成するためには契約締結が必要なので契約を締結しますよというだけなので。何が重要なのか、何が本当に重要なのかということを見間違えないということはすごく重要で。多くの日本企業はここをすごく見間違えちゃう。契約締結することが目的になってしまって、戦略の詰めが甘くなるということなので。すみません、しつこく申し上げていますけども、そこはしっかり注意しましょうということで。

ちょっと早速図をお願いします。ロングリストからショートリストに絞り込んできたときに5社ぐらいが出てくるわけですよね。この5社のうちの3社ぐらいは戦略締結を詰めていく段階で離脱していきます。それは、やっぱりそこまで本気じゃないということが分かってくるんですよね。スキルセットとマインドセットを見て、なかなかいいなと思ったんだけども、戦略を詰めていく中でやっぱり離脱するということは、そこまで本当に彼らはリスクを背負ってやりたくはないんですよね。彼らも「やってみてもいいよ」と、「プリンシパルがメーカーがしっかり支援してくれるんだったらやってやってもいいよ。やってみてもいいよ」と。ただ、自分たちはそんなにリスク取りたくないよというディストリビューターがやっぱり隠れているので、この戦略を具体的に詰めるということはすごく重要で。離脱したところはもうそこまでなので、放っておく。2~3社残ります。そこにさらに具体的な詰めを行っていけばいいので。
まず、その1番から始めると、5社の最終的に残ったショートリストの相手に対して、やっぱりプリンシパル側からプレゼンをしっかりする。「自分たちはこういう理念でこういうことを実現したいんです。その方法論としてはこういう戦略ですよ。私たちがやりたい目標というのはこれです」と。それをやるための戦略ってまさに指標そのものなので、「指標はこうなんですよ」と。「これを一緒にやっていきたいと思う」ということをドーンと向こうに、まずは自分たちからプレゼンをする。そうすると、メーカー側の、「貴社」と書いてますけども、戦略に対してディストリビューター側の反応が必ず返ってくるんですよね。「自分たちはこういう経営資源を持っているから、こういうところはできるけど、こういうところは難しい」とか、「ここはやっぱりこういうふうに考えたほうがいい」とか、「ああいうふうに考えたほうがいい」とか。

ここでまたポイントなのが、ディストリビューターが言うことが必ずしも100%合っているかと言うと、必ずしもそうではないので、客観的に見ると。一方で、メーカーが言っていることが100%合っているかと言うと、そうではないので、いかに客観視するかということがすごく重要で。両者の言っている戦略を客観的にしっかり評価をしていきましょうねということが戦略を詰めるということなので、客観的な評価で彼らの言っていることを検証していく。両者でしっかりそれを③検証して、ある一定の合意ラインに達したら、初めてそこで最終的な、日本側のメーカーが大きいケースがあるので、メーカーの社長をディストリビューターとの契約にいちいち呼び出すというのはなかなかよろしくないので、担当役員、役員と言っても執行役員クラスになると思いますけども、執行役員が出て、向こうの社長が出て、トップ会談をして大筋合意になって契約書の詰めに入って実際に締結という、この④⑤という流れになるわけなんですけども。

この戦略を具体的に、①②③をどれだけ具体的にやるかでそのあと楽なんですよね。締結してからドーンと行けるので、「締結してからまずやってみて様子見ましょう」みたいな、こういうやり方はまったく合わないので、うまくいかないし、時間の無駄。欧米の先進的なグローバル企業は、「まず締結してやってみましょうよ」と、「やってみて何が出てくるか分からないけども、出てきたものを見て、またそこで協議して進めていきましょう」みたいな、こんな時間軸でグローバル競争は進んでいないので、基本的にはもう先まで見据えて、何が起こり得るのかということをつくっていく、予測していく、仮説立てていくということが戦略ですから、それはもう契約締結前までに行うということでしっかりと認識をしてもらったほうがいいと思います。

日本の市場だと、もうほぼほぼ分かっているので、「まずやってみて、どういう反応が市場からあるか見て、それに対して瞬発力で対応していきましょう」って、これを実現できるんですよ。だって、日本ではそれなりの実績がありますから、ある程度なあなあで進んでもそんなに大きな間違いにはならない。でも、新興国はそうではないので、特に締結をしてスタートを切る前に戦略を詰めきるということが大変重要になるので、皆さんもぜひ気を付けてやってみてください。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。